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Brother SE1900のファームウェアを更新する理由

マシン刺繍の現場では、上糸/下糸(ボビン糸)の調子、針番手、スタビライザー(刺繍用の安定紙)の選定など「見える要素」に意識が向きがちです。一方で、ミシンの動作を支える“見えない基盤”がファームウェア(本体ソフト)です。
ファームウェア更新は、刺繍データの種類が増えるわけでも、劇的に速度が上がるわけでもありません。ただし、安定稼働の土台になります。動画のケースでは、工場出荷時に近い v1.07 から v1.10 へ更新しています。こうした更新は、作業中のフリーズや、問題ないはずのデータを読み込まないといった「原因が見えにくい不調」を減らすための予防保全として捉えるのが現場的です。
このガイドでできるようになること(作業手順として再現できる形で)
- 確認手順(監査):本体の設定画面で、現在のバージョンを迷わず確認する
- 公式サイトからの入手:Brotherサポートから更新ファイル(v1.10、動画では約17.39MB)を正しくダウンロードする
- USBの準備:更新で失敗しやすい「USB側の条件」を満たし、ミシンに確実に認識させる
- Loadモードへの入り方:電源投入時のボタン操作を、手順として間違えない
- 更新後の検証:更新完了の表示だけで終わらせず、設定画面でv1.10になったことを確認する
運用上の注意(バージョンについて) この動画は v1.10 への更新手順を実演しています。コメントでは v1.11(10/06/22リリース) に触れている方もいます。また、v1.11へ更新した後に挙動面の不満を挙げている方もいます(例:模様の実寸表示のタイミングなど)。本記事では、あくまで動画で確認できる v1.10 の手順に沿って解説します。別バージョンへのダウングレード可否はコメント内でも解決しておらず、投稿者もBrotherへの問い合わせを推奨しています。
もし「不具合対策」で内部ソフトを整えるなら、同じタイミングで物理作業も見直すと効率が上がります。たとえば、枠張りの摩擦や枠跡で悩む現場では、マグネット刺繍枠 brother se1900 用 を検討する方もいます。枠張りのやり直しが減ると、更新後の“安定稼働”がそのまま生産性に繋がります。
現在のソフトウェアバージョンを確認する

更新作業に入る前に、まず現状確認です。「更新ファイルがある=必ず更新」ではありません。すでに最新(または対象バージョン以上)なら、作業自体が不要です。
手順(本体側)
- 電源ON:通常通り電源を入れます。起動時の動作(キャリッジの初期動作)がいつも通りかも確認します。
- 設定(紙のアイコン):液晶タッチパネルで Settings(設定) を押します。見た目は「紙/書類」のアイコンです。
- 最終ページまで送る:画面の 次ページ矢印 で、設定の最後のページまで進めます。矢印がグレーアウトするところまで。
- Versionを読む:画面下部にある Version 表示を確認します(同じ画面内に「No.」やステッチカウント等が並びます)。

チェックポイント
- 画面:"Version" の文字と数値(例:1.07)がはっきり見えている
- 記録:数値をメモした(記憶に頼らない)
期待される結果
- 動画の例では Version 1.07。この場合、v1.10更新の対象です。
補足:もしすでに 1.10以上 なら、このガイドの更新作業は不要です。別の不調がある場合、ファームウェア以外(針の状態、糸道、データ破損、USB条件など)を疑う方が現実的です。
Brotherサポートから更新ファイルをダウンロードする

更新作業は「USBで本体に入れる」工程が目立ちますが、実はその前のダウンロード段階での取り違えが事故につながります。必ず公式サポートから入手します。
手順(PC側)
- Brother公式サポートへ:SE1900の製品ページ(サポート)に移動します。
- Downloads & Drivers:ダウンロード/ドライバの項目を開きます。
- OSを選択:使用しているPCのOS(Mac/Windows)を選びます。
- Update softwareを選ぶ:更新ソフト(動画ではリリース日 04/21/2020、バージョン 1.10)を確認してダウンロードします。
- 保存先はデスクトップ推奨:USBへ直接保存せず、いったんPC(例:デスクトップ)に落としてからUSBへコピーします。

チェックポイント
- サイト:公式のBrotherサポートページである
- OS:今使っているOSを選んでいる
- 情報:v1.10であること、動画ではファイルサイズが約17.39MBであることを確認できる

期待される結果
- PC上に更新ファイルが用意でき、次の「USB準備」に進める状態になっている
更新用USBメモリの準備(ここが一番つまずきやすい)

この工程が最重要です。コメントでも「形式が合わない」「うまくダウンロードできない」「USBを認識しない」といった声が出ています。更新作業は、USBが“きれいな状態”であることが前提になります。
更新用USBの基本ルール
- 中身は空:USBメモリには他のファイルを入れない(投稿者も「空のUSBを使って」と返信しています)
- 更新ファイルは直下(ルート):フォルダの中に入れない
- PCから安全に取り外す:コピー後は「取り出し/取り外し」を実行してから抜く
注意:コメントでは「大容量USB(例:64GB)だとミシンが読まないことがあった」「16GBなら動いた」という具体例が出ています。USBの相性・容量はトラブル要因になりやすいので、まずは読み込み実績のある容量のUSBで試すのが現場的です。
手順(コピー作業)
- USBを空にする:更新専用として、他のデータが入っていない状態にします。
- 更新ファイルをコピー:PCにダウンロードした更新ファイルを、USBの最上位(ルート)へコピーします。
- 安全に取り外す:OSの「取り出し」を実行してからUSBを抜きます。
注意(作業安全):更新自体はソフト作業ですが、電源の入れ直しを伴います。針棒まわりやキャリッジ可動域に手や道具がない状態で作業してください。
準備チェック(全部OKになるまで次へ進まない)
- 現状:本体のVersionが1.10未満である
- USB:USBは空(他ファイルなし)
- 配置:更新ファイルがUSB直下(フォルダ内ではない)
- 取り外し:PC側で安全に取り外した
- 電源:更新中に電源が落ちない環境(抜けやすい延長コードは避ける)
枠張りの作業も同じで、「専用化」と「手順固定」がミスを減らします。枠張りの効率化を考えるなら、マグネット刺繍枠 のような選択肢もあります。
SE1900にv1.10をインストールする(Loadモード)

ここからが本体側の更新です。ポイントは「電源OFFの状態から、特定ボタンを押しながら電源ON」でLoad画面に入ることです。
手順1:Loadモードに入る(ボタン操作の順番)
- 電源OFF:いったん電源を切ります。
- 針上下(Needle Position)ボタンを確認:アイコンは針と上下矢印です。
- 押しながら電源ON:
- 針上下ボタンを 押し続けたまま
- その状態で電源スイッチを ON にします
- Load画面が出るまで離さない:白いLoad画面が表示されるまでボタンを押し続けます。

チェックポイント
- 画面:通常起動ではなく、USBメディア接続を促すLoad画面になっている
- 挙動:通常の起動音/初期動作とは違う状態になっている
手順2:USBを挿して更新を実行
- USBを挿す:ミシン右側のUSBポートに挿します(動画では側面ポート)。
- LOADを押す:画面の Load をタップします。
- 進捗を待つ:パーセント表示が進み、100%まで待ちます。


注意(最重要):更新中は 電源を切らない、USBを抜かない。画面上にも「電源をOFFにしない」旨が表示されます。途中で%表示が止まったように見えても、処理中の可能性があります。
期待される結果
- 100%まで進み、"Upgrade complete"(更新完了)が表示される

補足:更新中に不安になって触りたくなるのは自然ですが、ここは“待つ”のが正解です。
更新が成功したか確認する(Version 1.10の表示まで)

完了表示が出ても、最後にVersionを確認して初めて作業完了です。
手順(検証)
- USBを抜く:"Upgrade complete" 表示後、USBを取り外します。
- 電源OFF→ON:いったん電源を切り、通常起動で電源を入れ直します。
- 設定画面でVersion確認:Settings → 最終ページ → Versionを確認します。


チェックポイント
- 起動:通常通り起動し、キャリッジもいつも通り動く
- 表示:Versionが 1.10 になっている
期待される結果
- SE1900がv1.10になり、更新作業が完了
トラブルシューティング(症状→原因→対処)
うまくいかない場合は、焦らず「USB」「操作手順」の順で切り分けます。コメントでもUSB関連のつまずきが多いです。
| 症状 | 起こりやすさ | ありがちな原因 | 対処(低コスト→高コスト) |
|---|---|---|---|
| Loadモードにならず通常起動してしまう | 高 | ボタンを押すタイミング/押し続けが不足 | 電源OFF→針上下ボタンを押し続けたまま→電源ON。Load画面が出るまで離さない。 |
| USBを認識しない/読み込まない | 高 | USBに他ファイルが入っている、配置がフォルダ内、USB相性/容量 | 1) USBを空にする(他ファイルなし)<br>2) 更新ファイルをUSB直下へ<br>3) 別のUSBで試す(コメントでは64GBで読めず16GBで読めた例あり) |
| ダウンロードや形式でつまずく(Macでうまくいかない等) | 中 | OS選択違い、保存/コピー手順の混乱 | BrotherサポートでOSを正しく選択→PCに一度保存→USBへコピー。まずは「空のUSB」で再トライ。 |
| v1.11にしたら挙動が気になる/v1.10に戻したい | 中 | バージョン差による挙動変化 | コメント内では解決策が提示されていません。投稿者はBrotherへの問い合わせを推奨しています。 |
現場向けメモ:更新後に「次のボトルネック」を見つける
更新でミシンの土台が安定したら、次は作業フローのボトルネックを見直すタイミングです。たとえば、枠張りで枠跡が出る、厚物でズレる、枠張りに時間がかかる…といった問題は、ファームウェア更新では解決しません。
この段階でアクセサリーを点検する方も多いです。
- スタビライザー:刺繍密度や素材に合っているか
- 刺繍枠/フープ:素材に対して保持力が適切か
厚手のパーカーやバッグなどで保持が難しい場合、マグネット刺繍枠 brother se1900 用 のような選択肢を検討する現場もあります。
注意(マグネットの安全):マグネット刺繍枠は強力です。指を挟む危険があるため、扱いは慎重に。近づけて“吸わせる”のではなく、基本はずらして着脱します。また、ペースメーカー等の医療機器には近づけないでください。
セットアップチェック(Setupの最終確認)
- 環境:作業台が安定し、針棒まわりに物がない
- 状態:電源OFFから開始できる
- USB:更新用USBが空で、更新ファイルが直下にある
- 心構え:更新中は電源OFF/USB抜き取りをしない
作業チェック(Operationの最終確認)
- 導入:Loadモード(白い画面)に入れた
- 実行:画面のLoadを押した
- 待機:100%と完了表示まで待った
- 再起動:USBを抜いて電源OFF→ONした
- 検証:設定画面でVersion 1.10を確認した
完了状態(「できた」の判断基準)
更新が成功すると、派手な変化はありません。ミシンが“普通に安定して動く”のが成功です。
更新後の目安
- Version:1.10
- 安定性:高い状態を期待できる
- 次の改善:枠張りや素材保持など、物理工程のムダを削る
日々の刺繍作業も同じで、「トラブルの芽を先に潰す」ことが生産性に直結します。更新で内部を整えたら、必要に応じて brother マグネット刺繍枠 や brother マグネット刺繍枠 5x7 のような周辺ツールも含め、作業全体の摩擦を減らしていきましょう。
ミシンの土台は整いました。あとは安心して、刺繍に集中できます。
