Table of Contents
1 プロジェクトの概要
今回のゴールは3つあります。1) ゴルフバッグのポケットに“HANA”と名入れ刺繍、2) グレイのポケットTにビジネスロゴのHTV、白の長袖ワンジーに警察モチーフの“Love”デザインHTV、3) AJ Blanksの昇華用ワンジー(0–3M×2、3–6M×1)にコーヒー、カントリー歌詞、HOWDYの3デザインを鮮やかに昇華することです。

1.1 いつ・どの順番でやるか
刺繍は異物付着の影響が少なく準備が短いので先行します。HTVはカットと位置合わせに集中すれば一気にプレスできるため中盤へ。最後に昇華をまとめて行うと、プレス機の温度・時間設定(400°F/60秒)を安定運用できます。
1.2 適用範囲と注意点
・本ガイドは動画で示された実際の作業に基づきます。機種固有の拡張設定や外部ツールは、動画で明示されていないものは扱いません。 ・読み替えのコツとして、ポケットなど“フローティング”が必要なアイテムは、センター出しと仮止めが命です。
プロのコツ: 仕上がりの差は“前処理の徹底”で決まります。刺繍は張り、HTVは位置、昇華は糸くず除去と中紙(ブッチャー紙)の使い捨てが効きます。
2 準備する道具・素材・データ
刺繍では5x7フープ、紙製デザインプリント、ティアアウェイのスタビライザー(裏紙)を用意します。フローティング用にスプレー式の仮止め接着剤、ピン、方眼定規、ペンも必須です。

2.1 HTV・昇華のための機材
HTVはCricut Makerで黒のHTVをカットし、ウィーディングツールとハサミ、メジャーを使います。昇華は昇華プリント、粘着ローラー、ヒートテープ(とディスペンサー)、ブッチャー紙、ヒートプレスが中心です。

2.2 データとブランク
・刺繍: “HANA”のネームデータ(紙プリントでセンター合わせに使用) ・HTV: ビジネスロゴ、警察モチーフの“Love”デザインのSVG ・昇華: “I Love Mommy A Latte”“Ain’t Going Down Til The Sun Comes Up”“HOWDY”の各デザイン
注意: 本ガイドでは、動画に登場しない外部アクセサリーの使用は前提にしていません。ただし読者の環境では、マグネット刺繍枠 や 刺繍用 枠固定台 を活用して作業効率を上げている場合もあるでしょう(本動画では未使用・未言及)。
チェックリスト(準備)
- 刺繍: 5x7フープ、ティアアウェイ、方眼定規、ペン、仮止めスプレー、ピン
- HTV: Cricut Maker、黒HTV、ウィーディングツール、ハサミ、メジャー
- 昇華: AJ Blanksワンジー、昇華プリント、粘着ローラー、ブッチャー紙、ヒートテープ、ヒートプレス
3 セットアップと位置決めの基礎
刺繍フープのセンター基点が紛失している場合は、定規で縦横に中心線を引いて交点を作るのが確実です。

3.1 フローティングのセンター出し
・フープしたスタビライザー上に、縦横の中心線を描く。 ・アイテム(ゴルフポケット)に“紙のデザイン”のセンターマークが印字されていれば、それを目安に線合わせする。 ・ピン止めし、最後に仮止めスプレーで動きを封じる。

クイックチェック: 仮止め後に上から軽く叩いても動かなければOK。

3.2 張りと固定の理由
・張り不足→刺繍中に震えて縫い目が乱れやすい。 ・固定不足→縫製ラインが蛇行し、文字が傾く。 ・交点ずれ→仕上がりの“曲がり”に直結。
プロのコツ: “一度動いたら最初からやり直し”が最短ルートです。ズレを抱えたまま進めると、最終的な解体の手間が大きくなります。
チェックリスト(セットアップ)
- 中心線は太すぎず、交点が見える程度に
- 仮止めは薄く均一に、過剰に湿らせない
- 目視だけでなく指先で“張り”を確認
4 実行手順:刺繍・HTV・昇華
ここからは作業本編。各プロセスで「中間成果(自検点)」を示すので、都度確認しながら進めます。
4.1 ゴルフバッグの名入れ刺繍
1) ティアアウェイを5x7フープにセットし、均一に張る。 2) 縦横の中心線を描いて交点を作る。 3) ゴルフポケットを重ね、紙の“HANA”プリントのセンターと合わせてピン止め。 4) 裏面に仮止めスプレーを薄く噴き、スタビライザーへ固定。 5) Brother PE800にフープを装着して刺繍開始。糸は黒。

6) 完了後、周囲のティアアウェイを丁寧に除去。

中間成果の目安: 1文字目の“H”が真っ直ぐ入っていれば全体もおおむね良好です。
注意: フープのセンターテンプレートを紛失しても、定規での再現で十分対応可能です。
参考情報: 読者の環境によっては brother 5x7 マグネット刺繍枠 のような磁力固定型を使うこともありますが、本動画では通常フープと仮止めで問題なく対応しています。
4.2 ビジネスロゴと“Love”デザインのHTV
1) Cricut Makerで黒HTVをカット。
2) ウィーディングで余分を除去し、ロゴの細部をきれいに出す。

3) ワンジーの“Love”デザインと、グレイTのポケット上ロゴの位置を計測して載せる。

4) ヒートプレスで転写(動画ではプレス工程は映像外だが、通常のHTV手順に準じる)。
クイックチェック: 転写前の位置合わせで、縦中心と肩線・ポケット上端の平行が取れているかを必ず確認。
コメントから: 薄い青い跡や点状の汚れは糸くずが原因になることが多く、昇華に限らずプレス前の除去が有効です。
補足: 市販の冶具や hoopmaster 枠固定台 によるロゴ位置決めの効率化を検討する読者もいますが、本動画はメジャー計測で正確に配置しています。
4.3 昇華プリントの下準備(AJ Blanks)
1) 昇華プリントの縁を“手で裂いて”ラフエッジに。硬いプレス痕を回避できます。


2) ワンジー(0–3M×2、3–6M×1)を開き、粘着ローラーで徹底的にケア。 3) ブッチャー紙を折ってワンジー内部へ。インクの裏移りを防ぐため、毎回新品を使います。

注意: 黒インクにストライプ(縞)不具合が出た場合、動画ではネイビーに変更して解決。根本原因はプリンタ側の問題です。
プロのコツ: 縫製の個体差で首元が真っ直ぐでない場合、身頃全体のセンター基準で位置出しを。首線頼みは危険です。
参考: 読者の環境では snap hoop monster マグネット刺繍枠 などが作業改善に役立つと感じる場合がありますが、本動画では使用していません。
チェックリスト(昇華の下準備)
- プリントは“裂き”で境界をソフトに
- 粘着ローラーは前処理と直前の2回
- ブッチャー紙は毎回新品を内側へ
4.4 昇華の本番
1) 内側にブッチャー紙を入れたワンジーをヒートプレス台へ。
2) 直前にもう一度粘着ローラー。 3) プリントを真っ直ぐ配置し、四辺をヒートテープで固定。ディスペンサーがあると作業性が高い。

4) 上から保護用のブッチャー紙を被せ、プレスのフタを“ゆっくり”閉める。 5) 400°Fで60秒プレス(動画の実測設定)。 6) 慎重に開け、プリントと紙を外す。鮮やかに発色したら成功。

クイックチェック: 文字の縁がシャープで、影(二重像)が出ていないか。色が沈んでいないか。
プロのコツ: ヒートテープ固定+ゆっくり閉める動作の組み合わせが、ゴースト抑制に最も効きます。
参考メモ: 読者の中には mighty hoop マグネット刺繍枠 や brother pe800 用 マグネット刺繍枠 のような名称を耳にする方もいますが、今回の昇華工程には不要です(本動画にも未登場)。
5 仕上がりチェックと検品ポイント
刺繍の検品
- 文字の縫い密度が均一で、縫い目の穴が広がっていない。
- ベース生地に波打ちや引きつれがない。
- センターが視覚的に真っ直ぐ(“H”の縦画が基準)。
HTVの検品
- 角や細線の浮き・気泡がない。
- 配置位置が基準線と平行で、左右差がない。
昇華の検品
- ゴースト(影)がない。
- 青い点状跡や繊維に絡んだ埃が見えない。
- 発色が鮮やかで、面でムラがない。
コメントから: AJ Blanksの肌触り・色乗りに満足の声が多く、動画でも“より厚手で色が鮮やか”と評価されています。
6 完成イメージと引き渡し
刺繍: ゴルフバッグのポケットに“HANA”が真っ直ぐ、くっきり縫われました。ティアアウェイはきれいに除去済み。
HTV: グレイのポケットTにロゴ、白のワンジーに“Love”デザインが正確に配置され、端の浮きは見られません。
昇華: “HOWDY”“カントリー歌詞”“I Love Mommy A Latte”の3枚とも、鮮やかでシャープな仕上がり。首元の縫製がわずかに不均一で、1点はごく軽度の傾きを許容しています。
補足: ベビー用ブランケットは農場柄×グリーンのミンキードットの組み合わせで完成。動画では縫製工程は非公開ですが、完成品を提示しています。
7 トラブルシューティングと回復手順
症状: 刺繍が曲がった/ずれた
- 可能原因: センター合わせ不足、仮止め不足
- 対処: ピン止め→仮止め→再センター出し。初手からやり直すのが最短
症状: 昇華後に青い点状跡
- 可能原因: 糸くず・埃の残留
- 対処: プレス直前にも粘着ローラーで徹底除去する
症状: 昇華が二重に見える(ゴースト)
- 可能原因: プリントが微小に動いた
- 対処: 四辺をヒートテープで固定し、フタをゆっくり閉める
症状: 黒が縞状に出る
- 可能原因: プリンタ側のインク・ノズル問題
- 対処: 一時的に色をネイビーへ変更し回避(動画実例)/プリンタのメンテを行う
症状: 首元が真っ直ぐでないためデザインが曲がる
- 可能原因: ワンジーの縫製個体差
- 対処: 首線ではなく身頃のセンターを折り線で基準化し、そこに合わせる
クイックチェック: プレス後は10秒で“良否判定”を。影の有無、色むら、位置の直線性を素早く確認します。
コメントから
- AJ Blanksを試したいという声に対し、作者は“とても印象が良かった”と回答。
- ブランケットの農場柄生地はEtsyで購入、配送は迅速だったと共有。
- Thin Blue Line系のSVGはEtsyショップ出典。元のバンドルは終了、代替リンクが提示されています。
補記(読者の機材について): 作業環境によっては マグネット刺繍枠 brother 用 や マグネット刺繍枠、さらには 刺繍用 枠固定台 の組み合わせを検討する場面もありますが、本記事は動画の手順(通常フープ+仮止め)に忠実に構成しています。ツール採用の是非は、実機と生地特性で判断してください。
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最終チェックリスト(作業完了前)
- 刺繍: ティアアウェイ除去、縫い歪みなし、センター直線
- HTV: 角の浮きなし、配置水平、表面に気泡なし
- 昇華: 青い点なし、影なし、色のり良好、インク裏写りなし
備考: 読者の中には マグネット刺繍枠 brother pe800 用 のような呼称を見聞きする場合がありますが、今回のプロジェクトでは使用していないため、導入前に自分の機材との互換や運用手順を確認しましょう。
