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「動画を見る:Hand Embroidery Tutorial: Penguin Design(Sainu's Embroidery & Tailoring Tips)」
手刺繍の魅力は、一本の糸で表情まで描けること。今回ご紹介するのは、黒とグレーのボディに赤いくちばし、青い瞳、氷の土台まで——シンプルな構成で“かわいい”を極めるペンギンの刺繍です。無言の実演動画を言語化し、順序・狙い・注意点を丁寧に補います。

このチュートリアルは中級者向け。とはいえ、サテンステッチが中心なので、基本ができれば十分挑戦できます。完成像を先に見てイメージをつかみましょう。

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学べること
- 黒・銀(ライトグレー)・赤・青・オレンジの配色で構成するペンギン図案の刺し順
- サテンステッチでムラなく面を埋めるコツと、境目をシャープに見せる工夫
- 目の表情づくり(黒の輪郭→濃青の虹彩→淡青のハイライト)
- 仕上げのチェック項目と、粗を整えるミニリペア
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はじめに:ペンギン手刺繍の魅力 愛らしい動物モチーフは、作品の雰囲気を一気に柔らげてくれます。ペンギンは配色のコントラストがハッキリしているため、刺繍の“輪郭と面”の練習にも最適。特にサテンステッチの滑らかさが仕上がりを左右するので、テンション管理と針目の方向性を意識して進めましょう。なお、本記事は動画のビジュアル手順に基づいて解説します(音声解説は無し)。
準備するものと下ごしらえ
- 布と刺繍糸:黒/銀(ライトグレー)/赤/濃青/淡青/オレンジ(茶寄りでも可)
- 道具:刺繍枠、針、よく明るいフラットな作業面
- 図案:布にペンギン図案をトレース(方法はお好みで)
- 前提スキル:基本的なステッチ(特にサテンステッチ)の理解
布を枠に張る際はたるみゼロを目指して。面を広く埋める工程が多いため、枠の張りはこまめに見直します。手刺繍がメインですが、もしミシン刺繍が気になる方は、固定方法の選択肢として磁気 刺繍枠やmagnetic フレームの情報も参考になります(本稿の作例は手刺繍です)。
プロのコツ
- 面を埋める前に輪郭を先に決めると、色が交わる境目が整います。
- 大面積は“中央→外”へ。少しずつ幅を広げると乱れにくい。
- 糸端は裏で始末し、境目は短いステッチでエッジを整える。
注意
- 無理に糸を引き締めすぎると布が波打ちます。均一なテンションを維持しましょう。
- 色境界のにじみ(跨ぎ)は、ステッチ幅を詰めてエッジを“揃える”意識で解決できます。
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ステップごとの刺し進め:アウトラインから色づけへ
1)黒でボディをアウトライン(00:15–00:39)

最初は黒糸で体の主輪郭を正確になぞります。トレース線に忠実に、針目の長さを一定に。チェック:ラインが図案に沿っているか。ピットフォール:針目の長短がバラつくと輪郭がギザギザに見えます。気になる箇所はほどいてやり直してOK。

クイックチェック
- 輪郭の角で針目が“角丸”になっていないか?必要なら角だけ短針で補正。
- 次に埋める黒面の方向(ステッチの流れ)をイメージしておく。
2)お腹の白(ライトグレー)領域をアウトライン(00:39–00:53)

銀/ライトグレーでお腹の境界線を滑らかに。黒との境界を明瞭にし、白場の形を先に固定しておきます。ピットフォール:黒側へにじむと仕上がりが曖昧に。修正は小さな針目でエッジを整える。
3)くちばしを赤でアウトライン(00:55–01:15)

小さめのパーツほど針目を短く、角度を一定に。後のサテンステッチが入れやすくなります。チェック:形がシャープか。
4)くちばしの輪郭&銀の補強(01:15–01:40)

赤の輪郭を必要に応じて重ねて強調し、体周りの銀のラインも足りない部分を補います。複色の境目は色同士がぶつからないよう、狭い間隔で丁寧に。
5)くちばしをサテンステッチで全面充填(01:40–02:11)

赤一色でツヤを出すパート。ステッチは必ず平行に、テンションを一定に。隙間が出たら個別の短い針目で埋めて均します。仕上がり目安:表面が鏡面のように滑らか。
6)くちばしの最終調整/主な輪郭のクリーニング(02:11–02:40)

赤の端を整え、顔周りの銀、必要なら黒の輪郭も微修正。余分な糸端はここでカット。
サイドメモ 刺繍枠選びで迷う方へ。手刺繍の丸枠で十分ですが、ミシン刺繍で似た図案に挑戦する場合は、布固定の選択肢として刺繍枠 for 刺繍ミシンやhoopmasterのようなホーピングシステムも検討の余地があります(本稿の作例は手刺繍)。
7)黒のボディをサテンステッチで面埋め(02:40–03:37)

ここが最大面。針目は必ず同方向に流し、密度を保ちます。中央から外へ、段差が出ないよう列を重ねるのがコツ。途中経過ではムラに見えることがありますが、密度を整えながら進めれば均一に収束します。

トラブルシュート
- すじ状のムラ:針目の角度が揺れているサイン。同一方向に矯正。
- 地布の透け:列間が空きすぎ。列を詰め、足りない箇所へ短針を追加で補完。
8)目を刺す(03:37–04:03)

黒で輪郭→濃青で虹彩→淡青で小さなハイライト。左右の対称を最優先に。片側ずつ完全に仕上げず、バランスを見ながら交互に進めると狂いを防げます。表情は“ハイライトの位置”で決まるので、ほんの少しの角度差に注意。
9)足をオレンジ/ブラウンで(04:03–04:30)

小面積のサテンは、形の“端”から“端”へ糸を渡す意識で。指のような凸形は、針目の向きをわずかに変えて形状を彫刻するように。大きさ・形の比率が全体と合っているか確認します。
10)お腹の白場を銀/ライトグレーで面埋め(04:30–05:04)

黒とのコントラストが最も効く部分。表面が荒れやすいので、テンションを緩めすぎず、しかし引き過ぎない“中庸”で。ステッチ方向は一定、列間は隙間ゼロを目標に。
11)氷の土台を淡青で(05:04–05:14)

淡青で面を作り、氷の質感を穏やかなステッチ角度の変化で表現します。動画では大きなバリエーションは示されていませんが、フラットに見えるときは角度をわずかに振ると微妙なきらめきが生まれます。
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クイックチェック(総合)
- 輪郭:黒・銀・赤のエッジは滑らかで途切れがないか?
- 面:サテンステッチに隙間や“段差の影”が出ていないか?
- バランス:目は左右対称で、“光(ハイライト)”が同じ位置関係にあるか?
- 余糸:裏の糸端や表の毛羽立ちは整えたか?
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氷の土台を仕上げるテクニック 氷の表現は、ステッチ角度の緩やかな変化が鍵。面を二分・三分して、角度を5–10度ほどずらすだけで、のっぺり感が和らぎます。淡青は光の当たりで濃淡が出やすいので、針目の方向を置き換えて微妙なトーン差を演出しましょう。なお、動画では具体的な角度指定はありません。ここは各自の好みで微調整を。
注意
- 角度の変化を急にしすぎると“継ぎ目”が目立ちます。境目を短針で馴染ませると自然です。
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美しいサテンステッチのために サテンステッチは“引き”“向き”“密度”の三位一体。糸は軽くピンと、布目を歪ませない範囲で。向きは一貫性が命。密度は地が透けない最小限に保ち、詰め過ぎによる盛り上がりや光沢の不均一を避けます。
プロのコツ
- 境界のエッジ処理には、1〜3mmの短いステッチを使って“縁取りを面に馴染ませる”。
- 途中で糸を足すときは、同方向に糸を渡し、継ぎ目を“段差なく”埋める。
- 練習布で角度・密度の“テストスウォッチ”を先に作ると、本番がスムーズ。
サイドメモ(道具の話) 手刺繍が中心でも、作品の固定方法や作業効率に関心があるなら、ミシン刺繍で使われるmighty hoopやsnap hoop monster、embroidery 磁気 刺繍枠といった選択肢の特徴を知っておくと応用の幅が広がります(本稿の作例は手刺繍ベース)。
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仕上げと見せ方のアイデア
- フレーミング:丸枠のまま飾るなら、裏当て布で糸端を隠し、ほこり対策に軽いカバーを。
- 小物使い:ワッペン風に仕立ててトートやポーチへ。耐久性を高めるなら周囲をブランケットステッチで補強。
- ギフト:カードやタグにミニサイズで刺せば、季節の便りにもぴったり。
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よくある質問(FAQ) Q. どんな布が向いていますか? A. 安定した伸びの少ない綿やリネン、混紡などが扱いやすいです。
Q. 大きな面は何のステッチで埋めますか? A. サテンステッチが基本。なめらかでソリッドな色面を作れます。
Q. 図案の写し方は? A. トレーシング、消えるペン、アイロン転写など、手持ちの方法でOKです。
Q. 布のつれを防ぐには? A. 枠を適切に張り、糸のテンションを一定に保ちましょう。
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コメントから:視聴者の声 動画コメントには、「美しい」「素敵」「ナイス!」といった好意的な反応が寄せられていました。特に、色の切り替えとサテンの光沢感に惹かれた様子がうかがえます。シンプルなモチーフでも、輪郭と面の精度が“かわいさ”を最大化する——そんな学びを共有しているようでした。
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まとめと次の一歩 本チュートリアルでは、
- 黒の輪郭→配色アウトライン→サテンの面埋め→目・足→お腹→氷の土台、という順序
- サテンステッチの“向き・密度・テンション”の整え方
- 境界のエッジ処理や微修正の勘所
を押さえました。完成したら、別配色やサイズ違いにも挑戦を。ミシン刺繍に興味が湧いた方は、固定手段の情報として刺繍ミシン for beginnersや磁気 刺繍枠 embroideryの基礎知識を並行で追うのもおすすめです(本稿の作例はあくまで手刺繍)。
作品が増えたら、小さな“動物シリーズ”に展開しても楽しいはず。まずはこのペンギンで、サテンステッチの手応えをぜひ体感してください。
