バックアップ→更新→復元:Butterfly A15-PLUS 操作パネルの実務ワークフロー(安全な刺繍枠テスト付き)

· EmbroideryHoop
本ガイドでは、Butterfly A15-PLUSで「パラメータをUSBへ書き出し(バックアップ)→操作パネルソフトを更新(ソフト+パッチ)→パラメータを戻す(復元)」までを、動画と同じ手順で実行できるように整理しました。設定消失のリスクを下げ、枠の衝突を防ぎ、更新後すぐに生産へ戻れるよう、確認ポイントと安全な動作テスト(色替え/枠センタリング/帽子装置のトレース)も併記します。
【著作権声明】

学習目的のコメントのみ。 このページは元の作者(制作者)の作品に対する学習メモ/解説です。権利はすべて原作者に帰属します。再アップロードや転載は禁止配布は行いません。

可能であれば、元動画を作者のチャンネルで視聴し、チャンネル登録で次のチュートリアルを応援してください。1クリックが、より分かりやすい手順解説・撮影品質の改善・実践テストの継続につながります。下の「登録」ボタンから支援できます。

著作権者の方で、修正・出典追記・一部削除などのご希望がある場合は、サイトのお問い合わせフォームよりご連絡ください。速やかに対応します。

目次

なぜ「パラメータのバックアップ」が必要なのか

こんな状況を想像してください。火曜日の14:00、明日納品の企業ポロシャツ50枚が残っているのに、落雷や瞬停のあとでミシンがフリーズ。再起動したら動くものの、針棒の動きやX/Yのリミット、色替えの動作がいつもと違う——「自分の機械」ではなくなった感覚になります。

業務用刺繍では、機械の「パラメータ」はいわばDNAです。CMOS電池の消耗やソフトの再読み込みで設定が飛ぶと、単にデータが消えるだけでなく、現場の調整時間(=生産時間)を丸ごと失います。

このチュートリアルの流れは、そのための保険です。USBへパラメータを書き出して保管し、操作パネルの更新(ソフト+パッチ)を安全に行い、最後にパラメータを確実に戻します。

現場の視点(重要): パラメータ消失で現場が止まるのは珍しくありません。頑丈な Butterfly 刺繍ミシン のような業務用多針機でも同じです。大きな変更(更新・初期化・基板交換など)の前には必ずバックアップを取り、日付と用途が分かる形で保管してください。

Close-up of the main interface showing the hand icon being pressed.
Navigating to settings

手順1:Debugメニューに入る

動画では、メイン画面からDebugメニューへ入っています。ここは一般ユーザー向けではなく、保守・点検用の入口です。

ここでやること

  1. 移動: メイン画面で 手(Hand) アイコンを押します(手動操作/設定系の入口)。
  2. 選択: Debug をタップします。
  3. 認証: テンキーが出たら、セキュリティコード 8-2-3-4-5-6 を入力します。
  4. 確認: 画面が切り替わり、システム系の一覧が表示されます。

一覧の中に 「Parameter Driver Import Export」 が見えれば、正しい場所に入れています。

The numeric keypad on the touchscreen entering the debug code 823456.
Entering security code

チェックポイント

  • 操作: 823456 を入力。
  • 確認: 画面がファイル/項目一覧に切り替わり、パスワードエラー表示が出ない。
  • 到達条件: Parameter Driver Import Export が一覧に存在する。
Debug menu list displaying 'Parameter Driver Import Export'.
Selecting maintenance option

注意(現場で起きがちな落とし穴)

忙しい現場ほど「枠が付いたまま」「周りで作業者が糸切り中」の状態で設定画面を触りがちです。こうした保守メニュー操作は、機械側の初期動作(原点復帰など)につながることがあります。

注意:挟まれ危険。 パンタ(X/Y駆動部)や針棒周辺に手・工具・刺繍枠を近づけないでください。Debug系の操作中に、予告なく原点方向へ動く可能性があります。

手順2:USBへパラメータを書き出す(エクスポート)

ここがバックアップ工程です。設定が壊れた/飛んだときに復旧できる「命綱」になります。

手順(動画の流れ)

  1. USBを挿す: 本体のUSBポートにUSBメモリを挿入します。
    • 補足: 動画では容量やフォーマットの指定はありません。まずは機械が認識するUSBを使用してください。
  2. 移動: Debug内で Parameter Driver Import Export を開きます。
  3. 選択: Param Export を選びます。
  4. 待つ: USBの一覧が出るまで数秒待ちます(動画でも、一覧が表示されてから選択しています)。
  5. 保存先: USBデバイスを選択します。
  6. 実行: チェックマーク を押して確定します。

成功すると、動画では緑色のメッセージで 「Export param data success」 が表示されます。

Sub-menu showing 'Param Import' and 'Param Export' options.
Choosing export function
File browser showing the USB stick contents.
Locating storage device
Green success message pop-up confirming data export.
Confirmation of backup

チェックポイント

  • 表示: USBが一覧に出て選択できる。
  • 完了: 緑の成功メッセージが出る。
  • 運用: 後でPCに挿して、バックアップファイルが作成されていることを確認できる。

現場のコツ:あとで“使えるバックアップ”にする

動画でも「あとで必要になるから取っておく」と強調しています。実際に復旧で困るのは、技術よりも「どれが正しいバックアップか分からない」運用ミスです。

その場でやること:

  • 識別: PC側でフォルダ/ファイル名を「機械が特定できる名前+日付」にします。
  • 保管: USBは紛失しやすいので、別媒体にもコピーしておきます。

手順3:更新用のメンテナンスモードで起動する

通常画面ではなく、更新用の起動メニュー(保守画面)に入ります。動画では、電源投入時に物理ボタンを押し続ける方法です。

手順

  1. 電源OFF: 主電源スイッチを OFF にします。
  2. ボタン長押し: 画面下の物理ボタン(メインボタン)を 押し続けます
  3. 電源ON: 押したまま主電源を ON にします。
  4. 画面が切り替わるまで保持: 画面表示が完全に変わるまで離しません。

動画では A15-PLUS ロゴが出た後、青い保守メニュー画面に入ります。

Wide shot of the Butterfly embroidery machine control panel and needle case.
Introduction to update process
Hand holding down the physical button below the screen while powering on.
Hard resetting into update mode
Boot screen displaying 'A15-PLUS' logo.
System booting up

チェックポイント

  • 操作感: ボタンを押したまま電源操作できている。
  • 表示: 通常の刺繍画面とは異なる、簡素な保守メニュー画面になる。
  • 到達条件: 更新(書き換え)を実行できる状態に入っている。

補足(なぜここが重要か)

このモードは、誤操作で消去しないために日常運用と分離されています。更新中に電源が落ちると復旧が難しくなる場合があるため、作業中は電源環境を安定させてください。

手順4:ソフト更新とパッチ適用(順番厳守)

動画のポイントは「ソフト本体 → 再起動 → パッチ」の2段階です。順番を崩すと失敗しやすいので、動画通りに進めます。

手順(動画の順序そのまま)

  1. 言語: 保守メニューで言語を確認/選択します。
  2. 更新開始: Update Program をタップします。
  3. USB選択: 一覧からUSBを選び、ソフト本体のファイルを選択します。
  4. 実行: チェックマークで確定し、完了表示まで待ちます。
  5. 再起動(必須): 完了後、電源を切り、再度「ボタン長押し起動」で保守メニューへ入ります。
  6. 再度Update Program: もう一度 Update Program を開きます。
  7. パッチ選択: Install Patch を選択します。
  8. 実行: チェックマークで確定し、成功表示を確認します。

動画でも「ソフトとパッチの間に再起動が必須」と明言されています。

Update menu showing 'Update Program' button.
Selecting update function
Selecting 'Install patch' from the file list.
Applying software patch

チェックポイント

  • 受理: ファイルを選べて更新が開始できる。
  • 順序: ソフト更新後に、必ず電源を入れ直してからパッチへ進んでいる。
  • 完了: どちらも完了表示まで到達する。

注意:USB内のファイル管理

更新用USBには、更新に必要なファイルだけを入れておくと選択ミスを減らせます。保守メニューは通常の刺繍データ一覧と見分けがつきにくいことがあります。

手順5:パラメータを戻す(インポート)

ソフトが更新されても、機械固有の調整値(パラメータ)が空のままだと動作が不安定になります。USBに保存したパラメータを戻します。

手順

  1. 通常起動: ボタン長押しはせず、通常通りに起動します。
  2. 移動: 手(Hand)Debug → コード 823456
  3. 開く: Parameter Driver Import Export を開きます。
  4. 選択: Param Import を選びます(Exportと間違えない)。
  5. ファイル選択: USB内のバックアップファイルを選びます。
  6. 重要: 動画の通り、保存されている全パラメータ項目が選択(チェック)されていることを確認します。
  7. 実行: チェックマークで確定します。

成功通知が表示されます。

Navigating back to the Hand Icon menu after restart.
Returning to settings
Highlighting the 'Param Import' option to restore data.
Restoring parameters
Butterfly logo splash screen appearing during final restart.
System reboot

チェックポイント

  • 表示: 手順2で作成したバックアップが一覧に出る。
  • 確認: すべてのパラメータ項目が選択されている。
  • 完了: 成功通知が出る。必要に応じて再起動します(動画でも最後に再起動しています)。

補足:「全項目チェック」が重要な理由

動画では「保存した全パラメータを選択する」ことがポイントになっています。一部だけ戻すと、動いてはいるのに挙動が変、という不具合の原因になり得ます。復元時は“全部戻す”を基本にしてください。

手順6:更新後の動作テスト(刺繍枠/色替え/帽子装置)

動画の最後は、安全で実務的な確認手順です。ここを飛ばすと、枠の衝突や帽子装置の設定ズレに気づけません。

動画で行っているテスト(そのまま)

  1. 色替えテスト: 色替え(例:針1→針2)を実行し、針棒/針ケースの移動が正常か確認します。
  2. 刺繍枠センタリング確認: 何も枠張りしない状態(空の状態)で、画面上で刺繍枠サイズを選択し、パンタがその枠の中心へ動くか確認します。
  3. 帽子装置(ハットシステム)確認: 帽子装置を取り付け、デザインを読み込んで トレース(Trace) を実行します。

動画でも、刺繍枠の確認は 「何も枠張りしない状態」 で行うように勧めています。衝突回避のため、必ずこの順で確認してください。

Operator selecting hoop settings to test centering.
Testing hoop functions

何を確認しているのか(事故防止の観点)

  • 色替え:機械が針位置を正しく認識し、スムーズに移動できるか。
  • 刺繍枠センタリング:ソフト上の枠定義と、実機の可動範囲(X/Y)が一致しているか。
  • 帽子装置のトレース:帽子装置の設定が正しく、危険な干渉が起きないか。

作業チェックリスト(セクション末)

  • 色替え: 色替え動作がスムーズで異音がない。
  • X/Y移動: 選択した刺繍枠サイズで、パンタが不自然に端へ突っ込まない。
  • 帽子装置: トレースが最後まで通り、干渉しそうな動きがない。

注意: トレースやセンタリング確認は、必ず「空の状態(何も枠張りしない)」で先に行ってください。パラメータがズレていると、刺繍枠が針棒側へ突っ込み、重大な破損につながります。


事前理解(Primer)

これから行うのは、刺繍そのものではなく「刺繍を制御するシステム」の保守作業です。ソフトを更新し、機械固有の“性格”(パラメータ)を戻して、最後に物理動作で安全確認します。

目的:

  1. パラメータのバックアップをUSBに作る。
  2. 操作パネルのソフト更新(ソフト+パッチ)を正しい順序で行う。
  3. パラメータを復元し、色替え/刺繍枠/帽子装置で動作確認する。

対象者: 業務用刺繍機のオーナー、保守担当者、または保守メニューを扱う必要がある上級ユーザー。

準備(Prep)

安全な更新は、作業環境の整理から始まります。ソフト不調に見えても、現場では接触不良や作業環境が原因のこともあります。

忘れがちな準備チェック

  • USBメモリ: 更新ファイルとバックアップ用に使用(動画ではUSBを使用)。
  • 清掃: USBポート周りの埃を軽く除去してから挿入します。
  • 記録: 作業日と実施内容(ソフト更新/パッチ/復元)をメモしておきます。
  • 動作スペース: パンタが大きく動くため、周囲の刺繍枠や工具を片付けます。ミシン刺繍 用 枠固定台 を使っている場合も、テスト時に干渉しない位置へ移動しておきます。

準備チェックリスト(セクション末)

  • 機械は停止中で、実行中ジョブがない。
  • 作業エリアから刺繍枠・帽子装置・ハサミ等を退避した。
  • USBには更新に必要なファイルが入っている。
  • 電源が安定している。
  • パスコード「823456」を控えた。

セットアップ(Setup)

この段階は「どの画面を通るか」を整理して、迷いを減らす工程です。

使用するメニュー経路

  • 手(Hand)→ Debug →(コード 823456)→ Parameter Driver Import Export
  • 保守起動メニュー → Update Program →(ソフト選択)→ 再起動 → Update Program → Install Patch
Close-up of the main interface showing the hand icon being pressed.
Navigating to settings

判断の目安:枠まわりの作業効率を見直すタイミング

更新後のセンタリング確認は、作業効率(枠張りのしやすさ)を見直す良い機会でもあります。

困っていること 主な原因 対処の方向性
枠跡(枠焼け) 通常枠の圧迫・摩擦による生地ダメージ。 対策案: マグネット刺繍枠 のような方式を検討。
手首が痛い/枠張りが遅い ネジ式枠の締め込み作業が負担。 対策案: 位置決めを安定させる マグネット刺繍枠 用 枠固定台 の導入を検討。
帽子の位置ズレ(位置合わせ) 帽子装置側の固定やテンションの問題。 対策案: 刺繍ミシン用 キャップ刺繍枠 の固定状態を点検し、トレースで干渉がないか確認。
設定が飛ぶ/挙動が不安定 メモリ消失や再読み込み。 対処: 本ガイドの手順でバックアップ→更新→復元を実施。

注意:マグネットの安全性。 マグネットは強力です。指を挟む危険があり、医療機器等への影響も考慮が必要です。取り扱いは十分注意してください。

セットアップチェックリスト(セクション末)

  • Debugに入り、Parameter関連の項目が見える。
  • 青い保守メニュー画面で起動できる。
  • 「ソフト→再起動→パッチ」の2段階を理解している。
  • バックアップはUSBに保存できた。

運用手順(Operation)

ここからは手順通りに実行します。順番を変えないことが重要です。

手順(チェックポイント付き)

  1. バックアップ(保険):
    • 操作: Param ExportでUSBへ書き出し。
    • 確認: 緑の成功メッセージ。
    • 注意: 成功表示が出るまでUSBを抜かない。
  2. ソフト更新(書き換え):
    • 操作: 保守メニュー起動 → Update Program → ソフト本体をインストール。
    • 確認: 完了表示。
    • 必須: 電源を切って再起動(動画通り)。
  3. パッチ適用:
    • 操作: 再度保守メニュー起動 → Update Program → Install Patch。
    • 確認: 成功表示。
  4. 復元(パラメータ戻し):
    • 操作: 通常起動 → Debug → Param Import。
    • 確認: 全項目がチェックされている。
  5. 動作確認(安全テスト):
    • 操作: 色替え → 刺繍枠センタリング(空の状態)→ 帽子装置トレース。
    • 確認: 異音や不自然な動きがない。

更新後に刺繍枠の中心が毎回ズレる場合、ソフトだけでなく刺繍枠側の歪みや個体差も疑う必要があります。生産用の 刺繍枠 刺繍ミシン 用 は、保管方法も含めて一定品質を保つことが重要です。

運用チェックリスト(セクション末)

  • Export: パラメータをUSBへバックアップした。
  • Update: ソフト本体をインストールし、再起動した。
  • Patch: パッチをインストールした。
  • Import: パラメータを全項目チェックで復元した。
  • Verify: 色替えテストが正常。
  • Verify: 刺繍枠センタリングを空の状態で確認した。

品質確認(Quality Checks)

業務用では「電源が入る」だけでは不十分です。更新後は“動き”を必ず見ます。

見るべきポイント

  • 色替えの動き: 針ケース/針棒の移動が引っかからず、止まり方が安定している。
  • センタリングの再現性: 同じ刺繍枠定義を選び直しても、同じ位置に戻る。
  • 帽子装置のトレース: 走行経路が不自然でない(干渉しそうなら即停止)。

現場引き渡しの最低ライン

  1. 更新用USBを抜く。
  2. 画面や周辺を軽く清掃する。
  3. 空の状態で動作確認が完了していることを伝える。

トラブルシューティング

問題が起きても慌てず、まずは「手順の抜け」と「順番違い」を疑います。

症状 原因の可能性 対処
USBが表示されない/選べない USBが認識されていない。 対処: USBを挿し直し、一覧が出るまで待つ(動画でも表示を待ってから選択)。
更新後に設定が消えた パラメータ復元(Import)をしていない。 対処: Debug → Param Import でバックアップを戻す。
パッチが入らない ソフト更新後の再起動が不足。 対処: 電源を切り、保守メニューに入り直してからInstall Patch。
刺繍枠が危険な方向へ動く パラメータが正しく戻っていない可能性。 対処: すぐ停止し、Param Importをやり直す。まずは空の状態で再テスト。

システム効率チェック

更新で機械が安定しても、段取りが遅いならボトルネックは枠張り工程かもしれません。作業を標準化する 枠固定台 の考え方は、段取り時間の削減に直結します。

まとめ(Results)

これで、機械の「神経系」にあたる保守作業を一通り完了できます。

  • 保護: パラメータをUSBへバックアップした。
  • 更新: 操作パネルのソフトとパッチを正しい順序で適用した。
  • 検証: 色替え/刺繍枠センタリング/帽子装置トレースで安全確認した。

生産に戻れます。もし更新作業がスムーズでも、段取り時間が課題なら、スタビライザーの見直しや 刺繍ミシン 用 枠入れ の工程改善(治具化・枠固定台の導入など)を検討すると、現場の伸びしろが見えてきます。