Brother SE425:刺繍モードから縫製モードへ戻す手順(押え・針・フラットベッド・画面確認)

· EmbroideryHoop
Brother SE400/SE425シリーズの刺繍設定から、通常の縫製(ソーイング)設定へ安全に戻すための実務ガイドです。刺繍ユニットの取り外し、フラットベッド(アクセサリーケース)の取り付け、押え金をQ→Jへ交換、針を縫製用(動画ではSchmetz Jeans 100/16)へ交換し、起動後にユーティリティステッチ(1〜67)が表示されることを確認します。現場で効く事前チェック、やりがちなミスの回避、フラットベッドが固い時の対処、「上糸を確認して再度糸を通してください」表示の切り分けもまとめました。
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目次

刺繍→縫製へ戻す「切り替え」の全体像(Brother SE425/SE400系)

この記事にたどり着いた方は、おそらく brother 刺繍機能付きミシン を前にして、「刺繍は終わった。次は裾上げ/組み立て/補修をしたい」という状態だと思います。

刺繍モードから縫製モードへの切り替えは、部品を付け替えるだけではありません。刺繍では“プログラムされた動作を安定して回すオペレーター”ですが、縫製では“速度・送り・テンションをその場でコントロールする運転者”になります。

この切り替えでよく起きるのが、物理的な付け替えを急いだ結果の「原因不明トラブル」です。糸絡み、針折れ、そして起動直後の「上糸」系エラーなどは、ほとんどが“付け替えの基本確認不足”から発生します。

ここでは単なる手順ではなく、機械を傷めないための“感覚的な合図(クリック音/止まり感/抵抗の有無)”まで含めて、縫製にスムーズに移行できるように整理します。

「操縦席」準備:必要工具と見落としがちな消耗品

ネジに触る前に、作業環境を整えます。ネジなめ・針落下・ベッド面の傷は、だいたい「手元に必要な物がなくて焦る」ことで起きます。

A handwritten title card shaped like a frame listing required tools: J Foot, Screwdriver, Sewing needles.
Introduction

必須の工具(ハード)

動画の内容に沿って、最低限これを用意します。

  • 純正の“羽根付き”ドライバー:機械付属のドライバーは握りやすく、ネジ頭から滑りにくい形状です。無理なトルクをかけにくいので、針止めネジや押え金固定ネジを傷めにくくなります。
  • 押え金「J」(ジグザグ押え):金属部に 「J」刻印 が入っています。縫製の基本押えとして使うことが多いタイプです。
  • 縫製用ミシン針:動画では Schmetz Jeans(100/16) を使用しています。厚物向けの例なので、縫う素材に合わせて選んでください(後半の目安を参照)。
Close up of the 'J' foot showing the embossed letter J.
Tool identification
Close up of the Brother machine screwdriver showing the winged handle design.
Tool identification

見落としがちな“作業用消耗品”(途中で困りやすい)

DRAFT内の提案として、作業の詰まりを防ぐために次を手元に置いておくと安心です。

  1. マグネットトレー(または小皿):外した針やネジの置き場がないと、落下→紛失→作業中断になりがちです。
  2. 糸くずブラシ:送り歯まわりが触れる状態になるので、短時間で掃除できると次工程が安定します。
  3. 試し縫い用の端切れ:切り替え直後に本番へ入らず、まずは端切れで縫い目と糸調子を確認します。

部品名の補足(動画で出てくる“名前が出てこない部品”)

コメントで補足されている通り、動画内で「これ何て呼ぶんだっけ?」となっている部品は Low Shank Snap-On Presser Foot Adapter(ローシャンク用・スナップオン押えホルダー/アダプター) です。

  • ここが重要な理由:押え金Jのようなスナップオン系の押えは、このアダプターを介して取り付けます。一方で刺繍押えQは取り付けの“かかり方”が違うため、外すときに「少ししっかり噛んでいる感じ」が出ます。故障ではなく構造差です。

🛠️ フェーズ1:分離(刺繍ユニットを外す)

刺繍ユニット(キャリッジ部)はステッピングモーターを含む精密部品で、レイアウトの中でも高価で繊細なユニットです。

Wide shot of the Brother SE425 machine in embroidery configuration with unit attached.
Setup overview

「抵抗ゼロ」ルール

動画では、ユニットが外しやすい位置(キャリッジが退避した状態)になっている前提で進みます。

  • 現場のコツ:途中で電源を切った/刺繍の途中で止めた場合、キャリッジが中途位置のままのことがあります。外す前に、機種の案内に従って“取り外し可能な状態”にしてから作業してください(動画でも「前回オフにする時に外す操作をしたので、位置が戻っている」という趣旨の説明があります)。

取り外し手順(動画の動きに合わせて)

  1. 解除レバー(ボタン)を探す:刺繍ユニットの左下(裏側)に手を入れ、解除のレバー/ボタンを押します。
    • チェックポイント:バネ感のある抵抗があり、押している間だけロックが外れる感触です。
  2. 左へ水平スライド:解除したまま、ユニット全体を 左方向 にまっすぐスライドさせます。
    • チェックポイント:持ち上げたり、斜めにこじったりしません。机と平行を保ちます。
  3. 「外れた」感触(ポンと抜ける):機械的に噛み合いが外れる感触/音が出ます。
Hand reaching under the embroidery unit to press the release mechanism.
Removing embroidery unit
Holding the designated embroidery unit controller separate from the machine.
Unit removal

なぜ「まっすぐ・やさしく」が必須なのか

brother ミシン の接続部は繊細です。斜め方向に力をかけると、接点に負担がかかります。

  • 抵抗がある場合は いったん止める → 少し右へ戻して噛み合いを整える → 解除を押し直して再トライ、の順で落ち着いて行ってください。

🛠️ フェーズ2:押え金交換(押え棒まわりを縫製仕様に戻す)

切り替えでミスが出やすいのがここです。刺繍押えQ(刺繍向けの動き)から、縫製押えJ(布を押さえて送る基本押え)へ戻します。

Using the winged screwdriver to loosen the screw holding the Q foot.
Removing presser foot
Manually wiggling the embroidery foot (Q) off the shank.
Removing presser foot

手順1:押え金Qを外す

  1. クリアランスを最大に:押え上げレバーを上げます。動画でも、外しやすいようにしっかり上げています。
  2. 固定ネジをゆるめる:羽根付きドライバーで反時計回り。
  3. 軽く“ゆすって”外す:押え金Qは押え棒にしっかり回り込む形なので、スナップオン押えのように簡単に落ちないことがあります。無理に引っ張らず、左右に軽く動かして外します。

手順2:押え金Jを取り付ける

  1. 押え金Jを差し込む:押え上げレバーを高く上げ、J押えが入るスペースを確保します(動画では“さらに高く上げられる”動きも見せています)。
  2. 位置を合わせる:押え棒側の取り付け位置にJ押えを合わせます。
  3. ネジを締めて固定:ドライバーでしっかり固定します。
    • チェックポイント:締める前は押えが少しグラつきますが、ネジが効いてくるとまっすぐ安定します。締め不足は針落ちや異音の原因になります。
Lifting the presser foot lever extra high to slide the J foot underneath.
Installing presser foot
Tightening the screw to secure the J foot onto the machine.
Securing presser foot

注意:機械安全
押え金交換や針交換は、基本的に電源オフの状態で行うのが安全です。誤ってスタートボタンに触れると、針が動いてケガにつながります。


🛠️ フェーズ3:針交換(縫い品質を決める“心臓部”)

刺繍用の針から縫製用の針へ戻します。動画では縫製用としてSchmetz Jeans(100/16)を入れています。

Unscrewing the needle clamp screw to release the embroidery needle.
Changing needle

手順1:刺繍針を外す

  1. 片手で針を支えます(落下防止)。
  2. もう片手で針止めネジをゆるめます。
  3. 外した針は安全な場所へ(動画ではマグネットに置いています)。

手順2:縫製針(例:Schmetz Jeans 100/16)を入れる

動画の要点は「向き」と「奥まで入れる」です。

「フラット面は後ろ」ルール

  • 針の軸には平らな面と丸い面があります。平らな面がミシンの後ろ側、丸い面(色付き側)が前側です。
  • チェックポイント:針を上まで押し込み、止まるところまで入れます。動画でも“指先(爪)で押し上げて奥まで入れる”動きが出ています。
  • 作業スペースが狭く入れにくい場合は、指ぬき等で保護しながら行うと安全です(動画内でも言及があります)。
Fingers holding a sewing needle demonstrating the flat vs round side orientation.
Needle explanation
Pushing the new needle up into the needle clamp assembly.
Installing needle

針選びの目安(動画は厚物例)

動画はJeans針(100/16)なので、すべての縫製にそのまま当てはめないようにします。

  • A:布帛コットン/一般的な小物・キルト
    • 目安:ユニバーサル 80/12〜90/14
  • B:ニット/Tシャツなど伸縮素材
    • 目安:ボールポイント/ストレッチ系(針先が生地を傷めにくい)
  • C:デニム/キャンバスなど厚物(動画の例)
    • 目安:Jeans/Denim 100/16

📝 事前チェックリスト(通電前)

ここで一度止まって、次の5点を確認してから電源を入れます。

  • ユニット退避:刺繍ユニットは外して、平らな場所に置いた
  • ベッド面:フラットベッドが本体に面一で取り付いた
  • 押え固定:押え金Jが取り付いて、固定ネジが締まっている
  • 針の向き:針の平らな面が“後ろ”を向いている
  • 針の高さ:針が奥の止まりまで入っている

🚀 フェーズ4:電源オンと表示確認(縫製メニューに入るか)

ここから通電します。起動時に機械が状態をチェックします。

The LCD screen illuminates blue, displaying the sewing stitch menu instead of the embroidery menu.
System verification

認識の確認手順

  1. 電源オン:スイッチを入れます。
  2. 画面確認:LCDが縫製側のメニューに入り、ユーティリティステッチ(1〜67) が表示されればOKです(動画でも1〜67が表示されます)。
  3. もし刺繍側の表示になる場合は、機械が刺繍ユニット装着状態だと判断している可能性があります。いったん電源を切り、取り付け状態(特にフラットベッドのはまり)を落ち着いて見直します。

フットコントローラーなしで縫う(スタート/ストップボタン)

動画ではフットコントローラーを使わず、スタート/ストップボタンで動かしています。

  • 現場のコツ:ボタン操作は一定速度になりやすいので、最初は速度スライダーを低めにして試し縫いを行うと安全です。
Displaying the Brother Quick Reference Guide booklet.
Reference material
Pressing the green Start/Stop button on the front of the machine without a foot pedal.
Functionality test

📝 動作チェックリスト(縫い始め前)

  • 画面:ユーティリティステッチ(1〜67)が表示されている
  • 上糸:縫製用の糸で上糸が通っている(未通しだとエラーが出ます)
  • 下糸:下糸(ボビン糸)がセットされている
  • 速度:最初のテストは低速
  • 試し縫い:端切れで数針縫って、糸調子と針当たりを確認した

💡 トラブルシューティング:「なぜエラーが出る?」切り分け表

慌てず、症状→原因→対処の順で確認します。

症状 ありがちな物理原因 対処(低コスト→高コスト)
「上糸を確認して再度糸を通してください」表示 上糸が通っていない/テンションがかかっていない(動画では未糸通しでエラーを出しています) 1. 上糸を通し直す(押え上げレバーを上げた状態で)
フラットベッドが固くて入らない 内部のツメ(小さな突起)に位置が合っていない 無理に押さない。いったん引いて水平を出し、ツメに当たって少し押し上がる感触を作ってから、やさしく押し込む(動画の説明通り)
針の取り付けがやりにくい/うまく入らない 作業スペースが狭い、針の向きが合っていない、奥まで入っていない 平らな面を後ろにして、止まりまで押し上げる。指先が痛い場合は指ぬき等を使用(動画で言及)
LCD screen displaying warning: 'Check and rethread the upper thread'.
Troubleshooting/Error demonstration

🎓 作業効率の話:枠跡(枠跡=枠跡)を減らす発想

Brother 刺繍ミシン と縫製を頻繁に行き来する方は、シャツへのロゴ入れやワッペン作業など、同じ機械を“刺繍と縫製で兼用”しているケースが多いはずです。

そこで出やすいのが 枠跡(生地が押しつぶされて輪ジミのように残る状態)です。特に起毛素材やスポーツ系の薄手素材では目立ちやすく、戻りにくいことがあります。

いつ道具を見直すか

  • 課題:一般的な樹脂枠は締め付けが強くなりやすく、枠張りに手間もかかります。
  • 対策(手順面):粘着系のスタビライザーで“浮かせ貼り”をする方法もありますが、コストと手間が増えがちです。
  • 対策(道具面):マグネットで保持するタイプの枠(マグネット刺繍枠)を検討する、という流れになります。

注意:マグネットの安全
マグネット式は吸着力が強く、指を挟みやすい点に注意します。また医療機器を使用している場合は、機器メーカーの指示に従って距離を確保するか、使用を避けてください。

まとめ

モード切り替えを安定させると、縫製の立ち上がりが速くなり、刺繍作業の段取りも崩れにくくなります。焦らず、クリック音と“止まり感”を確認しながら進めてください。