Table of Contents
ニードルポイントを始める前に
ニードルポイントは、硬めのオープンメッシュのキャンバスに太めの糸(ヤーン)で模様を刺していくキャンバスワーク。クロスステッチと似て見えても、使う素材やステッチの種類が異なることが多いのが特徴です。動画内のキットはデザインが印刷され、色番号も対応していて、初めてでも迷いにくい構成になっています。
- 用語ミニ解説
- ウェイストノット:スタート時に表側に一時的に置く結び目。後で切り落とす前提の“仮結び”。
- ビクトリアン(クロス)ステッチ:斜めの動きで規則正しく進む、今回のキットで推奨される基本ステッチ。
糸の太さについての質問はよく出ます。クロスステッチでは2本取りなどが一般的ですが、今回のようなニードルポイントでは最初から太めのヤーンをそのまま使います(動画もこの想定)。
プロのコツ:作業場所は明るく、キャンバスの穴がはっきり見える環境を。背景色をキャンバスと対照にすると視認性が上がります。
Elizabeth Bradley「Beekeeper」キットを開封する
「箱が可愛い!」というコメントから始まる開封。

磁石で閉じるフラップを開けると、必要なものがすべて入っています。
- 同梱物の例(動画で確認できるもの)
- プリント済みキャンバス(色分けと番号対応)
- カラーカード(番号と糸色の対応表)
- ヤーンの束(色数分)
- 針(2本)
- ニードルスレダー(糸通し)
- ステッチ解説の紙(今回のビクトリアン/クロスステッチの説明つき)
ギフトにしても映えるマグネット式の箱は、開閉が簡単でパーツの出し入れもスムーズ。

袋入りのセットを取り出し、順に並べて確認しましょう。


ヤーンとカラーカードの対応を最初に確かめておくと、後の色選びがスムーズです。

クイックチェック:
- 針は2本そろっているか
- カラーカードとヤーンの色番号が一致しているか
- キャンバスの印刷は鮮明か(線や色境界が判別できるか)
注意:キットのサイズやヤーンの長さなど、具体的な数値は動画では明示されていません。足りない情報は同梱の紙面やメーカーサイトを併せて確認しましょう。
初心者のための基本テクニック
ここからは、動画の順に沿って、最初の一針から1色目の糸始末までを解説します。
糸を通す:スレダーの正しい使い方
スタートは、色番号8の淡いタン(クリームイエロー系)を選ぶところから。カラーカードで番号を確認し、該当のヤーンを取り出します。スレダーを針の穴へ通し、ヤーンを引っ掛けてスライドさせるだけでスムーズに通ります。

- 先端をほつれさせたくないときは、ヤーンを軽くねじって束ねると通しやすくなる
- 通した後、針穴から抜けにくいよう、針側に少し余りを残しておく
この段階での迷いを減らすために、机上の動線を固定化しておくのも有効です。ヤーンを色ごとに並べ、使う色は左、使い終えたら右、と決めておくと混乱が減ります。
補足:この記事は手刺しの解説で、ミシン刺繍向けの用語(例:brother 磁気 フレーム)の設定や操作は扱いません。ニードルポイントでは手の感覚とテンションが最重要です。

ウェイストノット(仮結び)で安全に始める
糸の端にシンプルな結び目を作り、キャンバスの「表側」に一時的に置きます。のちにステッチで覆われる位置に置けば見えなくなるので、見た目は気にしすぎなくてOK。スタート位置から少し離れた同じ列に結び目を置くことで、作業中に糸が抜けるリスクを下げます。
- 針は「結び目と同じライン上」で裏から表へ出す
- 引き締めは毎回“同じ強さ”を心掛ける
「表に結び目で大丈夫?」という疑問は当然。これは意図的な方法で、後で切り落とし、糸の通り道はステッチで固定するため、表からは見えなくなります。コメントでは、この方法を“ウェイストノット”と呼び、最後にタックステッチで止めてからノットを切るやり方が紹介されていました。
最初の列を刺す:ビクトリアン(クロス)ステッチのモーション
針を上から下、次の穴へ下から上というリズムで進めます。動画では、キャンバスの1本分だけを拾う感覚で、斜めの流れを保ちながら列を埋めています。



プロのコツ:
- テンションは“毎回同じ強さ”で。強すぎず、弱すぎず。
- 隣接色の糸を針先で刺し抜かない。穴の中央を狙い、糸を割らないように。
- 迷ったら一呼吸。針先の角度を少し変えるだけで、通りが驚くほどスムーズになります。
注意:動画では、針でキャンバスをすくうような動き(scooping)を指摘するコメントがありました。キャンバスの歪みが気になる人は、正面から垂直に刺して抜く操作に徹すると安心です。
クイックチェック:
- 1列の終端でステッチが揃っているか
- 糸の張りが均一か(波打っていないか)
- 境界のラインがぼやけていないか(隣色を刺し抜いていないか)
周辺情報として、機械刺繍では磁力で布を固定する道具(例:磁気 刺繍枠)もありますが、手刺しのニードルポイントではキャンバス自体が硬いため、必須の固定具はありません。必要に応じてフープやフレームを使う程度です。
色の終わらせ方と色替え
1色目の列を刺し終えたら、裏面にヤーンをくぐらせて固定します。

仕上がり面(表)から糸端が見えないのが理想。固定後は鋭いハサミでキャンバスに沿って短くカットし、最初に置いた結び目も根元で切って抜きます。

- ほどけ防止:カットは“固定→確認→カット”の順に。固定が甘ければもう数目くぐらせる
- 表への影響:表から糸端が見えないか、段差が出ていないかを最後にチェック
次は中間のブラウン(番号1)へ。

新しい色でも手順は同じ。カラーカードで色を特定し、スレダーで糸通し、結び目を表に置いてスタート。列の流れに合わせて、ステッチを一定のテンションで進めます。

テンションの平準化:色が変わると無意識に引き加減が変わりやすいもの。過去に刺した列の見た目を基準に、指先で軽く整えて“同じ強さ”に寄せていくのがコツです。

コメントでは「拡大で見えた」という声もありましたが、近接の視点があると理解が速いのは確か。もし学習時に視認性が気になる場合、作業机の背景を暗色に変える、携帯のズームで手元を映しながら進めるなど、視界のコントロールを工夫しましょう。
補足:手刺しと機械刺繍はアプローチが異なります。検索の道中で、例えばsnap hoop monsterやmighty hoopといった用語に出会うかもしれませんが、これらは機械刺繍の固定具です。本記事の手順には不要です。
Needlepoint.comで学びを深める
動画では、Needlepoint.comに学習動画、ステップごとのチュートリアル、対面クラス、仕上げ(オーナメントなどにするサービス)があることが紹介されました。割引コード“RAISINGNOBLES”も案内されています。
- オンラインのリソース:基礎から一連の流れまで段階的に学べる
- 対面クラス(Raleigh, NC/Charleston, SC):実地で学びたい人に
- 仕上げサービス:完成作を装飾品に仕立てたいときに便利
ニードルポイントに復帰する人にも心強い環境です。最初のキットを完成させたら、次はキャンバスのみを購入して自分の配色で挑戦するのも良い流れ。
余談:ミシン刺繍の情報を探す際は、ブランド名と枠の互換性など、専用のキーワードで検索するのが近道です(例としてbernina 磁気 刺繍枠やbrother 刺繍枠など)。ただし、これらは本記事の手刺しニードルポイントとは用途が異なります。
仕上がりを整える最終ヒント
- 均一なテンション:毎回“同じ強さ”で引く。列ごとに小休止し、波打ちがないか目視で点検
- 糸を刺し抜かない:穴の中心を狙い、隣の糸に針先を触れさせない
- 視界の確保:明るい照明+背景のコントラストで見やすさをキープ
- 作業の区切り:1色1列で「始め〜固定〜カット」を完結させると裏面が整う
フレームやストレッチャーバーの使用は任意です。ビクトリアン・クロスはキャンバスの歪みが出にくいという意見もあり、サイズや好みに合わせて選べばOK。手に負担がかかる場合は軽量のフレームを検討すると、動作が安定します。
ミニFAQ:
- Q. 斜めの細かいエリアはどう刺す?
- A. 動画では詳述はありません。一般論として、色境界を先に確定してから内側を埋める、同方向の斜めを続ける、糸渡りを短く保つ、といった方法がよく取られます。最終的には印刷のラインに忠実に、テンションのばらつきを出さないのが最優先です。
検索の道中で、機械刺繍向けのフレーズ(例:磁気 刺繍枠 for brother)を目にすることがありますが、手刺しニードルポイントでは不要です。目的に応じて情報を選びましょう。
コメントから:初心者の疑問に答える
- フープやリングは必要?
- 視聴者の回答では、ニードルポイントでもフレームは使えるが必須ではないとのこと。クロスステッチならフープで布をしっかり張るのが一般的。
- 糸は何本取り?
- ニードルポイントは太めのヤーンをそのまま使用する前提。クロスステッチの“2本取り”とは別の考え方。
- ウェイストノットはなぜ表に?
- 後で切り落とす“仮結び”。スタート地点までの糸は上からのステッチで固定し、最後にタックステッチで止めてからノットを切る手順が共有されています。
- 近接映像が見たい
- 「ズームで見えた」という声とともに、より近いカメラワークの要望が多くありました。学習時は手元を拡大して確認するのがおすすめです。
まとめ:最初の一針から、心地よい反復へ
今回の要点は3つ。 1) カラーカードで色を確定→スレダーで糸通し→ウェイストノットで安全に開始。 2) ビクトリアン(クロス)ステッチは、穴の中心を通し、糸を割らない。テンションはいつも同じ強さに。 3) 裏で数目くぐらせて固定→表の結び目を切る→次の色へ。小さな完了を積み上げるほど、裏面も美しく整います。
一針ごとに落ち着きが増していくのがニードルポイントの魅力。印刷された色に合わせて淡々と進めば、はちみつ色の列も、ミドルブラウンの陰影も、少しずつ確実に形になります。次の休憩までに、もう一列だけ。そんな小さな積み重ねで、作品は気づけば豊かに育っていきます。
最後に、用途の異なる用語に注意。例えば磁気 刺繍枠 for janomeやbarudan 磁気 刺繍枠のようなキーワードは機械刺繍の話題です。本記事の手刺しニードルポイントには登場しません。情報の入口を切り分けるだけで、学習はずっと迷いにくくなります。
