Hatchで作るアプリケ刺繍とSVGカット連携:Scan N Cutとブラザー刺繍機で仕上げる一連のワークフロー完全解説

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Hatchで作るアプリケ刺繍とSVGカット連携:Scan N Cutとブラザー刺繍機で仕上げる一連のワークフロー完全解説
Hatch Embroideryでアプリケ用の形状をデジタイズし、Brother Scan N Cut用にSVGをエクスポート、さらにBrotherの刺繍ミシンでスケッチ風に縫い上げるまでを、ミスしやすい箇所の理由やチェックポイントとともに体系化。レイヤーをロックして参照画像を固定する理由、Single Run/Backstitch/Sculpture Runの使い分け、ジャンプステッチを短く保つルーティング、EMBとPESの保存判断、カット布の配置と仮止めのコツまで、動画の流れを超える実践的な手順に再構成しています。700×300mm等のソフト上の設定が実機と異なる可能性など、動画に明言のない点は注意事項として明示し、コメントで寄せられた「カード制作に応用できる」という着想も補足しました。

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Table of Contents
  1. プロジェクトの概要
  2. 準備(道具・素材・ファイル)
  3. ソフトのセットアップとアートワークの読み込み
  4. アプリケ形状のデジタイズ(ドレスと帽子)
  5. スケッチ風ステッチの追加(腕・頭・髪・肩)
  6. カッティング用SVGと刺繍用PESの書き出し
  7. ブラザーのカッティングと刺繍(実機作業)
  8. 仕上がりチェックと品質管理
  9. トラブルシューティングとリカバリー
  10. コメントから

1 プロジェクトの概要

Hatch Embroideryのツール群を活用して、ドレスと帽子のアプリケ形状を正確にトレースし、ソフトから直接SVGとして書き出してBrother Scan N Cutで布をカットします。その後、刺繍ミシンで配置ガイドの淡色アウトラインを縫い、カット済み布を仮止めして、黒糸のスケッチ風ステッチで仕上げます。

1.1 本ワークフローの到達点

・デジタイズした形状と実機のカット・縫製をシームレスに接続し、狙い通りの位置へ布アプリケを収めます。 ・線画表現はBackstitchやSculpture Run Stitchで描き分け、手描き風の揺らぎを保ちながらも破綻のない連続性を確保します。 ・ソフト上のフープサイズは700×300mmが例示されていますが、実作業で用いたフープの寸法は動画で明言されていません(ソフト設定と実機環境が一致しない可能性に注意)。

Hatch Embroidery website promoting digitizing software.
The Hatch Embroidery website displaying its features and software levels, emphasizing its utility for creating custom embroidery designs.

1.2 適用範囲と前提

・Hatch Embroideryの基本的な操作(トレース、ノード編集、ステッチタイプ変更、書き出し)を想定します。 ・Brother Scan N Cutの基本操作(ファブリックマット/回転刃の使用)を前提とします。 ・Brother刺繍ミシンの基本操作を前提とします(画面にはInnov-is M330Eの表示が見えますが、機種名は明言されていません)。

プロのコツ: ・線画のルート設計は「最後の終点から次の始点を近づける」意識で行うと、ジャンプステッチを短く保てます。

注意: ・ソフトのフープ設定値は実機と一致しない場合があります。テスト縫いで必ず物理的な可動域を確認しましょう。

2 準備(道具・素材・ファイル)

Hatch Embroidery、Brother Scan N Cut(ファブリックマットと回転刃)、Brotherの刺繍ミシン、布(アプリケ用)、リネン、スタビライザー、刺繍糸(淡色/ダークグレー/黒)、布用接着剤、はさみ、参照画像(PNG/JPG)を用意します。

2.1 必要ファイルと保存拡張子

・Hatchネイティブ:.EMB(編集可能な状態を保持) ・刺繍機用:.PES(Brother用) ・カット用:.SVG(Scan N Cut用にエクスポート)

2.2 作業スペースの整備

・PCデスクはマウス操作のストロークを確保できるように広く。 ・ミシン周辺はリネンとスタビライザーの取り回しがしやすいように。

クイックチェック: ・参照画像とデザインファイルは同じフォルダ名・同じベース名にしておくと後工程で迷いません。

チェックリスト(準備):

  • Hatchと必要フォント/ステッチタイプが使える状態
  • 参照画像の用意(PNG/JPG)
  • .EMB/.PES/.SVGを保存するフォルダを決定
  • リネン・スタビライザー・布・糸・接着剤・はさみの準備
  • Scan N Cutのファブリックマットと回転刃

なお、フーピングを安定させたい場面では、マグネット刺繍枠 と併用することで生地のズレを抑えやすくなります。

Hatch software interface with hoop size and coordinate settings.
The Hatch Embroidery software interface showing the hoop configuration, with a 700x300mm hoop selected, ready for importing the design artwork.

3 ソフトのセットアップとアートワークの読み込み

Hatchで機種・フープ・計測単位を設定し、参照画像を配置してロックします。

3.1 フープと計測の設定

ソフト上でフープサイズを設定します(動画では700×300mmが表示)。この設定はガイド用であり、実機フープと一致しない可能性があるため、後工程での物理検証を前提とします。

Importing artwork reference image into Hatch.
The file browser open in Hatch, showing the selection of the 'Reference.png' image, a fashion illustration of a woman in a dress and hat, to be imported as the digitizing guide.

3.2 参照画像のインポートとレイヤーロック

・参照画像をインポートし、拡大率と位置を整えます。 ・参照レイヤーをロックし、トレース中に動かないようにします。

注意: ・ロックを忘れると、ドラッグ時に画像がずれて精度が落ちます。気づいたら即ロックに戻しましょう。

チェックリスト(セットアップ):

  • フープサイズの設定を確認
  • 参照画像の位置・倍率を調整
  • 参照レイヤーをロック
  • 作業ズームとスナップ挙動を確認

フレームの安定化を重視する場合、作業途中の一時固定には 刺繍用 枠固定台 を活用すると、マウス操作に集中しやすくなります。

4 アプリケ形状のデジタイズ(ドレスと帽子)

ドレスと帽子はアプリケに用いる主要パーツです。後でSVGに書き出すため、形状の精度が完成度を左右します。

4.1 ドレスのアウトラインを精密になぞる

・拡大表示して「Digitize Closed Shape」を選択。 ・直角は左クリック、曲線は右クリックで頂点を打ち分けます。 ・曲率が思い通りでなければBackspaceで点を戻し、ラインを調整します。 ・ステッチタイプはSingle Run Stitchに設定し、他パーツと識別しやすい色を割り当ててからレイヤーをロック。

Digitizing dress outline in Hatch software.
A close-up of the Hatch workspace, showing the 'Digitize Closed Shape' tool selected and the start of tracing the dress outline using click points.
Continuously tracing dress outline with curved and straight points.
The digitizing process in progress, with the cursor leaving a trail of yellow circles indicating click points for curved and straight lines around the dress outline, while the software auto-scrolls.
Completed digitized dress outline.
The full dress outline is digitized with a single run stitch, marked in green, before it is assigned a specific color and the layer is locked.

クイックチェック: ・腰や肩の角度、裾ラインの滑らかさが参照画像に追従しているか。

プロのコツ: ・長い直線は頂点を減らし、曲線は必要最小限の点で制御すると修正が容易です。

4.2 帽子の形状を追加する

・帽子も同様にトレースします。 ・デフォルトがFillに戻る場合があるため、Single Run Stitchへ変更してからロック。

Digitizing the hat with fill stitch in Hatch.
The hat is being digitized using the 'Digitize Closed Shape' tool, and the software has defaulted to a fill stitch, temporarily obscuring the reference image below.

注意: ・デフォルトのFillで参照画像が一時的に隠れても、後からステッチタイプを変更可能です。

なお、実機での位置合わせをラクにするには brother マグネット刺繍枠 のような保持力の高いフレームが役立ちます。

5 スケッチ風ステッチの追加(腕・頭・髪・肩)

ドレスと帽子の形状が固まったら、線画らしさを担う腕・頭・髪・肩の描写を加えます。

5.1 腕と頭部をフリーハンドで描く

・「Featured Open Shape」+Backstitchを選び、クリック&ドラッグで描くように線を引きます。 ・Reshapeツールでノード単位の微修正、曲率が足りない箇所には点を追加してコントロール。 ・描き終えたらレイヤーをロック。

Freehand sketching arms with backstitch in Hatch.
Using the 'Featured Open Shape' and 'Backstitch' options, the user draws freehand lines to create the arm outlines, showing the initial sketchy look.
Reshaping individual nodes for precise stitch placement.
The 'Reshape' tool is used to adjust individual nodes of the backstitch line, demonstrating how to correct and fine-tune the freehand lines for better accuracy.

クイックチェック: ・「大筋の合致」を優先し、不要な微細表現に囚われない(本手法はスケッチ風の味が生きます)。

5.2 髪とドレス要素を彫刻風ランステッチで

・色を切り替え、「Sculpture Run Stitch」で髪や肩、ドレスの表情線を区切りながら描きます。 ・Backtrackで線密度を重ねつつ、ジャンプステッチは短く直線的にして交差を避けます。 ・必要に応じて短い区間を削除して描き直し、流れの良いラインに。ドレス外周にもう一巡の線を加えてスケッチ感を高め、小花のディテールを添えます。

Digitizing hair with sculpture run stitch.
The 'Sculpture Run Stitch' is selected, and the user begins to freehand draw lines for the hair, aiming for a natural, flowing, hand-drawn look.

プロのコツ: ・跳ぶ位置を常に意識し、次の始点を前の終点近くにとると後処理が最小限で済みます。

ここでの微調整に集中したい場合、着脱が容易な マグネット刺繍枠 brother 用 を使うと、検証と再装着を繰り返す作業がスムーズです。

6 カッティング用SVGと刺繍用PESの書き出し

EMBとして保存して編集可能性を確保したら、アプリケ形状をSVGに、完成デザインをPESに書き出します。

6.1 HatchからScan N Cutへ:SVGの書き出し

・ドレス/帽子レイヤーのロックを解除→対象を選択。 ・File > Export Cutting からSVGを選び、保存先を指定。 ・アプリケ形状のみを出力しているかフォルダで確認。

Hatch Export Cutting dialogue box.
The 'Export Cutting' dialog box in Hatch, where the user selects 'Brother Scan N Cut Graphics (*.svg)' to export the digitized shapes for the cutting machine.

注意: ・ロック解除を忘れると選択できません。解除→出力→再ロックの流れを習慣化。

6.2 PESの書き出し(Brother用)

・File > Export Design からPESを選択し保存。 ・同名で.EMB/.PES/.SVGを揃えておくと検索性が上がります。

チェックリスト(書き出し):

  • .EMB保存(継続編集用)
  • アプリケ形状を選択して.SVG出力
  • 刺繍デザイン全体を.PES出力
  • 同一ベース名でファイル管理

なお、厚地や多層でも安定を図りたいときは mighty hoop マグネット刺繍枠 のように磁力で挟むフレームが一案です。

7 ブラザーのカッティングと刺繍(実機作業)

ここから物理工程。布をカットし、リネンへ配置して最終のステッチで仕上げます。

7.1 布パーツのカット

・Scan N Cutのファブリックマットに布を密着。 ・回転刃でSVGガイドに沿ってドレスと帽子をカットします。

Brother Scan N Cut cutting fabric with rotary blade.
The Brother Scan N Cut machine in action, using a rotary cutting blade to precisely cut the fabric pieces for the dress and hat from a textile placed on the fabric mat.

クイックチェック: ・カットエッジが毛羽立たず、意図通りの寸法で抜けているか。

注意: ・マットへの密着が甘いとズレます。素材に応じて圧着を見直してください。

磁力で確実に固定したい場面では、作業台側の補助として hoopmaster 枠固定台 を併用すると扱いやすくなります。

7.2 刺繍の流れ(配置→ライン→スケッチ)

・リネンとスタビライザーをフープにセットし、淡色糸でドレスの配置ガイド(アウトライン)を縫います。

Embroidery machine stitching outline on linen.
The Brother embroidery machine stitching the initial light-colored outline onto a piece of linen, which serves as a placement guide for the appliqué fabric.

・続けてダークグレーで腕と顔の最小限の表情線を縫います。 ・ドレスと帽子の布パーツを布用接着剤で軽く仮止め。 ・黒糸でスケッチ風の最終ステッチを走らせて完成。

Embroidery machine stitching final sketchy details.
With the fabric appliqué now glued in place, the embroidery machine stitches the final black sketchy lines, completing the intricate details of the design.

プロのコツ: ・ガイド縫いの糸色は視認性重視で薄めを選ぶと、上から黒線を被せた後も目立ちません。

もし厚手素材や多層構造で保持が不安なら、snap hoop monster マグネット刺繍枠 のような着脱容易なフレームが作業効率を高めます。

8 仕上がりチェックと品質管理

・アプリケ布のエッジがガイド内に収まり、浮きやシワがない。 ・ジャンプステッチが短く、交差していない(除去しやすい)。 ・線画の流れが途切れず、Sculpture Runの抑揚が自然。 ・表情や小花などの細部は、縮尺に対して情報過多になっていない。

クイックチェック: ・正面・斜め・近接の3視点で確認し、影の落ち方で浮きや段差を見抜きます。

なお、位置合わせの再現性を高めたいときは マグネット刺繍枠 11x13 のような固定しやすいサイズのフレーム選択が役立つことがあります。

9 トラブルシューティングとリカバリー

症状→原因→対処の順で整理します。

・曲線が意図通りに追従しない

  • 原因:ノード間隔が広すぎる/点の種別(直線/曲線)が不適切
  • 対処:Reshapeで点を追加、左クリック(直)/右クリック(曲)を使い分け、Backspaceで引き返して修正

・Fillに勝手に戻ってしまう

  • 原因:ツール既定値の復帰
  • 対処:Single Run Stitchに変更し直す(帽子の工程が該当)

・ジャンプステッチが長い/交差する

  • 原因:線画のルート設計が非最短/始点終点の配置が遠い
  • 対処:区間を分割し、次の始点を前区間の終点近くに移す。不要区間は削除して描き直し

・アプリケ布の位置がずれる

  • 原因:仮止め不足/ガイドの視認性不足
  • 対処:淡色ガイドを先に縫い、布用接着剤を適量。必要なら再フープしてやり直し

・小スケールの顔が潰れる

  • 原因:情報過多
  • 対処:最小限の線で表情を示すに留める(動画でも詳細は絞っている)

プロのコツ: ・ジャンプステッチを交差させなければ、仕上げ時の除去が容易です。ルーティング設計の段階で「交差禁止」を意識しましょう。

再現性向上の補助として、磁力系フレームの選択肢(例:マグネット刺繍枠 brother se1900 用)を検討すると、個々の機種での扱いやすさが増します。

10 コメントから

視聴者からは、色の選び方や丁寧なデモに対する称賛が複数寄せられました。また、刺繍カードへの応用アイデアも示唆されました(本編ではカード制作は実演していません)。こうしたフィードバックは、最終用途に合わせた配色・縮尺・紙媒体との相性検討に役立つヒントになります。

参考タイムスタンプ(要点): ・参照画像の読み込み 00:45/ドレス形状 01:26/帽子 03:25/腕・頭 04:15/髪・肩 06:30/EMB保存 11:19/SVG出力 11:57/PES出力 12:24/布カット 12:40/配置ガイド 12:59/黒ステッチ 13:46/完成 14:14

最後に、編集可能性の担保として.EMB保存を最優先にし、.SVGと.PESを同名管理する運用を徹底しましょう。安定した固定や再現性を高めたい場合は マグネット刺繍枠 tajima 用 や他機種向けの磁力フレーム、ならびに作業台の固定補助具をニーズに合わせて検討してみてください。