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動画を見る:Bernina Walking Feet and Free Hand System Explained(Bernina Jeff at High Fashion Sewing)
厚物の段差で目が詰まる、キルトの重なりで送れない——そんな“縫いの坂道”を、ウォーキングフットは4WDのように力強く進ませます。この記事では、動画の要点を実用目線で整理。旧型/新型の見分け方から正しい取り付け、FHS(フリーハンドシステム)の時短効果、#50のソール交換、オイルの選び分けまで、一気に使いこなせるようにガイドします。

学べること
- デュアルフィードとウォーキングフットの違いと使い分け
- 旧型(ワイドポスト)/新型(スキニーポスト)の見分け方と互換の考え方
- FHS(フリーハンドシステム)で約25%縫製時間を増やすコツ
- 旧型/新型の取り付け手順と“フォーク”を確実に掛ける動作
- #50(3ソール)のソール交換手順、オイルの種類と使い分け
ウォーキングフットの力:デュアルフィードを超えて デュアルフィードは“前輪駆動”、ウォーキングフットは“4輪駆動”。動画ではこの分かりやすい比喩で、厚物や段差、キルトの重なりを越えるときの安定感を強調しています。必要不可欠ではないけれど、持っていれば縫いの幅が一気に広がる投資価値の高いアクセサリー。パーツ供給が続いており、修理可能で“長く使える”のもポイントです。

プロのコツ
- 古いウォーキングフットは捨てない。パーツがあり修理可能な場合が多い。
- 厚物や段差、キルトのバインディングなど“上も下も送る”力が必要な場面に最適。
注意
- レバーが最後まで“奥まで”行ってしまう場合は要調整。自己調整は難度が高く、専門家に相談を。
クイックチェック
- 装着後、ハンドホイールを回して“送り歯と足”が上下で同期して動くか確認。
ちなみに、ベルニナの刺繍をよくする方は、別領域ですが磁気枠の検討で情報の整理が役立ちます(例:bernina 磁気 刺繍枠)。用途が違っても“送りの安定”という観点は共通です。
世代別ウォーキングフット:旧型と新型を見分ける 旧型(レガシー)は“ワイドポスト”、新型(クラシック)は“スキニーポスト(アメフトのゴール形)”。まず“上面のポスト形状”で見分け、世代に合うかを確認します。旧型の初期はクラムシェルのケースに1枚ソールで付属していたのが目印。新型はボックスに“3ソール”構成(レギュラー、オープントウ、ステッチ・イン・ザ・ディッチ)で入っています。

重要なのは“パッケージの見た目”ではなく“部品番号”と“ポスト形状”。互換が異なるため、合わない世代のマシンへは物理的に装着できません。購入前に上面コネクタの幅を必ずチェックしましょう。

プロのコツ
- 旧型=ワイドポスト(Bernina 830など旧世代)/新型=スキニーポスト(1130、1630、5/7シリーズ等)。
- 迷ったら上面の“幅”を写真で控えて、販売店に確認。
注意
- 旧/新の見た目を“箱”で判断しない。部品番号とポスト形状が決定要因。
FHS(フリーハンドシステム)を極める FHSはニーリフトバーとも呼ばれる膝操作のシステム。右へ押すだけで“押え上昇”“送り歯ダウン”“テンションゲージ開放”を同時に行い、押えを通常より約2mm高く上げられます。この“2mm”が取り付けや厚物の取り回しで効いてきます。さらに、両手を生地に置いたまま操作できるため、ベルニナの調査では“有効な縫製時間が約25%増える”とのこと。

数日で身体に“筋記憶”ができ、止めどころで自然に膝が動くように。FHSを使わない理由はありません。まずは装着・取り外しの練習から始めて、2mmアップを味方につけましょう。

クイックチェック
- バーを右へ押して押えが“ひと息”高く上がるか。
- 送り歯が一時的に下がり、テンションゲージも開放されるか。
注意
- 旧機種やモデルによって表記が“FHS”だったりバーのアイコンだけのことがあります。動作内容は共通です。
取り付け手順:あなたのウォーキングフットを正しく装着 旧型を取り付ける スペースがタイトな旧型は、FHSの“2mmプラス”を活かすのが成功のカギ。フォーク(足の腕)を針クランプのネジ部に“角度をつけて”掛け、肩方向(右肩側)へ軽く押し込みながら位置を合わせます。FHSで押えを高くし、送り歯が下がった状態だと余裕が生まれ、噛み合わせがスムーズに。
装着レバーが“途中まで”で止まるのが正常。もし“奥まで突き当たる”ようなら調整が必要かもしれません。自力での分解調整は難度が高く、推奨されません。装着後はハンドホイールを回し、フォークが針棒と同期して上下し、送り歯と足が同時に動くことを確認します。
プロのコツ
- 捕まりづらい時は、FHSでさらに上げて“わずかに揺すりながら”位置を探す。
- 一度で入らなければ焦らずやり直し。無理押しは禁物。
注意
- レバーが全開で“奥まで”行く=要調整のサイン。専門家に相談を。
新型#50を取り付ける/機械認識を設定 #50(3ソール)には、ポストに“スライド補助の切り欠き”が設けられており、角度を付けて差し込みやすい設計。7シリーズのようにクリアランスが広い機種では特に装着が容易です。装着後はクランプを“しっかり”締め、振動で外れないよう確実に固定しましょう。
対応機では“フット認識”から“50”を選択。これでマシン側がステッチの可否や適正動作を自動的に最適化します。画面で#50を選び、閉じれば準備完了。装着は“手前へ角度→まっすぐに戻す→クランプで固定”の順でOK。
クイックチェック
- 画面に“50”が選択され、フット認識が正しいか。
- クランプは緩みがないか。使用中の振動で外れるのを防止。
プロのコツ
- 7シリーズなどはハイトが高く取り付けがラク。角度を付け、肩(自分側)に引き寄せてからまっすぐ戻すと入りやすい。
糸かけとスタートの準備 新しい7シリーズのスレッドガイドを使うことで、高速時でも糸抜けを防止しやすくなります。標準の糸道どおりにフックとテンションを経由させ、オートスレッダーを使う際はウォーキングフットのフォークを避けつつ丁寧に。
下糸はピンセットで引き上げるとソールにスリットがない場合でも扱いやすく、必要な長さを確保できます。最後に“必ず上糸・下糸ともに押えの下の左側へ”揃えてスタート。これで縫い始めの“鳥の巣”をほぼ防げます。後方へ引くとテンションが掛かりにくく、最初の数目で上糸が下へ引き込まれてしまうからです。
プロのコツ
- オートスレッダーは“最後のカチッ”までしっかり。中途半端だと糸掛け不良の原因に。
- 針板の穴から下糸をすくう際はピンセットが便利。
注意
- スレッドガイドから糸が外れやすい場合、新型の上部ガイドを活用して“右→左”の順に確実に通す。
メンテナンスとアクセサリー:快調を保つ小物とオイル オイルは“ボビンの種類”で使い分けます。ジャンボボビン(7/5シリーズなど)には“レッドキャップ”、スタンダードボビンには“イエローキャップ”。レッドは軽めの粘度設計で、ボビンシステム周りを汚しにくいのが特長です。ウォーキングフット本体のオイル差しは5〜10年に一度(ハードユースなら数年毎)が目安。動きが渋いと感じたら、まず点検を。
#50は“3ソール”付属。ステッチ・イン・ザ・ディッチは#10相当のガイド付きで、キルティングの溝縫いに重宝。オープントウは見通しが良く、レギュラーは万能。キットには小型ドライバーとシームガイドも同梱されています。
新型のポストには、差し込み補助の“切り欠き”があり、角度を付けて滑り込ませやすい工夫がされています。これは取り付け時の“あるある”をよく知る設計で、FHSなしでも入る場面が増えます。
注意
- ステッチ・イン・ザ・ディッチ・ソールの“小ネジ”は触らない。内部パーツの組み戻しが困難なため、調整はプロに任せること。
ウォーキングフットのソール交換 1) マシンからフットを外し、本体側面の大きいネジを“ゆるめる”だけ(外し切らない)。 2) ヨークが開いてソールが外れる。 3) 新しいソールの“2つのディンプル”と本体側のポストを合わせる。 4) 位置が合ったらネジを締めて固定。わずかに位置を揺らしながら噛み合わせを合わせるのがコツ。
これでソールの交換は完了。取り付け後、ガタつきがないか必ずチェックしましょう。
コメントから
- “装着はできるのに、縫い始めでフォークが外れる”という声:フォークが針クランプを確実に包む角度で差し込めているか、クランプの締め込みや装着レバーの位置(途中で止まるのが正常)を再確認を。振動対策として固定を“やや強めに”するのも有効です。
- “770 QEで認識しない”:フット認識で“50”を選んでいるか、再装着してフォークの係合を再確認。認識が不安定な場合は一度電源を落とし、再起動してから手順をやり直すのがおすすめ。
- “1008の適合は?”:旧型(Old style)が推奨との回答あり。まずはポスト形状(ワイド)を確認しましょう。
- “スレッドは左でスタートが良い?”:はい。左側へ揃えることで、最初の数針で上糸が下に引き込まれる“鳥の巣”を防ぎやすくなります。
なお、刺繍分野でベルニナの大型枠や磁気枠を検討中の方は、別記事でまとめています(例:磁気 刺繍枠 for bernina、snap hoop monster for bernina)。ウォーキングフットとは用途が異なりますが、送り・保持の安定という観点で参考になるはずです。
FHS活用で広がる“手の自由” 縫製中、両手を常にファブリック上に置きながら押えを上げ下げできるのは、FHSならではのメリット。ピースワークや曲線の押さえ替え、段差越え前の位置合わせなど、リズムが崩れやすい場面で効きます。数日で膝操作が自然に身につき、FHSのない環境に戻ると“体が揺れるほど違和感”を覚える、という話も動画内で印象的でした。
プロのコツ
- フットコントローラーを“逆足”に変えて、利き足をFHSに当てる使い方も。自分に合うフォームを探しましょう。
トラブルシューティング
- レバーが奥まで行く:自己調整は不可。専門家に相談。
- フォークが外れる:クランプの締め込み不足、フォークの掛かり不十分、装着角度の不足を再点検。
- 縫い始めの糸絡み:上糸・下糸を“左へ”まとめてからスタート。
よくある質問(動画より) Q. デュアルフィードがあるなら、ウォーキングフットは不要? A. デュアルフィードが“前輪駆動”なら、ウォーキングフットは“4WD”。厚物や段差で力を発揮するため、併用メリットは大きい。
Q. FHSの利点は? A. 押え上昇・送り歯ダウン・テンション開放・2mm高リフト、さらに“手を生地に置いたまま”操作できることで、実質約25%の有効縫製時間アップが見込めます。
Q. どのウォーキングフットが自機に合う? A. 上部コネクタの“ポスト形状”が決め手。旧型(ワイド)は830など旧世代に、新型(スキニー)は1130/1630/5/7シリーズなどに適合。購入前に必ず形状確認を。
Q. オイルはどれを使う? A. ジャンボボビン機(7/5シリーズ等)にはレッドキャップ、それ以外はイエローキャップ。ウォーキングフット自体は5〜10年(ハードユースなら数年)ごとの点検・注油を。
他領域の参考リンク 刺繍ユーザー向けには、磁気枠関連の比較も用意しています。ベルニナ対応の大型枠やスナップ式の“モンスター”系は、キルティングや刺繍の工程短縮・精度安定に寄与します(例:dime snap hoop bernina、dime 刺繍枠 for bernina、磁気 刺繍枠 for bernina 刺繍ミシン、mega 刺繍枠 bernina、snap hoop for bernina)。用途や機種により互換が変わるため、購入前に型式とサイズを必ず確認しましょう。
まとめ
- ウォーキングフットは“4WD”の力強さ。厚物・段差・多層でも均一送り。
- 互換は“ポスト形状”で判定。旧=ワイド/新=スキニー。
- FHSで2mmアップ+同時動作。約25%の時短体感につながる。
- #50は3ソール。側面ネジで“緩める→合わせる→締める”の順に交換。
- オイルは“ボビンタイプ”で選ぶ(レッド=ジャンボ、イエロー=その他)。
- スタートは“糸を左へ”。鳥の巣を予防する小さな習慣。
最後に、刺繍枠の最新事情を追う方は、スナップ式や磁気式の比較記事もチェックを。ベルニナ対応の情報は、bernina snap hoopや磁気 刺繍枠 for berninaといったキーワードから探すと見つけやすいはずです。
