手刺繍でつくる赤い納屋と野原:サテン・スプリットバック・ストレートステッチ徹底ガイド

· EmbroideryHoop
手刺繍でつくる赤い納屋と野原:サテン・スプリットバック・ストレートステッチ徹底ガイド
赤い納屋と野原の小さな風景を、手刺繍の基本ステッチで描くやさしいプロジェクト。サテンステッチで建物、スプリットバックステッチで屋根の輪郭、ストレートステッチで野原と空、仕上げにフレンチノットで花を散りばめます。2本取りで安定した面を作るコツ、長い面を美しく埋める分割の考え方、地平線のなじませ方まで、動画の実演をもとに丁寧に解説します。

教育目的の解説のみです。 本ページは、オリジナル制作者の作品についての学習用ノート/解説です。権利はすべて原作者に帰属し、再アップロードや再配布は禁止されています。

元の動画は制作者のチャンネルでご視聴ください。今後のチュートリアルを支援するため、ぜひチャンネル登録を。下の「登録」ボタンをタップして応援してください。

制作者ご本人で、内容の修正・情報源の追加・一部削除をご希望の場合は、サイトの問い合わせフォームからご連絡ください。速やかに対応いたします。

Table of Contents
  1. はじめに:赤い納屋と野原の手刺繍
  2. 納屋を刺す
  3. 風景を描く:野原と空
  4. 仕上げ:花を添える・見栄えを整える
  5. 初心者のための実践ヒント
  6. 作品をシェアしよう

動画を見る:Sarah's Hand Embroidery「How to Stitch Houses BARN AND FIELDS」(Sarah's Hand Embroidery)

ふっくら赤い納屋、風にそよぐ緑の野原、穏やかな青空。基本の3つのステッチだけで、こんなに物語のある景色が刺せます。面の埋め方、糸の方向、地平線のなじませ方――初心者が悩みやすいポイントを、動画の進行に合わせて整理しました。

Finished embroidered barn and fields scene in a hoop.
A beautifully finished hand-embroidered barn and fields scene, nestled within a wooden hoop, showcases the various stitches used for the landscape and structure.

学べること

  • サテンステッチで大きな面をまっすぐ美しく埋めるコツ(分割→充填)
  • スプリットバックステッチで屋根の輪郭を太く整える手順
  • ストレートステッチで野原と空の密度を作る“往復”の積み重ね方
  • 長い針目への対処(エンクローチング・サテン)と地平線のなじませ方
  • 仕上げのフレンチノットで花を散らす配置の工夫

はじめに:赤い納屋と野原の手刺繍 このプロジェクトは、4インチ枠向けの図案ですが、動画では3インチ枠を使用。サイズを小さくするとモチーフの“かわいさ”が際立ちます。全工程を通して刺繍糸は2本取り。面が揃い、細部のラインも程よい存在感で立ち上がります。

Embroidery hoop with a traced barn pattern.
The video begins with a close-up of the fabric stretched in an embroidery hoop, showing the traced outline of a barn and its surrounding fields.

フリーハンドで描くのではなく、印刷した図案を下書きに沿って進めるので、初めての方も安心。特にサテンステッチで面を埋めるときは、外形の正確さが仕上がりを左右します。手持ちの布に図案を転写し、枠に適切なテンションで張りましょう。手刺繍なので、ここでは磁気 刺繍枠などの機械用ツールは不要です。

納屋を刺す

材料と基本設定(共通)

  • 刺繍糸:赤、グレー、白、緑、青、黄(すべて2本取り)
  • 布:お好みの無地(綾織など目が詰まったものが扱いやすい)
  • 道具:刺繍針、刺繍枠(3〜4インチ)

プロのコツ

  • 大きな面ほど“分割”が効きます。数針でガイドを作り、面を小さなセクションに切り分けてから埋めるのが、均一でまっすぐなサテンの近道です。
  • 針目は布目に逆らわず、引き過ぎないテンションで。わずかな緩みが糸のツヤを保ちます。

サイド壁をサテンステッチで埋める(縦方向) サイドは赤のサテンステッチを縦方向で。最初に“仕切り線”となる数針を入れ、広い面を小さなブロックに分割します。分割は1回で終わりではなく、手に馴染む大きさまで段階的に細分化。そこから、2〜3本のストレートステッチでリズムよく詰めていきます。

Hand embroidering red satin stitches on barn side.
The embroiderer's hand meticulously places vertical red satin stitches on the barn's side, demonstrating how dividing sections helps maintain stitch neatness.

注意

  • 大きな面を一気に埋めると針目が傾き、ムラが出やすくなります。迷ったら“さらに分割”を。
  • サテンの針目は約1.5cmを目安に。長過ぎると安定しません。

クイックチェック

  • 縦の方向感は揃っている?
  • 分割した境界がガタついていない?

分割→充填の流れに慣れると、面の端で糸が暴れにくくなります。均一なツヤが出てきたら、面の表情はもう一歩。角の立ち上がりをそろえつつ、わずかに角度を調整して、建物の“立体感”を意識しましょう。

Progress of red satin stitches on the barn side.
A closer look at the progressing red satin stitches filling a segment of the barn's side, with initial stitches guiding the filling process.

さらに別区画も同じ手順で。細分化→充填という一定のリズムを保つと、糸替えや休憩のあとでも品質がブレません。

Filling another section of the barn with red satin stitch.
The hand continues to fill another segment of the barn's side, reinforcing the technique of dividing the area to ensure straight and even stitches.

なお、よりボリュームを出したいときは、パディッド・サテンも選択肢ですが、今回は素直なサテンでOKです。

正面壁をサテンステッチ(横方向) 正面側は横方向のサテンステッチ。サイドを縦、正面を横にすることで、同じ赤でも面の質感が変わり、形がくっきり分かれます。パーツごとに独立して埋めるのが肝心。ドア周りや上部は後から仕上げます。

Starting horizontal red satin stitches on the barn front.
The embroiderer begins applying horizontal red satin stitches to the barn's front, creating a textural difference from the vertical stitches on the side.

上部の広い面では、針目が長くなりがち。安定目安の1.5cmを超えそうなら、エンクローチング・サテン(列同士を少し食い込ませる方法)で半分ずつ進めます。前列へ僅かに侵入させることで、段差が馴染み、面がつながります。

Filling the upper barn front with horizontal satin stitches.
The process of filling the upper part of the barn's front with horizontal satin stitches, illustrating the technique used to maintain stitch consistency.

クイックチェック

  • 針目は横方向で揃っている?
  • サイドの縦サテンと“質感の差”が出ている?

- 長い針目部分は、エンクローチングで安定化できている?

Using encroaching satin stitch on the barn front.
The encroaching satin stitch method is demonstrated here, where longer stitches are layered to ensure stability and a smooth finish on larger areas.

屋根の輪郭をスプリットバックステッチで 屋根の輪郭はグレーのスプリットバックステッチ。2本取りでも線幅がしっかり出て、屋根の稜線がキリッと引き締まります。曲線も扱いやすく、サテンで埋める前の“枠”として最適です。

Stitching roof outline with gray split back stitch.
The needle creates a thick, neat outline for the barn roof using gray split back stitches, defining its shape against the red barn body.

屋根をサテンステッチで塗り込める 輪郭が決まったら、屋根内部をグレーのサテンで。面の端から端まで均一に塗るより、エッジから中央へ少しずつ詰めていくと、輪郭線と密着して隙間が出にくくなります。糸の向きは屋根の面に沿わせつつ、ツヤが均一になるようにテンションを一定に保ちましょう。

Filling barn roof with gray satin stitch.
Gray satin stitches are being meticulously filled within the split back stitch outline of the barn roof, ensuring a solid and even color application.

細部を白のストレートステッチで 窓やドア枠などのディテールは白のストレートステッチで。完璧な直線にこだわりすぎず、ほんのり角度が揺れるくらいが手刺繍らしい表情になります。印刷図案の目安に合わせ、針目の長さは“おおよそ”で大丈夫。最終的な見え方のバランスを優先しましょう。

Adding white straight stitch details to the barn.
White straight stitches are carefully added to the barn, forming windows and door details, bringing the structure to life with fine lines.

風景を描く:野原と空

緑の野原をストレートステッチで 野原はグリーンのストレートステッチを“往復”で重ね、密度を上げながら面を作ります。完全な垂直にこだわらず、ときどき角度を振ることで草の揺れが生まれ、自然な表情に。濃淡の違う緑を混ぜると、さらに奥行きが増します。

Starting green straight stitches for the field.
The embroiderer begins stitching the green fields using straight stitches, strategically placing initial stitches to build the grassy texture.

プロのコツ

  • 密度を出すには“重なり”が不可欠。前の列に部分的に重ね、空きのないフィールドを目指します。
  • 針目の長短に微差をつけると、人工的な縞が消えます。

クイックチェック

  • ステッチが均一すぎて平板になっていない?

- 草の向きに軽い振れがあり、面に生命感が出ている?

Dense green field with straight stitches, leaving sky area blank.
The green field is largely filled with dense straight stitches, displaying a varied, realistic texture, while the upper section is left open for the sky.

空をストレートステッチで 空は水平のストレートステッチ。1列目にロング&ショートの変化をつけ、そこから列を積むと、面が滑らかにつながります。青の濃淡を織り交ぜる、白をパッチ状に置いて雲を示す――どれもOK。大切なのは“列の規律”。針目の置き方を丁寧に揃えるほど、空気のように滑らかな空に仕上がります。

Embroidering blue straight stitches for the sky.
Blue straight stitches are stitched horizontally across the upper area, forming the sky, with some intentional variations to suggest clouds.

注意

  • 置き方がばらつくと空が斑に見えます。列の出発点と到達点を小さく印しておくのも手。

地平線のなじませ 空ができたら、野原の最上段へ戻り、ところどころ空へ緑の針目を少しだけ侵入させます。線を引くのではなく“点で跨ぐ”イメージ。これで境界の硬さが消え、遠景の柔らかさが生まれます。

Finishing the field's edge, blending with the sky.
The final touches are applied to the field's edge, with green straight stitches subtly encroaching into the blue sky to achieve a blended, natural horizon line.

仕上げ:花を添える・見栄えを整える

フレンチノットで野の花を散らす 最後に、黄の2本取りで小さなフレンチノットをランダムに。あえて群れを作る場所と、点在させる場所を作ることで、視線が景色の中を旅します。密度の高い野原に小さな粒が乗ると、全体のリズムが軽やかに。

Adding yellow French knot flowers to the green field.
Small yellow French knots are scattered across the green field, adding delicate flower details and enhancing the overall charm of the embroidered landscape.

クイックチェック

  • ノットは均一に締まっている?

- 花の密度は偏っていない? それとも“偏り”を意図してリズムにしている?

Completed French knots on the green field.
A closer view of the completed French knots, showing the random placement and clustering that gives the fields a natural, wildflower-strewn appearance.

最終レビュー

  • 立体感:サイド(縦)と正面(横)のサテンで質感差が出ているか。
  • 線のキレ:屋根のスプリットバックは太さが保たれ、波打っていないか。
  • 面の密度:野原は隙間が目立たず、空は斑になっていないか。
  • 視線誘導:フレンチノットの散らし方で、視線が“納屋→野原→空”へ心地よく動くか。

初心者のための実践ヒント

ステッチの基本を“現場”で身につける

  • サテンの安定:針目1.5cm以内を目安に。長くなる場所は、途中に“寄り道”の針を入れて距離を分割。
  • 方向の決め方:建物は“面の向き”で決める(サイドは縦、正面は横)。風景は“現象”で決める(草は上向きに伸び、空は水平に広がる)。
  • 図案との距離感:印刷図案の寸法は“目安”。完成時の全体バランスが優先です。

トラブルシューティング

  • サテンが波打つ:分割が不足。最初の仕切り線を増やしてから再開。
  • 面に隙間ができる:刺し終えた列の際へ少し“食い込ませ”ながら次列を進める。
  • 空がムラ:列の起点・終点を布に薄く目印、針目を均等化して整える。

注意

  • 動画では常に2本取り。糸本数を変える場合は、面の質感や線の太さが変わる点を理解して選択を。
  • 針目の引き過ぎは、ツヤ消えと歪みの原因に。軽いテンションで“置く”感覚を。

パターンのカスタマイズ

  • フィールドの色:緑の濃淡を増やしたり、所々に黄緑を混ぜると季節感が変わります。
  • 空の表現:白のパッチを増やせば曇天、青のグラデーションで夕景風にも。
  • 建物のディテール:窓の位置や数は印刷図案の目安を守りつつ、最終的な見た目で微調整。

機械刺繍ユーザーへのひとこと(手刺繍との住み分け) このプロジェクトは完全に手刺繍で進めますが、もし機械刺繍環境を併用して枠張りを効率化したい方は、作業補助としてmighty hoopsnap hoop monsterなどのツールの情報を参考にしてもよいでしょう。とはいえ、本稿の制作は手刺繍を前提とし、動画でも機械枠の使用は示されていません。

また、“磁力で布を挟むタイプ”の情報を調べる際は、一般名称として磁気 刺繍枠 for embroideryやembroidery 磁気 刺繍枠、さらにはmagnetic フレームといった語で検索すると比較がしやすいでしょう。手刺繍の感触を大切にする場合は、従来の丸枠でのテンション管理に慣れることをおすすめします。加えて、英語混在の情報では刺繍枠 machineという用語で機械前提の記事が見つかることがありますが、本プロジェクトのような“手の跡”が活きる表現には、手刺繍ならではのコントロールが最適です。

コメントから 動画のコメントには「とても美しい」との感想が寄せられ、作者から「ありがとう」と丁寧な返信がありました。制作の達成感を共有できるのも、このプロジェクトの楽しさのひとつ。あなたの作品も、完成したらぜひ写真に残し、仲間の励みにしてください。

作品をシェアしよう

  • 同じ図案で刺したら、完成写真を撮って記録を。光は斜めから当てるとサテンのツヤが綺麗に写ります。
  • 納屋の赤・屋根のグレー・野原の緑・空の青・花の黄が画面内で“偏らない”よう配置を再点検。撮影前に糸クズをコロコロで除去。
  • 3インチ枠仕上げは可愛さ抜群。壁かけや卓上に、そのまま飾れます。

参考タイムスタンプ(動画)

  • 納屋サイド(サテン):00:24〜
  • 納屋正面(サテン):02:23〜(長針目はエンクローチング)
  • 屋根輪郭(スプリットバック):05:14〜
  • 屋根の面(サテン):06:51〜
  • 細部の白ライン(ストレート):07:48〜
  • 野原(ストレート):09:44〜
  • 空(ストレート):11:51〜
  • 地平線のなじませ:15:29〜
  • フレンチノットの花:16:42〜

おわりに サテン、ストレート、スプリットバックという限られた語彙で、ここまで豊かな景色が描けるのは、手刺繍ならでは。分割して整え、往復して重ね、ところどころで“侵入させる”。この3つの所作だけで、面は驚くほど美しくまとまります。今すぐ針を手に、あなたの“野原”を育ててみませんか?