Brother SE1900(SC 1900)糸掛けをシンプルに:ボビン巻き・上糸の再セット・よくあるミスの回避ポイント

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Brother SE1900(動画内ではSC 1900と呼称。SE600/PE800にも同様の考え方が適用可能)で、ボビンを新しく巻く手順と上糸(1〜8)の正しい通し方を、チェックポイントと「うまくいっている状態」の目安つきで解説します。ボビンワインダーが動かない/自動糸通しが掛からないといった、現場で多いトラブルの切り分けもまとめました。
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目次

Brother SE1900(SC 1900)の基本:糸掛けトラブルは「故障」より「位置」と「掛かり」

刺繍を始める前から、ボビンが巻けない/Start/Stopランプの状態が変わらない/縫い始めたら裏で糸が団子(いわゆる鳥の巣)になる……。こういう時ほど深呼吸してください。多くの場合、機械の不良ではなく、レバーや軸の「物理位置」、あるいは糸がテンション機構に「きちんと掛かっていない」ことが原因です。

マシン刺繍は、テンション(糸調子)とタイミングの積み重ねです。このガイドは動画の流れをベースにしつつ、作業中に確認できる手触り・見え方・ランプの状態など、現場で役立つチェック項目を補強しています。ボビンは「糸を巻く」だけでなく、適正な張りで巻くことが重要。上糸は「穴に通す」だけでなく、テンション板と天秤(テイクアップレバー)に確実に噛ませることが重要です。

Jamel pointing to the Brother SE1900 embroidery machine on his desk.
Introduction

ここで身につくこと(成功状態のイメージ)

この手順を終えると、次ができるようになります。

  • 硬めに均一なボビンを巻ける: 巻きムラや「ふわ巻き」を避け、巻き終わりの挙動(減速・半回転)で満量を判断できる。
  • 天秤(テイクアップレバー)を確実に拾える: 上糸がテンション系に入り、裏糸のループや糸絡みを減らす。
  • 自動糸通しを安定して使える: 押さえの状態と手順を守り、掛からない原因を切り分けられる。
  • 症状から最短で原因に当たれる: 「動かない」「掛からない」をランプ色と物理位置で判断できる。

初めて brother 刺繍機能付きミシン を触る方は、ここを「離陸前点検」だと思ってください。刺繍の仕上がりは、データだけでなく糸の制御で決まります。

Step 1:ボビンを巻く

SE1900のボビン巻きは、単なる糸の移し替えではありません。針側の駆動から、ワインダー側の駆動へ“物理的に切り替える”作業です。ここが曖昧だと、ボタンを押しても動きません。

Brother machine LCD screen lighting up with the logo during boot sequence.
Powering on

1)電源ON:初期化が終わるまで待つ

  • 本体側面の電源スイッチを入れます。
  • 音の目安: モーターが作動して位置合わせする作動音が出ます。
  • 待つ: Brotherロゴ表示〜初期動作が終わり、画面が操作可能になるまで触らない。

チェックポイント: ホーム画面になり、機械がアイドル状態(静か)になっている。

Holding a clear plastic bobbin ready to be placed on the winder.
Bobbin Prep

2)ボビン巻きモードに入れる(ランプ色が変わる工程)

  • 空ボビンをボビンワインダー軸に差し込みます。
  • 重要: ワインダー軸を右へしっかり押します。

この「右へ押す」動作が切り替えスイッチです。ここが甘いと、機械はボビン巻きモードだと認識しません。

期待される状態: Start/StopボタンのLEDがオレンジになります。オレンジになっていない=巻きモードに入っていません。

Finger pushing the bobbin winder shaft to the right, engaging the winding mechanism.
Engaging winder

注意:回転部の危険
回転中は指・髪・アクセサリー・袖口を近づけないでください。糸を切るのは、必ず停止してから。

3)ボビン巻きの糸掛け(点線の番号に沿う)

上面カバーにある点線の番号に沿って通します(上糸の実線番号とは別ルートです)。

  1. ガイド 1 に通す。
  2. 要点(ガイド2): 金属のプリテンション(予備テンション)部に糸を回し、金属円盤の下に確実に入れる
    • チェックポイント: 糸をただ乗せるのではなく、軽く“フロス(糸をこすり入れる)”する感覚で入れます。入った時にわずかな抵抗感が出ます。
    • 理由: ここで抵抗が作れないと、ボビンが「ふわ巻き」になりやすく、縫製・刺繍時に下糸が過剰に出て絡みの原因になります。
  3. ボビンに糸を約3回きつめに巻き付けます(動画の手順)。
  4. ワインダー台座のカッター溝に糸を入れてカットします。

チェックポイント: ガイド2〜ボビン間の糸がフニャっと緩い場合は、ガイド2に正しく入っていない可能性が高いので、いったん戻してやり直します。

looping the black thread around the metal pretension disc (guide #2).
Threading bobbin path
Manually wrapping the thread around the bobbin base three times.
Securing thread

4)ボビンを巻く

  • オレンジ点灯しているStart/Stopボタンを押して巻き始めます。
  • 巻きが進み、満量に近づくと回転が減速したり、半回転っぽく“もたつく”挙動になります(動画の目安)。その時点で停止します。

期待される状態: ボビンが均一に巻けており、触った感触が「しっかり硬い」。

Pressing the illuminated Orange Start/Stop button to begin winding.
Starting motor
The bobbin spinning rapidly on the top of the machine filling with black thread.
Winding in progress

つまずきポイント(コメントより要約):「ボビンワインダーが何も反応しない」

ボタンを押しても動かない場合、原因はほぼこれです。

  • ワインダー軸が右に押し切れていない

見分け方: Start/StopのLEDがオレンジになっているか。オレンジでなければ、まず軸を右へ押してモードを確定させます。

Step 2:上糸(上部ルート)を正しく通す

上糸の通しミスは、刺繍トラブルの大半につながります。SE1900は本体に実線の番号(1〜8)があり、その順に通します。重要なのは「通した」ではなく、テンション板と天秤に“掛かった”状態になっているかです。

Finger tracing the upper thread path number 1 down the channel.
Upper threading

始める前に:糸は「捕まって」初めてテンションが効く

糸は、テンション板(2〜3の間の機構)と、天秤(4)に確実に捕まる必要があります。溝に“置いただけ”だとテンションが掛からず、裏でループが出たり、絡んだりします(下糸のせいに見えがちですが、上糸側のことが多いです)。

基本ルール:上糸を通すときは押さえを上げる。

  • 押さえが上がっているとテンション板が開き、糸が奥まで入りやすくなります。

1)ガイド1〜4(天秤を落とさない)

押さえを上げた状態で、実線番号に沿って通します。

  1. ガイド 1 の下を通す。
  2. 2 へ上げる。
  3. 縦溝を下りて 3(Uターン)。
  4. 再び上げて 4(天秤/テイクアップレバー)。

最重要(#4): カバー内部の金属製の天秤に、糸がアイ(穴)に入っていること。

チェックポイント: 溝の中を覗いて、糸が金属のアイに通って見えるか。見えなければ先へ進まず、#1〜#4を通し直します。

Detail view of the thread going into the take-up lever channel (Step 4).
Threading take-up lever

2)針棒まわり(5〜6)

  • 5 まで糸を下ろします。
  • 針留めの少し上にある金属ガイド(6)の裏側へ糸を回します。

期待される状態: 糸が針の近くで安定し、前に浮いたり暴れたりしない。

Positioning thread behind the number 6 needle bar guide.
Threading needle bar

なぜここまで細かいのか(後工程の不良を減らすため)

糸道は「摩擦の設計」です。各ガイドは高速動作中の糸ブレを抑えるための通路で、1つ外すだけで糸切れや目飛びの原因になります。

長時間運用で Brother 刺繍ミシン を安定稼働させたいなら、このルーティングを毎回同じにするのが近道です。

自動糸通し(オートスレダー)の使い方

動画で一番重要なルールはこれです。

自動糸通しを使う前に、押さえを下げる。

手順(7〜8)

  1. 停止: 本体背面のレバーで押さえを下げます(ここが必須)。
  2. ガイド 7 に糸を通します。
  3. ガイド 8(本体側面の糸切り)で糸をカットします。
  4. 左側の白い自動糸通しレバーを、最後までしっかり下げます。
  5. レバーをゆっくり戻すと、針穴に糸のループが出ます。
  6. ループを後ろへ引いて通し切ります。

チェックポイント: 針穴の後ろ側に、糸のループが1つ見える。

Cutting the thread on the side cutter (Step 8) before threading.
Trimming thread
Hand reaching behind the machine to lower the presser foot lever.
Preparing to thread needle
Pushing down the white automatic needle threader lever on the left side.
Threading the needle
The thread loop successfully pulled through the eye of the needle.
Threading complete

注意:針まわりは危険ゾーン
レバーを無理に押し込まないでください。抵抗が強い時は、押さえが上がっている/針が曲がっている等の可能性があります。

つまずきポイント(コメントより要約):「ランプが赤のまま/糸通しが動かない」

コメントでも多かったのが、ランプ状態と押さえの関係の見落としです。

  • SE1900は、押さえが上がっていると一部動作がロックされることがあります。
  • 対処: 押さえを下げると、準備状態になり自動糸通しが動作しやすくなります。

よくある糸掛けミスと回避

初心者ほど「機械が悪い」と感じやすい、静かなミスです。

ミス1:押さえを下げたまま上糸を通す

症状: 縫い始め直後に裏が鳥の巣。 原因: テンション板が閉じていて、糸が板の間に入っていない。 対処: 押さえを上げてから、上糸を最初から通し直す。

ミス2:ボビン巻きでガイド2(プリテンション)に入っていない

症状: ボビンがふわっと巻ける/巻きが偏る。 対処: ガイド2の金属円盤の下に糸が入るように通し直す。

ミス3:天秤(#4)に掛かっていない

症状: 裏でループが出る/糸が不安定。 対処: #1〜#4を通し直し、天秤のアイに糸が見えることを確認。

ミス4:自動糸通し前に押さえを下げていない

症状: レバーを操作しても針穴に掛からない。 対処: 押さえを下げてから、#7→#8→レバー操作の順でやり直す。

ミス5:枠跡(枠跡・枠跡のテカリ)を後回しにする

大量の 刺繍ミシン 用 枠入れ 作業をしていると、標準枠で生地に輪ジミのような跡が残ることがあります。糸掛けが完璧でも、ここが品質の上限になります。


Prep

画面を触る前に、作業を安定させるための「準備」を揃えます。

消耗品と事前チェック(忘れがちなところ)

  • スタビライザー: 生地だけで刺繍は安定しません。用途に合わせて選びます。
  • 針: 針が曲がっていると糸通し不良の原因になります。
  • ハサミ: 糸端処理がすぐできるように手元に。
  • ボビン: 空ボビンを用意し、巻きモードに入れる(軸を右へ)。

Prepチェックリスト(離陸前点検)

  • 電源投入後の初期化: ホーム画面まで進み、異音がない。
  • ボビン巻きモード: ワインダー軸が右(LEDオレンジ)。
  • ガイド2: 糸が金属円盤の下に入っている。
  • 巻き付け: ボビンに約3回、きつめに巻いてからスタート。
  • 安全: 回転部に指や衣類が近づかない。

Setup

ここは「毎回同じ手順で再現する」ためのセットアップです。

セットアップの確認ポイント

  • LEDの意味: オレンジ=ボビン巻き。赤=未準備/ロック状態の可能性。
  • 押さえの使い分け: 上糸を通すときは押さえUP。自動糸通しは押さえDOWN。
  • ボビン周り: ボビンの向きが違うと刺繍が乱れる原因になります(向きが重要)。

判断の目安:「次に何を改善すべき?」

基本の糸掛けが安定したら、次は作業のボトルネックを見ます。

1) 枠跡や厚物で標準枠がつらい?

2) 枠張り(枠入れ)に時間がかかりすぎる?

注意:マグネットの安全
マグネット刺繍枠は強力磁石を使用します。指挟み、磁気の影響(医療機器・磁気カード等)に注意してください。

Setupチェックリスト(糸掛け直前)

  • 押さえUP: 上糸ルート(1〜6)を通す前。
  • 天秤確認: #4のアイに糸が見える。
  • ガイド6: 糸が金属ガイドの裏に入っている。
  • 押さえDOWN: 自動糸通しを使う前。

Operation

ここからは実行順(作業の型)です。

推奨シーケンス(この順でやると迷いにくい)

  1. 起動: 電源ON → 初期化完了まで待つ。
  2. ボビン: 空ボビン装着 → 軸を右へ → ガイド1〜2 → ボビンに約3回巻く → カット → オレンジボタンで巻く → 満量の挙動で停止。
  3. 上糸: 押さえUP → 1〜4(天秤確認)→ 5〜6。
  4. 自動糸通し: 押さえDOWN → 7 → 8でカット → 白レバー操作 → ループを引き抜く。

正常状態の目安

  • 挙動: ボビン満量で回転がもたつく(半回転っぽくなる)。
  • 見え方: 天秤のアイに糸が通って見える。
  • 糸通し: 針穴の後ろにループが出る。

実行後チェック(最低限)

  • ボビンの硬さ: ふわっとしていない。
  • モード: 巻き工程が終わったら、必要に応じてモードを戻す。
  • 糸のねじれ: 針周りで糸が変に絡んでいない。

Quality Checks

長い刺繍を回す前に、短時間でできる確認です。

2つの速攻チェック(見る・触る)

  1. 天秤の目視: #4のスリット内で、糸が金属のアイに入って見えるか。
  2. ガイド6の位置: 糸がガイドの裏に入っているか(前に出ていないか)。

標準の 刺繍枠 brother se1900 用 で枠張り回数が多い作業では、枠の扱いが作業時間を左右します。枠の運用がボトルネックなら、枠の種類や治具の見直しが効きます。

Troubleshooting

症状 → 原因 → 対処の順で、安い・早いところから潰します。

1)ボビンワインダーが動かない(ボタンが死んでいるように見える)

  • 症状: 電源は入っているのに、押しても無反応。
  • 原因: ワインダー軸が右に入っていない。
  • 対処: 軸を右へ押し、Start/Stop LEDがオレンジになるのを確認。

2)ランプが赤のまま(ロック状態)

  • 症状: 操作が通らない/反応が限定される。
  • 原因: 押さえの状態が条件を満たしていない可能性。
  • 対処: 押さえを下げ、状態変化を確認。

3)自動糸通しが掛からない(針穴に入らない)

  • 症状: レバー操作してもループが出ない。
  • 原因: 押さえが上がっている。
  • 対処: 押さえを下げてから、7→8→レバーの順で再実行。

4)裏が鳥の巣(下で糸が爆発)

  • 症状: 少し縫っただけで下側が絡んで停止。
  • 原因: 上糸がテンションに入っていない(押さえDOWNで通した等)。
  • 対処: 押さえを上げ、上糸を最初から通し直す。天秤のアイまで必ず確認。

5)ボビンの巻きが偏る(片側が高い)

  • 症状: ボビンが円すい状に巻ける。
  • 原因: ガイド2(プリテンション)に正しく入っていない。
  • 対処: いったんほどいて、ガイド2に入れ直してから再度巻く。

Results

Brother SE1900は、番号表示と物理スイッチのロジックが分かると一気に安定します。ボビンは点線番号、上糸は実線1〜8。さらに、ワインダー軸は右で巻き(オレンジ)、自動糸通しは押さえを下げてから。この2点を守るだけで、つまずきの多くは解消します。

セットアップが毎回同じにできるようになると、次は作業効率(枠張りの時間、枠跡、厚物対応)が課題になります。必要に応じて brother pe800 用 マグネット刺繍枠 のようなマグネット刺繍枠の導入も検討すると、枠張りの負担を減らせます。

次の一手: まずは「天秤に糸が入って見えるか」「自動糸通し前に押さえを下げたか」を、今の機械で確認してみてください。