Table of Contents
1 プロジェクトの概要
ミンキーの名入れベビーブランケットは、贈り物にもデイリー使いにも最適です。刺繍は片側の生地に施し、二枚を合わせて袋縫いにしてから表に返し、端ミシン(トップステッチ)で仕上げます。完成品は、片面がブロッシュピンク、もう片面がグレーフォーン柄のツートーンで、コントラストが可愛らしい印象です。
1.1 何が作れるか・向いているシーン
・名入れの出産祝い/誕生日プレゼント。 ・毛足のある生地に刺繍する練習用プロジェクト。 ・布の段差が気になる場合、端に沿ったトップステッチで整えられるので初心者にも扱いやすいです。
1.2 仕様とサイズ
・完成サイズ:26×34インチ(約66×86cm)。 ・裁断サイズ:27×35インチを2枚(縫い代1/2インチ込み)。 ・刺繍は片側のミンキーに施します。
クイックチェック:最終サイズより各辺+1インチの裁断サイズになっているか、2枚とも向きと毛並みが合っているかを確認しましょう。
2 準備するもの
必要な道具と素材を整理すると、作業がぐっとスムーズになります。
2.1 素材と道具
・ミンキー生地(表:ブロッシュピンク、裏:グレーフォーン柄)各1枚。 ・刺繍ミシン(実例ではBrother PE800)。 ・ティアアウェイスタビライザー(下)/水溶性スタビライザー(上)。

・縫い糸、下糸ボビン(通常は白。濃色なら上糸に合わせてボビンを巻くのも可)。 ・待ち針たくさん、はさみ、ピンセット、メジャー。 ・家庭用ミシン(直線縫い)。
プロのコツ:上糸・下糸は白でほとんど対応可能ですが、濃色のブランケットでは上糸に合わせてボビンも巻くと縫い目の点々が目立ちにくくなります(コミュニティの実例より)。
2.2 事前データと作業環境
・名入れの刺繍データ(デジタイズ済み)。 ・作業台は裁断・ピン打ちに十分な広さを確保し、刺繍機/ミシンの周りは給材が引っかからないよう片付けます。
チェックリスト(準備)
- 27×35インチで二枚を用意した
- 刺繍データ(名前)を用意した
- スタビライザー上下を準備した
- はさみ・ピンセット・待ち針を手元に置いた
3 セットアップ
刺繍に入る前の配置とフーピング(枠張り)が、仕上がりを大きく左右します。
3.1 スタビライザーの基本
ミンキーは毛足が長く、刺繍が埋もれやすいのが難点です。下にはティアアウェイ、上には水溶性スタビライザーを重ねると、毛足が押さえられ、ステッチがくっきり見えます。

注意:上の水溶性スタビライザーは、特別な固定をしなくても大抵はそのまま上に乗せるだけでOKという声が多く、実例でもそのまま重ねています。必要ならごく軽くテープで仮止めしてもよいですが、ミンキーを汚さないよう配慮しましょう。

3.2 刺繍機の準備と針・糸
・針:通常針75/11で問題なく刺繍・縫製できています(ストレッチ針は未使用の実例)。 ・上糸・下糸:通常は白。濃色なら上糸に合わせて下糸を用意してもよいです。 ・フォント:実例では“Farmhouse”を使用(EtsyのRivermill Embroideryで購入された旨のコメント情報)。サイズはブランケットにより1.5〜2インチ程度が目安という報告があります。
プロのコツ:刺繍位置決め時、フープ入れに不安がある場合は、作業を安定化するため刺繍用 枠固定台を使うと、テンプレート位置の再現性が上がります(本プロジェクトでは通常フープを使用)。
3.3 フーピングと配置
・下からティアアウェイ→ミンキー→上に水溶性スタビライザーの順でセットします。 ・生地はピンと張り、フープ内でたるみや歪みがないことを確認。 ・名前の配置位置の具体的寸法は動画では明示されていません。全体のバランスを見ながら決め、プレビュー機能があれば確認しましょう。

クイックチェック:フープ内の生地は均一に張れているか/上下のスタビライザーはシワなくのっているか。
4 手順
ここからは裁断済みの二枚のミンキーを起点に、刺繍→縫製→仕上げまでのワークフローを番号付きで解説します。
4.1 刺繍(名前入れ)
1) 片側のミンキーにフーピングし、刺繍データ(名前)をロード。刺繍を開始します。

2) ステッチ中は上下糸の張りや引きつれがないかを観察。毛足で見えにくいときは上の水溶性が押さえてくれます。 3) 刺繍完了後、上の水溶性スタビライザーをはがします。端をつまんで破るだけで大半は外れます。
期待結果:文字の縁が毛足に沈まず、輪郭がくっきり見える。
プロのコツ:フーピングのやり直しは早めが肝心。少しでも緩みや歪みを感じたら、潔く外してやり直す方が全体の時間短縮になります。なお、フーピングに自信がない方は、brother pe800 用 マグネット刺繍枠やbrother マグネット刺繍枠のようなクランプ式を検討すると、厚みのある生地でも均一に押さえやすい場合があります(本作例では通常フープ)。
チェックリスト(刺繍)
- 上下スタビライザーの重ね順OK
- 針は75/11、糸の色は方針どおり
- 試し縫いで張りや縫い目を確認
4.2 刺繍後のクリーンアップ
1) 上の水溶性スタビライザーを大きく剥がし、残りはピンセットで文字の内側(eやdのループ内など)を丁寧に除去。

2) 周囲の余分な糸をカット。裏側のティアアウェイも余分を取り除き、整えます。

注意:毛足や刺繍糸を切ってしまわないよう、先の細いはさみ/ピンセットを使い、強く引っ張らないこと。

4.3 二枚合わせのピン打ち
1) 刺繍側を上にして広げ、もう一枚を表同士が内側になるよう重ねます。 2) 周囲の辺をきっちり合わせ、待ち針を“二重の列”で一周。角は特にずれやすいので追加のピンで補強。

3) 隙間が気になる箇所には三本目のピンを足し、ミンキー同士の滑りを徹底的に防ぎます。

プロのコツ:広い面はときどき全体を撫でてシワやヨレを追い出しながらピンを進めると、縫い始めのズレが激減します。トップステッチ前にも一周だけピンを入れると、端が波打ちにくくなります(コメント情報)。

4.4 周囲を縫う(直線縫い)
1) ミシン設定は直線縫い。上糸張り4、下糸張り3.5の組み合わせが実例で使用されています。 2) 周囲を1/2インチのシームで一周。ただし返し口は6〜8インチ残して縫い止めます。

3) 開始と終了は返し縫いで補強。
注意:生地の厚みで送りが乱れるなら、歩行押さえの併用が有効という報告があります(コミュニティより)。
クイックチェック:返し口は十分な長さがあるか(ミンキーは厚いので、短すぎると返しづらい)。

4.5 角を整え、表に返す→トップステッチ
1) 角を90度のままにせず、はさみで“ゆるく丸める”ようにカットすると、表に返したときのボリュームが抑えられます。
2) 返し口から表に返し、角は指または平たいピンセットでやさしく押し出して形を整えます。
3) 返し口の縫い代を内側に折り込み、周囲を一周トップステッチ。キワに沿って、落ちないようゆっくり縫います(厳密な寸法指定なし)。トップステッチの前に一周ぶん軽くピンで留めると揃いやすいです。
期待結果:周囲の端が均一に落ち着き、返し口もなじんで目立たなくなる。最終の見た目がプロっぽく引き締まります。


チェックリスト(縫製と仕上げ)
- 角は丸く整えた/表に返して角がきれいに出た
- 返し口は内側に折り込んでピンで仮止めした
- トップステッチは端に沿って均一である
5 仕上がりチェック
・刺繍面:文字の周囲にスタビライザーの残りが見えていないか、糸の飛びやほつれがないか。 ・周囲の縫い目:1/2インチのシームが概ね一定で、波打ちやツレがない。 ・角:丸みが均一で、角がつぶれていない。 ・全体:二枚の生地がズレず、四辺がまっすぐ揃っている。
クイックチェック:洗濯前に軽く引っ張って縫い目の浮きや外れがないか確認。問題なければ日常使用に耐える仕立てです。
6 完成イメージとその後
完成したブランケットは、片面に美しい名入れ、もう片面にパターン柄で、リバーシブルに楽しめます。
端一周のトップステッチにより返し口が自然に閉じ、耐久性と見た目が両立します。
ケアの目安(動画では具体的レシピ未記載) ・水溶性スタビライザーは作業中に除去しますが、微量に残っても洗濯で落ちます。 ・ミンキーは摩擦に弱いので、洗濯ネット・低温を推奨(一般的配慮)。
コミュニティから:縫い合わせ後に“キルト”は必須では?という質問に対し、トップステッチのみでも洗濯で問題が出たことはないとの実例報告があります(直線のトップステッチ仕上げ)。
7 トラブルシューティング・回復
症状→原因→対処でまとめます。
・刺繍が毛足に沈む→上の水溶性スタビライザー不足/張り不足→水溶性を重ねる、フープ張り直し。 ・デザインが歪む→フープ内で生地が滑った→ピンと張って再フーピング、位置再確認。 ・縫製で生地が前後にズレる→ミンキー同士の滑り→待ち針を“二列+角追加”、必要に応じて歩行押さえ。 ・返し口から表に返しにくい→返し口が短い→6〜8インチ確保して再縫製。 ・角がゴロつく→角が直角のまま→丸く落としてから返し、ピンセットで整える。 ・トップステッチが端から落ちる→スピードが速すぎ/押さえの安定不足→ゆっくり縫い、必要なら一周だけピン留め。
プロのコツ:端ミシンの見た目をそろえたいなら、押さえの内側端をブランケットの縁にずっと“当てて走らせる”と、一定の距離でキワをなぞれます。より安定させたい場合はmighty hoop マグネット刺繍枠やdime マグネット刺繍枠 brother 用のようにクランプで面を均一に押さえる周辺機材を検討すると、刺繍工程の再現性が上がります(本作例は通常フープ)。
注意:フープの位置決めに時間がかかる場合、hoopmaster 枠固定台や刺繍用 枠固定台のような治具を使えば、同じ位置での量産がしやすくなります(本ガイドは1点制作を想定)。
参考メモ:本プロジェクトは通常フープで問題なく実施しています。マグネット刺繍枠やマグネット刺繍枠のようなクランプ系は厚物や多層で特に有効ですが、必須ではありません。使う場合も、スタビライザーの重ね方と生地の張りを最優先にしましょう。
—
補足(コメントからの知見)
- 針:通常針75/11でOK(ストレッチ針は不使用)。
- トップステッチ幅:端のキワに沿わせ、正確な数値は定めず“落ちない程度に近く”。
- フォント:Farmhouse(EtsyのRivermill Embroidery)。文字サイズは1.5〜2インチ目安(ブランケット寸により調整)。
- ボビン糸:基本は白。濃色では上糸に合わせて巻き替えも可。
- 水溶性スタビライザー固定:基本は“載せるだけ”。必要ならテープで軽く。
- 歩行押さえ:周囲縫い・トップステッチでの送り安定に有効という報告あり。
