自立型「Terrifying Tower」(OESD 12950):混合素材ITH刺繍〜3D組み立てまで“迷わない”実務ガイド

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上級者向けの工程を、現場で再現しやすい順番に整理したステップバイステップ解説です。Fiber Form(硬質芯材)の型紙準備とビニールの補強、ウォッシュアウェイ系スタビライザーの重ね枠張り、ITHアップリケの縫製とトリミング、すすぎとプレスで「硬さ」を狙って残すコントロール、タブ差し込み口とアイレット穴の開口、そしてロッキングタブとボタンネットで多層タワーを組み上げます。要所のチェックポイント、失敗しやすい箇所の切り分け、手戻りを減らす段取りもまとめました。
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目次

「Terrifying Tower」を作り切る:自立型3Dマシン刺繍の現場ガイド

この作品は、混合素材(Fiber Form+ビニール)を使った上級者向けの構造物です。自立するパネルをITH(枠内)で刺繍し、キラ感のあるビニールアップリケを入れ、最後にタブ(差し込み)・アイレット(鳩目状の穴)・ボタンネット(留め具パーツ)で立体のタワーに組み上げます。

3D刺繍は「魔法」に見えますが、実際は糸で作る構造物です。反り(ワープ)、端の白残り、タブが入らない/ロックしない——こうした失敗は、腕前というより材料の物理と段取りで起きることがほとんどです。

このガイドでは、工程を「驚きゼロ(手戻りゼロ)」に寄せるために、枠張りの安定、素材のストレス管理、トリミングとすすぎの加減を中心に、迷いどころを潰していきます。

Top-down view of all OESD supplies laid out including stabilizers, vinyls, and tools on a grippy grid mat.
Product Showcase

Phase 1:準備が9割(材料・道具・安全)

自立型の作品は、刺繍そのものより「準備の精度」で結果が決まります。まずは動画で使用されている標準構成を、作業順に並べます。

基本道具・材料

ミシン/枠張り

  • 刺繍ミシン
  • 刺繍枠(フープ):オーバル枠(目安 6x10 以上)

スタビライザー/構造

  • OESD AquaMesh WashAway:メッシュ状のウォッシュアウェイ
  • OESD BadgeMaster WashAway:フィルム状のウォッシュアウェイ
  • OESD StabilStick CutAway:ビニール裏打ち用(粘着タイプ)
  • OESD Fiber Form:硬さを出す芯材(骨格)

アップリケ/仕上げ

  • OESD Applique Fuse and Fix:型紙を貼り付けるための接着シート
  • OESD Luxe Sparkle Vinyl:(パープル/グリーン/ブラック・シルバー)
  • OESD Expert Embroidery Tape:(TearAway または WashAway)

カット/組み立て

  • アップリケ用ハサミ(カーブ刃)
  • ロータリーカッター+定規
  • 細工用ナイフ(X-Acto系):タブ差し込み口の開口
  • OESD Perfect Punch Tool:アイレット穴あけ
  • クランプ類:Alligator Clamps または OESD Button Clips
Ironing the paper template onto the white Fiber Form material.
Fusing Template

初心者がつまずきやすい「見落としポイント」

コメントでも「材料は揃えたが、型紙がどこにあるのか分からない」という声がありました。この作品は型紙の精度=後工程のはまりに直結します。

  • 型紙(テンプレート)の扱い:デザインデータに印刷用テンプレートが含まれている場合はそれを使用します。含まれていない場合、ソフトで自作が必要かどうかはデータ構成によります(まずは同梱ファイルを確認)。
  • 刃物の切れ味:タブ差し込み口は「切れ味」で仕上がりが変わります。引きずると糸を傷めやすく、差し込みが渋くなります。

注意(安全)
フィルム状スタビライザーやビニールは滑りやすく、ハサミ・ロータリーカッター・ナイフが抜けやすい素材です。必ず安定したカッティングマット上で、刃の進行方向に指を置かない姿勢で作業してください。枠をミシンに付けたままのトリミングは行いません(動画でも、枠から外さずにミシンから外してトリムしています)。

Phase 2:素材準備(基礎を作る)

この作品は、重力に負けないために「硬さの作り方」を2系統で組み合わせています。

  1. Fiber Form:構造の芯(骨格)
  2. ビニール+StabilStick CutAway:密度と安定性を追加

Step 1 — Fiber Formのテンプレートを貼って切る

精度はここで決まります。後で「入らない/ズレる」を起こさないために、冷却まで含めて丁寧に。

  1. 印刷:ミラー(反転)指定のテンプレートを Applique Fuse and Fix に印刷します。
  2. アイロン接着:テンプレートを Fiber Form にアイロンで貼り付けます。
  3. 冷ます:完全に冷めるまで待ちます(動画でも「冷ましてからカット」が強調されています)。
  4. カット:黒いアウトラインに沿って正確に切り出します。

チェックポイント:角が浮いていないか、端までしっかり貼れているかを確認。浮きがあるとカット精度が落ち、後の位置合わせが崩れます。

The embroidery hoop prepped with two layers of water-soluble stabilizer.
Hooping

Step 2 — ビニールを裏打ちして補強する

ビニールは針の打撃で伸びやすく、縫いズレや歪みの原因になります。先に裏打ちして「伸び」を抑えます。

  1. 剥離紙を剥がすStabilStick CutAway の台紙を剥がします。
  2. 貼り合わせLuxe Sparkle Vinyl の裏面に貼ります。
  3. ならす:気泡が残らないように押さえて密着させます。
Using a scribe tool to peel the paper layer off the stabilizer inside the placement stitch.
Scoring and Removing Paper

Phase 3:ITH(枠内)工程(ここが勝負)

この工程での手戻り原因は、だいたい「枠張りの不安定」「トリムでのズレ」「素材の浮き」です。

補足(作業感の目安):コメントでも「可愛いけど手間が多い/時間がかかる」という反応がありました。工程数が多い分、各ステップで“次の工程が楽になる状態”を作るのがポイントです。

Step 3 — 「粘着面」を作る枠張り手順

安定した 刺繍ミシン 用 枠入れ を作るために、動画の流れに沿って進めます。

Placing the pre-cut Fiber Form shape into the stitch outline in the hoop.
Placing Fiber Form
  1. 2枚重ねで枠張り:ウォッシュアウェイを2層で枠に張ります(動画では BadgeMaster WashAwayAquaMesh WashAway を重ねています)。
  2. 位置縫い(配置縫い):ミシンで配置線を縫います。
  3. スジ入れ→剥がす:スクリブツール(ウィーディングツール等)で、縫い線の内側だけ表層をスジ入れして剥がします。
    • チェックポイント:下の層まで傷つけないこと。剥がすのは「内側だけ」です。
  4. Fiber Formを置く:露出した粘着面に、切り出したFiber Formをはめ込み、指でしっかり押さえます。
Positioning a square of green glitter vinyl over the placement stitch on top of the fiber form.
Vinyl Placement

現場のコツ:このスタビライザーの積層が「一時的な布」になります。枠張りが均一でないと、配置線が歪み、後の組み立てで合わなくなります。

チェックポイント:Fiber Formが完全にフラットに収まっているか。端が浮いていると、後で針が引っ掛かる原因になります。

Trimming excess green vinyl close to the tackdown stitching with curved applique scissors.
Applique Trimming

Step 4 — ビニールアップリケの貼り込みとトリム

  1. 配置枠を縫う:ビニールを置く位置が縫われます。
  2. ビニールを置く:準備したビニールを配置枠の上にかぶせ、テープで固定します。
  3. 仮止め縫い:ミシンがボックス状に縫ってビニールを固定します。
  4. トリム:ミシンから枠を外し(※枠から作品は外さない)、縫い線ギリギリで余分なビニールをカットします。

トリムの要領:枠を机に置いて安定させ、カーブ刃のアップリケハサミで縫い線に沿って少しずつ。ビニールを持ち上げるとズレやすいので、できるだけ寝かせたまま切ります。

The completed flat embroidery panel of the haunted house wall inside the hoop, showing purple, green, and black vinyl sections.
Finished Stitching

チェックリスト(ミシンに戻す前)

  • 枠のテンション:トリム中にたわんでいないか
  • テープの取り忘れ:縫い進める前に必ず除去
  • トリムの際:縫い線の近くまで切れているか(残りがあると後で縁から見えます)
  • 下糸(ボビン糸)残量:サテンが多い工程で途中交換になると見た目が乱れやすい

Phase 4:カット/すすぎ/乾燥(硬さを作る工程)

すすぎは「全部落とす」ではなく、自立に必要な硬さを残すのが狙いです。

量産や段取り改善の話として、粘着式 刺繍枠 刺繍ミシン 用 やマグネット系の枠で作業性を上げる考え方はありますが、この作品はウォッシュアウェイが前提の工程なので、まずは動画通りの構成で進めるのが安全です。

Using a rotary cutter and clear ruler to trim the excess stabilizer around the embroidered shape.
Trimming Stabilizer

Step 5 — すすぎとプレス

  1. 荒裁ち:ロータリーカッターで、外周から約 1/4インチ残してスタビライザーを整えます。
  2. すすぐ:ぬるま湯の流水で、残ったスタビライザーを溶かします。
    • 注意:すすぎすぎると柔らかくなり、自立性が落ちます。
  3. 完全乾燥:しっかり乾かします(動画でも「乾いてから組み立て」が明確です)。
  4. プレス:当て布をしてアイロンで平らに整えます。
Using a craft knife to slice open the buttonhole slots on the black embroidered spiderweb roof piece.
Cutting Tabs

Phase 5:組み立て(壊さず、確実にロックさせる)

ここは力任せにすると戻れません。タブを折る、アイレットを裂く——この2つが一番痛い失敗です。

段取りを揃える目的で ミシン刺繍 用 枠固定台 を使う考え方もありますが、まずは「各パーツの開口精度」と「差し込み順」を守るのが最優先です。

Punching holes in the round eyelets using the OESD Perfect Punch Tool.
Punching Eyelets

Step 6 — タブ差し込み口/アイレットの開口

  1. タブ差し込み口:細工用ナイフで、刺繍されたスリット(ボタンホール状)を切り開きます。
  2. アイレット穴Perfect Punch Tool で、刺繍された丸穴をきれいに抜きます。
Graphic animation of a yellow zigzag line showing how to stitch two flat panels together.
Assembly Instruction

チェックポイント:光に透かして、スリットがきちんと抜けているか確認。糸が橋渡しで残っていると、タブが途中で止まります。

Cutting the connector thread between a buttonette and the main piece.
Final Trimming

Step 7 — 3D組み立て

  1. 壁パネルをつなぐ:指示のある箇所をジグザグでつなぎます(動画ではジグザグ接合の説明が入ります)。
  2. 装飾パーツを先に留める:ボタンネットをアイレットに通して、バルコニー等の装飾を取り付けます。
  3. ロッキングタブで立体化:床/屋根パーツのロッキングタブを、壁側の差し込み口に入れて固定します。
    • 現場のコツ:作業中はクランプ(Button Clips等)で仮固定すると、手が足りない場面で安定します(動画でもクリップ使用が示されています)。
Inserting the locking tabs of the entrance assembly into the slots of the main wall.
Assembly
Folding up the walls of the first floor; walls are purple and black with green accents.
Folding Assembly

段取り改善:手間が多い作品を“回せる工程”にする

コメントでも「可愛いけど手間が多い/時間がかかる」という声がある通り、この作品は工程が多い分、枠の付け外し・トリム・再セットが負担になります。

  • 安定性の改善:厚みのある積層でも素早く固定できる マグネット刺繍枠 は、ねじ締めの手間を減らしやすい選択肢です。
  • 機種用の選定刺繍ミシン 用 マグネット刺繍枠 のように、対応枠を前提に揃えると段取りが組みやすくなります。
  • 位置合わせの再現性hoopmaster 枠固定台 のような治具系の枠固定台は、同じ位置・同じテンションで枠張りしやすく、複数パネルを作るときに効いてきます。

注意(マグネットの取り扱い)
マグネット刺繍枠は強力です。指を挟まないよう、必ず端を持ってゆっくり合わせてください。医療機器(ペースメーカー等)への影響があるため、取り扱い注意事項に従って距離を確保します。

The fully assembled Freestanding Terrifying Tower standing upright with all three floors stacked.
Final Result

最終チェック

完成したタワーは、次の状態になっていれば合格です。

  • 自立性:壁が外に反らず、立てたときにグラつかない
  • 清潔感:濃色ビニールの縁に白い残り(スタビライザー残渣)が目立たない
  • ロック:タブが奥まで入り、ボタンネットが抜けにくい

この作品で身につく「硬さの作り方」「混合素材の扱い」「すすぎの加減」は、他の自立型・立体作品にもそのまま応用できます。