mySewnet Stitch Editorで小さなデザインを組み合わせて1枚のキルトブロックに(縫い上がりを整え、色替え回数も大幅削減)

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mySewnet Stitch Editor上で、4つの刺繍デザインを1つのまとまりある8x8レイアウト(キルトブロック/クッションカバー向け)に組み上げる実践手順を解説します。取り込み→作業スペースの確保(ステージング)→反転/回転で対称構成→グリッド基準での位置合わせ→Freehand Select(投げ縄)で干渉部分だけを削除→Color Sortで色替え回数を134から11へ削減、という再現性の高い流れを、ズレ・不要なジャンプ・生産性低下を防ぐための現場チェック込みでまとめました。
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目次

mySewnetで作業環境を整える

日々入手した小さなフリーデザインを、バランスの取れた8x8の大きなレイアウトにまとめる作業は、「縫う人」から「組む人(レイアウトを設計できる人)」へ進むための近道です。キルトブロック、ピローフロント、クッションカバーなど“面”で見せる作品に一気にプロっぽさが出ます。

ただし、複数デザインを合体させたファイルは、画面上で整って見えても、実際の縫製ではリスクが増えます。具体的には、位置ズレ、不要なジャンプ(移動縫い)、色替え回数の増加などが起きやすく、結果として枠張りの難易度や作業時間にも直結します。

このチュートリアルでは、新規の8x8キャンバスを作り、複数の元データを取り込み、対称のフレーム構成に組み上げます。さらに重要なのは、見た目だけでなく「針の下で実際に破綻しにくい」データに仕上げる最終最適化(Color Sort)まで行うことです。

Main interface of mySewnet Stitch Editor with an empty 8x8 grid canvas.
Initial setup

学べること(なぜ重要か)

  • 作業ファイル管理: 複数の元データを開いたまま、新規の8x8ターゲットファイルへタブで行き来しながら組み立てる手順
  • ステージング(仮置き)手法: 貼り付け直後の“重なり事故”を防ぎ、選択ミスを減らす配置の作り方
  • 対称構成の作り方: コピー/貼り付け+反転(Flip)+回転(Rotate)でバランスを取る考え方
  • 精密位置合わせ: マウスドラッグをやめ、キーボードの矢印キー(Nudge)とグリッドで詰める理由
  • 部分編集: Freehand Select(投げ縄)で干渉する一部分だけを削除し、ユニットとして“収まり”を作る
  • 生産性の最適化: Color Sortで色替え回数を大幅に減らす(本例:134→11)

ショップ運用や販売目的の方にとって、これは「時間の経済性」の話です。位置合わせが甘いレイアウトは、試し縫いの回数が増え、やり直し(再枠張り)や資材ロス(裏打ち・糸)につながります。

注意: ステッチ編集は“破壊的”です。削除や切り取りは、密度や下縫い(アンダーレイ)を含む構造に影響し、元に戻せない場合があります。必ず新規の「ターゲット」ファイルで作業し、元データは触らずに残してください(動画の流れもこの方式です)。

見落としがちな準備チェック(ソフトの話でも、最後は縫製)

この内容はソフト操作が中心ですが、ゴールは実際の縫い上がりです。画面上の“きれい”は、布と糸の物理で簡単に崩れます。位置合わせに時間をかける前に、最低限この「現場成立チェック」をしておくと無駄が減ります。

  • 色替えの現実: 合体直後は色替えが極端に増えがちです(本例:134)。最終的にColor Sortで減らす前提でも、途中段階で「今どれくらい増えているか」を把握しておくと、作業の方向性を見失いません。
  • ジャンプ(移動)増加の前提: Color Sort後は、同色をまとめて縫うため、フープ内を横断する移動が増えます。最終的にはシミュレーター(Design Player)で縫い順を確認し、不要な移動が多すぎないかを見ます。
  • 枠張りの難易度: 8x8のような大きめレイアウトは、わずかな布のズレが目立ちます。枠跡(枠の締め跡)が出やすい素材や、引っ張ると歪む素材では、枠張り方法の選択が仕上がりに直結します。
    • 補足: 枠跡や布ズレ対策として、現場では マグネット刺繍枠 を使う人もいます(布を押し込むより“面で保持”しやすいという考え方)。
Using box select to highlight a floral design element.
Select and Move

フリーデザイン4点の取り込みと仮配置(ステージング)

動画では、4つの元データをすべて開いた状態で、さらに新規の8x8(Untitled)ファイルを開き、そこへコピー&ペーストして組み立てています。ポイントは「元データ内で編集しない」こと。合体用の“組み立てマスター”を別に作ります。

手順1 — ターゲットキャンバスを作り、貼り付けを開始

  1. mySewnet Stitch Editorを起動します。
  2. 合体したい4つのデザインファイルを開きます。
  3. 新規で 8x8のUntitled ファイルを開きます。
  4. 1つ目のデザインをコピーし、8x8のタブへ切り替えて貼り付けます。

チェックポイント: 最初の貼り付けは、基本的に中央(デフォルト位置)に落ちます。ここで“完成位置”に置こうとしないでください。まずは素材を揃える段階です。

手順2 — 貼り付けたら即、四隅へ逃がす(作業スペースを作る)

キャンバスは「組み立てエリア」と「部品置き場」を分けると事故が減ります。動画では Box Select でデザイン全体を掴み、グリッドの周辺(外側)へ移動して“仮置き”しています。

  • デザイン#1を貼り付け → 左上へ仮置き
  • デザイン#2を貼り付け → 右上へ仮置き
  • デザイン#3を貼り付け → 左下へ仮置き
  • デザイン#4を貼り付け → 右下へ仮置き

このひと手間が、いちばん多いミス(重なり)を防ぎます。重なった状態でBox Selectすると、意図せず複数要素を一緒に動かしてしまい、気づかない“微ズレ”が蓄積します。

現場のコツ(動画の意図): 部品同士は思い切って離します。クリックしたい要素の近くに別要素があるなら、距離が足りません。

Duplicating and arranging the central floral motif.
Creating pattern

なぜ「離して置く」だけで精度が上がるのか

ステッチエディタの選択枠は、見た目以上に“吸い付き”ます。デザインの周囲の空白も含めて選択されることがあり、隣の要素をかすめるだけで一緒に選ばれます。結果として、配置のたびに微妙にズレ、最後に縫って初めて「左右の隙間が違う」などの違和感として出ます。

精密位置合わせ:グリッドとNudge(矢印キー)

部品を仮置きできたら、組み立てに入ります。動画の精度の要はシンプルで、しかし必須です。マウスドラッグより、矢印キーでNudge

手順3 — 中央モチーフをコピー+反転で組む

  1. 中央に使うデザインを選択します。
  2. だいたい中央へ置きます(この時点で完璧を狙わない)。
  3. コピー&貼り付けで複製します。
  4. ツールバーの Flip(上下/左右反転) を使って鏡像にします。
  5. キーボードの矢印キーで少しずつ動かし、位置を詰めます。

なぜNudgeか: マウスは手首の動きで斜め成分が入りやすく、水平移動のつもりが上下にもズレます。矢印キーはX/Y方向にしか動かないため、縦を合わせた状態で横だけ詰める、といった作業が崩れません。

Cursor clicking the Flip Vertical/Horizontal icons.
Orientation adjustment

トラブル対策の目印: クリックするたびに位置が“歩く”ようにズレるなら、マウス操作の影響が出ています。矢印キーへ切り替えてください。

手順4 — 拡大して、特定のグリッド線を基準に合わせる

見えないものは合わせられません。動画では、グリッド線が太く見えるくらいまで拡大して、花や葉の先端が「どの線のどちら側にあるか」を基準に詰めています。

  1. Zoomで拡大します(目安として200〜400%)。
  2. 基準点を決めます(例:「この花の上端が、この縦グリッド線の少し左」など)。
  3. 矢印キーでNudgeし、基準点とグリッドの関係を揃えます。
Zoomed-in view showing design edges against grid lines for alignment.
Precision alignment

“良い位置合わせ”の基準(画面と縫い上がりの差)

画面上の1mmは小さく見えても、布の上では「ズレた」と分かります。

  • 隙間のリスク: ミラー配置の接点が離れると、布が見えてフレームが途切れた印象になります。
  • 重なりのリスク: 重なりすぎると密度が局所的に上がり、硬くなって針負荷が増えます。
  • 判断のコツ: 接点(つながり部分)を最優先で合わせ、全体形状はその次に確認します。

対称構成を作る:反転と回転の使い分け

中央の渦(スワール)を確認したら、次はスクロール要素やコーナー要素で外枠を作ります。

手順5 — スクロールの“流れ”を揃えてから配置を確定

スクロールは見た目が似ていても、流れの向きが違うと左右で違和感が出ます。動画でも、合う向きになるまでFlipで調整しています。

  1. スクロール要素をコーナー要素の近くへ持ってきます。
  2. 線の流れが連続して見えるか確認します。
  3. 合わない場合は Flip(上下/左右反転) を使って向きを揃えます。
Aligning two scroll patterns to flow in the same direction.
Pattern matching

注意(よくある落とし穴): 全体の形だけで合わせるとズレます。拡大して、スクロールとコーナーが“接続する点”を合わせてください。接点が合えば、残りは自然に整います。

手順6 — Numbered Gridで左右対称を“座標化”する

動画では View から Numbered Grid(番号付きグリッド)に切り替えています。これで「だいたいこの辺」ではなく、「ライン7に重なる」と言えるようになります。

  • 例:左側のアプリコットの花が ライン7 にかかるように置く
  • 右側も同じく ライン7 を基準に置く

感覚の作業を、再現性のある作業に変える工程です。複数ブロックを作る場合、この“数字で揃える”が効いてきます。

View menu activated to switch to 'Numbered Grid'.
Changing settings

判断フロー:密度の高い8x8レイアウトの枠張り・安定化の考え方

ソフト上で完璧でも、布側の条件で崩れます。用途別に考えると迷いにくくなります。

生地の状況 起きやすい問題 現場での考え方
安定した生地<br>(キルト綿、しっかりしたリネン) 枠跡: 強い締めで繊維がつぶれやすい 標準枠でも成立しやすい一方、枠跡が気になる場合は マグネット刺繍枠 を検討する、という選択肢があります。
伸びやすい生地<br>(ジャージ、ニット系) 歪み: 枠に入れる時点で伸びて形が崩れる 引っ張って枠に入れない前提で、保持方法を見直します(番号付きグリッドで作った“正方形”を、布側で崩さない)。
量産作業<br>(同一配置を繰り返す) 速度と再現性: 毎回の枠張りで位置がブレる 位置決めを治具化する発想が有効です。例として hoopmaster 枠固定台 のような枠固定台の考え方があります。

Freehand Select(投げ縄)で干渉部分だけを編集する

レイアウトが整ってきても、コピーした“ユニット”がそのまま収まらないことがあります。葉が花にかぶる、端がぶつかる、などです。動画では Freehand Select(Lasso) で必要な部分だけを削除して収まりを作っています。

手順7 — ユニットを複製し、当たる部分だけ削除

  1. 再利用したい複合ユニットを選択します。
  2. コピー&貼り付けで配置します。
  3. Freehand Select(投げ縄) を選びます。
  4. 干渉している花/葉など“削除したい部分だけ”を囲みます。
  5. Delete で削除します。
Using the Freehand Select (Lasso) tool to draw around a specific flower.
Editing/Culling design

これは「並べる」から「編集して収める」への一段階上の作業です。

うまくいく理由/注意点

  • 良い点: 余白(抜け)ができ、詰まりすぎた印象を避けられます。
  • 注意点: 削除した箇所に下縫い(アンダーレイ)や止め縫いが含まれている場合、縫いの安定性に影響します。
    • チェックポイント: シミュレーターで、削除した端が不自然にほどけそうな縫い順になっていないか確認します。

仕上げ:Color Sortと書き出し

レイアウトが完成したら、次は“オペレーター目線”に切り替えます。動画でも、グリッドをオフにして全体を確認し、色替え回数を見てからColor Sortで最適化しています。

The full design layout showing the complete quilt block pattern.
Reviewing final layout

手順8 — 番号付きグリッドで最終の対称チェック

動画では、下側の対称を ライン17 を基準に確認しています。

  • 片側を基準線に合わせる
  • コピー/反転で反対側へ置く
  • 番号付きグリッドで同じラインに乗っているか確認
  • 重要: ステッチそのものだけでなく、要素間の“空き(ネガティブスペース)”が左右で揃っているか目視します。人の目は、縫い目の差より隙間の差に敏感です。
Checking the bottom symmetry against numbered grid line 17.
Final symmetry check

手順9 — Color Sortで色替え回数を削減(134→11)

合体データは、同じ色が複数回に分かれて並びやすく、色替えが増えます。本例では、最初は134回の色替えでしたが、Color Sort後に11回まで減っています。

Color Sortは、同色ブロックをまとめて縫うように縫い順を組み替えます。結果として、色替えは減りますが、フープ内を横断する移動(ジャンプ)が増えることがあります。

Mouse hovering over the 'Color Sort' icon in the top toolbar.
Optimizing file
Design panel showing color changes reduced to 11.
Result verification

現場チェック: Color Sort後は、Design Playerで縫い順を必ず確認してください。移動が増える=糸切り(トリム)や後処理の手間が増える可能性があるためです。

手順10 — 保存/クラウド送信で書き出す

動画では、新しい名前(例:「Day 4 combination」)で保存し、クラウド(mySewnet Cloud)経由でマシンへ送る流れも示しています。元データを上書きしないのが鉄則です。

The 'Send to mySewnet Cloud' dialog box overlay.
Exporting file

書き出し前の最終確認:

  1. シミュレーション: 左上→右下など、極端な移動が連発していないか
  2. 保存: 新規ファイル名で保存(元データは保持)
Design player preview showing the stitching order.
Simulating stitch out

注意: マグネットの取り扱い。 マグネット刺繍枠 を運用している場合、強力な磁力で指を挟む危険があります。布を挟まずに急に吸着させないようにし、医療機器(ペースメーカー等)への影響にも配慮してください。

ソフトが整うと、次のボトルネックは「枠張りの再現性」

データが整い、色替えも減らせたら、次に効いてくるのは枠張りの精度とスピードです。

  • 現場の痛点: 8x8をまっすぐ枠張りするのは意外と難しく、数枚作ると1枚だけ傾く、といった事故が起きます。
  • 対策: 一定の位置決めを“道具化”します。

注意: 機械的安全。 Color Sort後の大きな移動中は、フープが勢いよく動きます。糸端を切るために手を入れる場合は、必ず停止を確認してから行ってください。

事前チェックリスト(合体作業を始める前)

  • ファイル運用: 元データ複数+空の8x8ターゲットを1つ。元データは編集しない。
  • 表示: グリッドをON(位置合わせの基準)。
  • 色替えの見通し: 合体直後は増える前提。最後にColor Sortで減らす。

エディタ内チェックリスト(組み立て中)

  • ステージング: 貼り付けたら四隅へ逃がして作業スペースを確保。
  • 間隔: 触っただけで隣を選ばない距離を確保。
  • 基準点: 番号付きグリッドに切り替え、ライン番号で左右を揃える。
  • 入力方法: 最終調整は矢印キー(Nudge)中心。

縫製に向けた最終チェックリスト(仕上げ)

  • 見た目確認: グリッドOFFで全体のまとまりを確認。
  • シミュレーション: Design Playerで削除ミスや不自然な移動がないか。
  • Color Sort: 色替え回数が大きく減ることを確認(例:100+→20未満)。
  • 保存: 新規ファイル名で保存/送信。

トラブルシューティング(症状 → 原因 → 対処)

症状 原因 対処
配置が微妙にズレ続ける マウスドラッグの微ブレ 矢印キー(Nudge)に切り替え、グリッド基準で詰める
回転させた要素が合わせにくい 90度単位の回転で基準点が変わり、視覚的に迷う 拡大してグリッド線を絶対基準にし、接点を先に合わせる
色替えが多すぎる 合体で同色が分断され、停止が増える Color Sortで同色ブロックを統合し、回数を減らす

まとめ(結果)

4つの小さなデザインを、8x8の1枚レイアウトとして破綻しにくく組み上げるための、再現性のある手順を身につけました。ステージングで事故を減らし、矢印キーとグリッドで精度を出し、Freehand Selectで収まりを作り、最後にColor Sortで色替えを現実的な回数まで落とす——この流れができると、単なる“貼り付け”から一段上の編集が可能になります。

特に本例では、134回という非現実的な色替えを、Color Sortで11回まで削減できました。画面上の完成度だけでなく、実際の縫製オペレーションを成立させるための最適化まで含めて、次の作品にもそのまま流用できるワークフローです。

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