EmbirdでITHパンプキン・マグラグをデジタイズ(Part 1):モチーフキルティング/ホールカット/縫い順を崩さない設計

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Embirdで「イン・ザ・フープ(ITH)」のパンプキン・マグラグをゼロから作る実務向け手順を解説します。5×7(130×180mm)枠の設定から、配置線・仮止め線の作り方、キルティング風の“ゆるい”モチーフ塗りつぶし、Hole Cutting(ホールカット)でアップリケ窓をきれいに抜く方法、ロープ/リーフ枠の比較、ノード編集でのカボチャ手動デジタイズと重なり(ギャップ防止)、別ファイルのマージと縫い順の最終調整、最後に裏布を封筒式で閉じるトリプルステッチまでをまとめます。
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目次

Embirdで作業環境をセットアップする

Embird Editor/Studioの基本操作に慣れてきて、「データを買う側」から「データを作る側」へ移行したい人にとって、この課題はちょうど良い練習になります。イン・ザ・フープ(ITH)のマグラグは小さな作品ですが、現場で効く3つの柱――縫い順レイヤー管理塗り(フィル)の精度――を一通りまとめて鍛えられます。

このPart 1では、単に線を引くのではなく「ミシンが物体を組み立てる」前提で設計します。キルティング風の背景、六角形のアップリケ窓、装飾ボーダー、そして最後に縫われる手動デジタイズのカボチャが、タイムライン上で破綻しないように組み立てていきます。

The Embird hoop selection dialog showing the 100x100 and 130x180 hoop options.
Setting up the workspace

最初に枠サイズを決める(ここがズレると全部がズレる)

Sueは最初に、Embirdの準備/フープ設定で 130 × 180 mm(5×7) を選択します。ここは「二度測って一度切る」に相当する重要ポイントです。グリッド、作業領域、そして「このサイズで実際に縫えるか?」の判断は、すべてこの選択に支配されます。

  • 動画の選択: 130 × 180 mm(5×7)
  • 動画内の補足: 4×4枠でも可能だが、マグラグ用途としては実用サイズが厳しい

チェックポイント: 画面上で見栄えが良くても、実機では物理制約が出ます。一般的なネジ式枠だと、押さえ周りのクリアランスの都合で端の“使えない領域”が出やすいです。Brother系のように枠の樹脂フレーム寸法が厳密な機種では、枠外にはみ出す設計は通りません。

道具のアップグレード(量産目線): 単発なら標準枠で十分です。ただ、イベント用に12枚など連続で縫うと、キルティングコットンにネジ枠の締め付け跡(枠跡)が残りやすくなります。ITHのように“サンドイッチ(裏布+キルト綿+表布)”を頻繁にセットする作業では、brother 5x7 マグネット刺繍枠 を検討する人が多いです。

  • 理由: 外枠を何度も締め直さずに挟み込めるため、手首の負担と生地の潰れを減らし、段取りが安定します。

注意: 機械的な安全。デジタイズ自体は安全でも、実際に縫う瞬間は“動力作業”です。厚い段差、見えない待ち針、キルト綿の端の盛り上がりは針を逃がして折損の原因になります。針周辺に指を入れず(押さえにはスティックやピンセットを使用)、多層を縫う場面は 400–600 SPM に落として様子を見てください。

Drawing a red outline rectangle on the grid using the shape tool.
Creating the base shape

ベースの配置用四角を作る(目安:4.5インチ角)

Sueは内蔵シェイプ機能で四角形を描き、ステッチ生成後に寸法を確認します。狙いは 約 4.5" × 4.5" です。

補足: 描画時点で寸法を完璧に合わせようとすると手が止まります。まずステッチを生成して数値を確認し、必要なら後からリサイズする方が早く確実です。

ITHでここが重要な理由: この四角は“基準レイヤー(真実のレイヤー)”です。ここが基準になることで、

  1. キルト綿を置く位置
  2. 最後の封筒式閉じ(外周縫い)のライン
  3. 完成品の直角・歪み

が決まります。ベースが狂うと、最後に全部が歪みます。

キルティング風の背景(スティップリング)を作る

背景で失敗するITHデータは多いです。背景を通常の刺繍塗りの感覚で密にすると、硬くて波打ちやすい“板”になります。Sueの方針は明確で、装飾としてゆるく、空気感を残すのが正解です。

The Parameters window open to the Motif tab, selecting a wave pattern.
Configuring stitch parameters

縫い順の骨格:配置線 → 仮止め線 → キルティング塗り

Sueはコピー&ペーストと色替えで、ミシンの動作(停止タイミング)を設計します。色替えは「人が手を入れる合図」です。

  1. 配置線(色1): スタビライザー上に直接縫う
    • 見た目の確認: 白いスタビライザーに1本のランニングが出て、「この枠内を覆うように綿と布を置く」目印になります。
  2. 仮止め線(色2): 生地スタックを“浮かせ置き(フロート)”した後に縫う
    • 手触りの確認: 生地が保持されるが、過度に潰されていない状態。
  3. キルティング塗り(色3): 背景の装飾テクスチャ

補足(動画のニュアンス): Sueは仮止めをトリプルステッチにする選択肢にも触れています。

  • 運用目安: 一般的なコットンなら単走りで十分。ズレやすい素材(滑りやすいサテン系など)で位置が動く場合のみ、トリプルを検討すると判断しやすいです。
Preview of the wave motif fill applied to the rectangle.
Previewing background texture

アウトライン→塗りに変換し、Motif(モチーフ)に切り替える(密にしない)

Sueは Create Fill from Outline を使って塗りを作り、Parameters で通常の塗りから Motif に切り替えます。手動キルティング(スティップリング)風の表情を作るためです。

  • 動画の設定値: Density/Scale が 160.0
  • 理由: 通常の刺繍密度は「布を完全に隠す」ための設計ですが、キルティングは「層を押さえる」ための設計です。密にしすぎると硬くなります。

チェックポイント(仕上がり感): 縫い上がりが“段ボールのように硬い”なら、背景が詰まりすぎです。完成品は曲がり、少しふっくら感が残るのが理想です。六角窓の中心を指で押したとき、硬さより“ふくらみ”を感じる方向に寄せます。

また、こうした 刺繍ミシン 用 枠入れ 系のITH運用では、背景は「安定層」としても働きます。キルト綿が内部で寄ったり偏ったりするのを抑え、洗濯後のヨレも減らしやすくなります。

Hole Cutting(ホールカット)でアップリケ窓を作る

ここが上級者と初級者の分かれ目です。アップリケ窓の下に背景ステッチが残ると、見えない場所で厚みが増え、縫い品質と耐久性が落ちます。

Drawing a hexagon shape using the polygon tool while holding control.
Creating centering shape

正六角形を描く(Controlキーで比率固定)

SueはPolygon(6辺)を選び、ドラッグ中に Control(MacならCommand)キーで比率を固定して、数学的に整った六角形にします。

  • 目の基準: 六角形が少し潰れているだけで、ボーダーが不均一に見えます。縫いが正確でも“見た目の違和感”になります。
Context menu showing the 'Hole Cutting' option being selected.
Removing background stitches

ホールカット:背景→六角形の順で選択

Sueが見せているのは、Embirdの「差し引き(型抜き)」の考え方です。

  1. くり抜かれる側(背景の塗り)を先に選択
  2. 型(六角形)を次に選択
  3. Hole Cutting を実行
The background rectangle now clearly has a hexagonal hole cut in the center.
Result of hole cutting

ITHで起きがちな不具合を避けられる理由

  • 厚み(バルク)を減らす: 背景塗り+アップリケ布+スタビライザー+カボチャ刺繍が重なると、針折れリスクが上がります。
  • ボーダーがきれいに乗る: 凸凹の上にサテン系ボーダーを縫うと、縁がガタつきやすいです。穴を抜けばフラットに縫えます。
  • 音の確認: 後でカボチャを縫うとき、一定のリズムでスムーズに縫えるのが正常です。層が多すぎると、ミシンが“噛む”ような重い音になりがちです。

効率面では、実布作業の枠張り精度も効きます。サンドイッチが平らなほど窓位置が安定します。量産現場では、スタビライザーと生地を一定テンションでセットするために 刺繍用 枠固定台 を使うケースもあります。

装飾ボーダー設計:Rope(ロープ) vs Leaves(リーフ)

Sueは2種類のボーダーを試します。ここは「カバー力(Coverage)」の授業です。

Adjusting stitch parameters, showing width settings.
Setting up border stitches

六角形ラインをコピーしてボーダーオブジェクト化する

配置線をコピーし、Borderパラメータを適用します。

  • テスト1: Leaves(幅 15.0 mm:かなり太め)
  • テスト2: Rope(幅 5.0 mm:扱いやすい標準域)
A preview of a leaf-style border applied to the hexagon.
Testing border styles

Leavesは隙間が出やすい=切り口の処理計画が必須

Sueが指摘している通り、Leavesは葉と葉の間に隙間が出ます。

  • リスク: アップリケは布の切り口(生地端)が出ます。隙間があると切り口が見えやすく、ほつれの原因になります。
  • 対策: Leavesを使うなら、その下に細いサテン(または細いランニングの柱)を1本入れて、切り口を先に“封じる”必要があります。
The two-tone rope border applied to the hexagon frame on top of the quilted background.
Finalizing border design

Ropeボーダー:カバー力が読みやすく、2色で締まる

Sueは 2色のRope を選択します。

  • 採用理由: 密で切り口を確実に隠せるため、ITHの“安全策”として強いです。

判断フロー(ボーダー選び)

  1. アップリケ端は生切り(ハサミでカット)?
    • YES: サテン/ロープ/コラムなど“面で隠す”ボーダーが基本
      • モチーフ系(隙間あり)は使える? 下に封じステッチを入れるなら可
    • NO(レーザーカット/折り込みなど): 隙間のある装飾でも運用しやすい

量産の現場感: 販売用に数を作るなら、ロープ系はカット誤差も隠してくれて事故率が下がります。また、厚いITH層を安定して保持できないと、密なボーダーで布が動きやすくなります。段取り短縮の観点では マグネット刺繍枠 が“締め直し回数”を減らしやすい選択肢になります。

手動デジタイズ:カボチャを作る

ここからは純粋にデジタイズの領域です。ノードを打って形を作ります。

Digitizing the first curve of the pumpkin using the node tool.
Creating pumpkin vector

ノードで形を作る:「クリック→クリック」してから曲げる

Sueはカボチャを左・中央・右の3パーツで作ります。

  • 手順: まず点(ノード)を大まかに置き、線を曲げて丸みを作る
  • 操作イメージ: 点A→点B→直線部分を曲線化(ツール設定により右クリックで曲線化、またはドラッグで調整)

考え方: 「絵」ではなく「オブジェクト」で考えます。1つの塊にせず3つに分けることで、重なりを作れて立体感も出しやすく、ギャップ対策もしやすくなります。

Three sections of the pumpkin generated in orange thread.
Building the pumpkin

ジャンプ糸を減らす:開始点/終了点を意識してつなぐ

Sueが強調しているのは、移動計画(Travel Planning) です。

  • 問題: パーツ1が左で終わり、パーツ2が右から始まると、トリム→ジャンプ→再開が増えます(または長い渡り糸が残ります)。
  • 対策: パーツ1の終点をパーツ2の始点の近くに置く。必要なら、次のオブジェクトの下に隠れるように手動でランニングの接続線を入れます。
Zoomed in view showing editing of nodes to ensure sections overlap.
Fixing gaps

ITHファイルとしてまとめる:マージと最終調整

Sueはカボチャを別データとして保存し(再利用しやすい)、本体のマグラグデータにマージします。

The pumpkin design being merged into the center of the hexagon frame.
Merging designs

ギャップ防止:少し重ねる(布が見えるのを止める)

Sueは200%+で拡大し、カボチャの各パーツがわずかに重なるようにノードを動かします。

  • 物理: 糸は布を内側に引き込みます(引き込み/プル)。画面上でピッタリ接していても、実際は隙間が出ます。
  • ルール: 重なりはコストが安い。1mmの重なりは目立ちにくいが、1mmの隙間は作品を台無しにします。

カボチャを本体にマージし、縫い順を直す

最重要: Sueはカボチャが「アップリケ工程の後」に縫われるよう、オブジェクト順を調整します。

  • 縫い順の監査(レイヤーの現実):
    1. ベース配置/固定
    2. 背景を縫う
    3. 六角窓の布を置く
    4. 六角窓のボーダーで端を封じる
    5. その後に 六角窓の中へカボチャを縫う
    • ※カボチャが早い段階で縫われると、後から置く六角布で隠れてしまいます。
Reordering the design layers in the right-hand panel.
Managing stitch order

最終確認:ステッチ生成→3Dプレビューで順番を見る

Sueはステッチを生成し、3D表示で縫い順と見え方を確認します。ここで「どの層が上に来るか」を目視で監査します。

The final design shown in 3D preview mode.
Final review

裏布は封筒式で閉じる(外周はトリプルステッチ)

Sueは「封筒方式(Envelope Method)」で仕上げます。

  1. 裏布を折って重ね、上から置く
  2. 最後の外周を縫う(ここを Triple Stitch に変更)
  3. 返して仕上げる(別途ミシン縫いを減らせる)

なぜトリプルステッチ? マグラグは熱いカップを置き、洗濯もされます。返す工程でも負荷がかかるため、単走りだと裂けやすくなります。トリプルは(進む→進む→戻る)で縫い目が強く、返しや洗濯に耐えやすい“実用品”の縫いになります。

注意: 磁力の安全。この流れで マグネット刺繍枠 を導入する場合、強力なネオジム磁石が使われます。
* 健康: ペースメーカー等の医療機器から離して扱う(少なくとも6インチ)
* 電子機器: クレジットカードやスマホ画面の近くに置かない
* 挟み込み: 磁石同士を勢いよく吸着させない(皮膚を強く挟む危険)


まとめ(何を学び、なぜ再現できるのか)

このPart 1で、Embird上で“実物を組み立てる”設計を一通り再現しました。

  • 枠制約: 130 × 180 mm(5×7)を基準にする
  • 基準レイヤー: 配置線でズレない土台を作る
  • テクスチャ: 硬くしないモチーフ背景(キルティング風)
  • アップリケ設計: Hole Cuttingで厚みを減らす
  • カバー力: 切り口を隠せるボーダー(Rope)を選ぶ
  • 手動デジタイズ: ノード/移動計画/重なりで品質を上げる
  • 組み立て: 六角窓の後にカボチャが縫われる順番にする
  • 耐久: 外周をトリプルステッチで締める

量産を狙うと、ボトルネックはデジタイズより枠張りになります。テンションと位置合わせが安定すると、歩留まりが上がります。現場では、品質の良い ミシン刺繍用 刺繍枠 を軸に、同じ位置に毎回セットできる運用(目印や治具)を組み合わせて再現性を作ります。

準備(Prep)

成功の8割は準備です。ソフトを開く前に揃えておくと、テスト縫いの失敗が減ります。

見落としがちな消耗品・道具(つまずきポイント)

  • 針: 75/11 または 90/14 のトップステッチ針(多層のキルト綿は一般的なユニバーサル針だと負けやすい)
  • 仮固定: 一時接着スプレー(例:Odif 505)または布用テープ(フロート工程で布が動くのを抑える)
  • カーブはさみ: 六角アップリケ布を、配置線を切らずに際でトリミングするために必須
  • 粘着クリーナー: キルト綿の毛羽が出るので、ボビン周りの清掃頻度を上げる
  • スタビライザー: Sueはティアウェイを使用。補足: 洗濯耐久を上げたいならノーショーメッシュ(カットアウェイ)も選択肢

位置合わせや量産段取りを調べる場合、刺繍用 枠固定台 のようなキーワードでプロの運用例が見られます(ただし初心者は簡単なマーキングでも十分運用可能です)。

Prepチェックリスト

  • 枠設定確認: 描画前にEmbirdが 130 × 180 mm(5×7)になっている
  • 材料の裁断: スタビライザー/キルト綿は枠より 1–2" 大きくカット
  • 刃物の状態: アップリケ用はさみがよく切れる
  • 糸準備: 下糸(ボビン糸)巻き、上糸の通しと絡み確認
  • メンテ: ボビン周りのホコリ・毛羽を清掃

セットアップ(Setup)

デジタル設計を、ミシンが実行できる“段取り言語”に落とし込みます。

生産向けのオブジェクト順(色替え=停止)を作る

コピー&ペーストと色替えで、ミシンが止まるタイミングを強制します(Brother系は色替えで停止する運用が一般的)。

  1. 配置線(色1): 「キルト綿を置く位置」
  2. 仮止め線(色2): 「キルト綿と表布を押さえる」
  3. 背景モチーフ(色3): 「キルティング風にする」
  4. 六角配置(色4): 「窓布の位置」
  5. 六角仮止め(色5): 「窓布を固定」
  6. 六角ボーダー(色6): 「端を封じる(Rope)」
  7. カボチャ(色7): 「主役を縫う」
  8. 最終外周(色8): 「裏布を閉じる(Triple Stitch)」

Setupチェックリスト

  • サイズ確認: ベース四角が約 4.5" × 4.5" になっている
  • 塗り種: 背景が通常のTatami/FillではなくMotifになっている
  • 形状: 六角形が比率固定で整っている
  • 除去: ホールカットで六角内の背景ステッチが消えている
  • ボーダー計画: Leavesなら下に封じステッチ、またはRopeでカバー
  • 順番: カボチャが六角工程より前に来ていない

運用(Operation)

実作業の流れです。各工程で“確認できる状態”を作り、失敗を早期に止めます。

手順(チェックポイント/期待結果つき)

  1. 枠サイズを選ぶ
    • 操作: 作業領域を 130 × 180 mm に設定
    • チェックポイント: グリッドや枠表示が切り替わる
    • 期待結果: 収まりの安全が確定
  2. ベース作成→ステッチ生成
    • 操作: 四角形→Generate Stitches
    • チェックポイント: 画面下の寸法表示
    • 期待結果: 4.5"角のガイド
  3. 色替えで停止を作る
    • 操作: アウトラインを複製し、色を変える
    • チェックポイント: オブジェクト一覧で色ブロックと順番が分かれる
    • 期待結果: 布を置くタイミングで確実に止まる
  4. モチーフ塗りへ変換
    • 操作: アウトライン→塗り→Parameters→Motif
    • 見た目の確認: 画面上で“抜け感”があり、ベタ塗りに見えない
    • 期待結果: スティップリング風
  5. 六角窓を作る
    • 操作: Polygon+Controlキー
    • チェックポイント: 左右のバランスが整っている
    • 期待結果: 窓がプロっぽく見える
  6. Hole Cutting(ホールカット)
    • 操作: 背景→六角→Cut
    • チェックポイント: 拡大して、背景線が六角の縁で止まっている
    • 期待結果: 厚みの少ない縫い面
  7. ボーダー選択
    • 操作: Rope(5.0mm)を適用
    • チェックポイント: 配置線が完全に隠れる
    • 期待結果: 切り口が見えない
  8. 手動デジタイズ(カボチャ)
    • 操作: ノード打ち→パーツを少し重ねる
    • チェックポイント: パーツ1の終点がパーツ2の始点に近い
    • 期待結果: トリムが少なく流れるように縫える
  9. マージ→順番を並べ替える
    • 操作: カボチャを取り込み→リスト下側(外周の前)へ
    • チェックポイント: シミュレーションで六角窓の“中”にカボチャが縫われる
    • 期待結果: 物理レイヤーが正しい
  10. 最終外周(封筒式)
    • 操作: 最後の外周を作り、Triple Stitchに設定
    • チェックポイント: オブジェクト一覧の一番最後
    • 期待結果: 返しと洗濯に強い縫い

Operationチェックリスト

  • 停止が効いている: 人が作業する工程(置く/切る)の前に色替えがある
  • 空洞確認: 六角窓の下に背景ステッチが残っていない
  • 端の封じ: Rope幅が手切り誤差を吸収できる(目安 3–5mm)
  • 重なり: カボチャ各パーツが 0.5–1mm 程度重なっている
  • 縫い順: 背景→窓アップリケ→カボチャ→外周閉じ

品質チェック(Quality Checks)

書き出し前に、無駄な試し縫いを減らす監査を行います。

  1. ギャップ監査: カボチャの境目を400%で確認。接しているだけなら隙間が出ます。重ねます。
  2. 密度監査: 背景が画面上でベタに見えるなら詰まりすぎ。モチーフを大きく/ゆるくします。基本は「ステッチが増えるほど硬くなる」。
  3. 物理監査: カボチャがRopeボーダーに近すぎないか確認。見た目の“余白”を残します。

トラブルシューティング

「症状→原因→対処」で切り分けます。

症状 ありがちな原因 すぐできる対処 予防
ジャンプ糸が長い オブジェクトの終点と次の始点が離れている オブジェクトA終点→B始点をつなぐランニングを手動で入れる ノードを打つ前に移動経路を考える
カボチャに白い隙間 引き込みで布が開き、重なり不足 ノードを動かして重なりを増やす 最初から1mm以上重ねる
ボーダーからほつれる ボーダーが細い/Leavesの隙間 Ropeに変更、または下にサテンの封じを追加 生切り端は“面で隠す”を基本にする
硬くて反る 背景が密すぎる モチーフ設定を大きく/ゆるくする キルト綿+ゆるい背景で設計する
針折れ 多層を無理に縫っている/障害物がある 経路を見直し、待ち針や段差を避ける 注意: クリアランス確認、速度を落とす

結果(Results)

EmbirdでITH向けのファイル構造を組み立てられました。5×7サイズのパンプキン・マグラグとして、背景のキルティング表現、厚みを抑えたアップリケ窓、そしてトリプルステッチでの堅牢な仕上げまで、工程が破綻しない設計になっています。

量産の現実: 1枚作れば趣味、50枚作れば製造です。製造では効率が利益を左右します。この手の作品で時間を奪うのは、縫う時間より枠の付け外し(枠張り)です。だからこそ マグネット刺繍枠 のような仕組みは、段取りを「格闘」から「クリック」に近づけ、作業者の集中を“創作”に戻してくれます。