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1 プロジェクトの概要
Hatch Embroidery 3の「Reef Photo Stitch」は、写真画像を“自由ミシン風”の連続ステッチに変換する自動化ツールです。仕上がりは粒立ちのあるラインで陰影が残り、人物や衣装の動きがスタイライズされます。ここでは1920年代風のフラッパーダンサーの画像を取り込み、アップリケの土台に載せ、最終的にミシンで刺繍して完成させます。
- 目的:写真をスタイライズした連続ステッチに変換し、アップリケに重ねる
- 対象:Hatch Embroidery 3ユーザー(中級レベル)、デジタイズの基本操作を理解している方
- 成果物:タックダウンで固定したアップリケ生地の上に、Reef Photo Stitchが重なる刺繍作品
- 留意:具体的な密度・長さ・明るさの数値は動画で厳密提示されていません。プレビュー確認を基本に調整してください。
プロジェクトの性質上、データ準備と実縫いの両方を行います。布の固定が不安な場合は、マグネット刺繍枠を活用して枠入れの再現性を高めるのも有効です。
1.1 いつこの手法が有効か
- 写真の陰影や動きを“線の密度差”として表現したいとき。
- サテン縁取りではなく、ランダム寄りの連続線で味を出したいとき。
- 既存のロゴやイラストより“写真の雰囲気”を活かしたい作品に。
1.2 避けたほうがよいケース
- 極端に解像度が低く、輪郭が判別できない写真。
- 非常に小さな刺繍サイズで、線の密度差が視認しにくい場合。
- 極厚・極伸縮の素材でステッチの浮きや撚れが制御しづらいとき(その場合は安定剤や枠の選択を見直してください)。
クイックチェック
- 作品サイズと布地の相性は良いか。
- 枠・布・安定剤の組み合わせが決まっているか。
- 仕上がりの“線の多寡”を許容できる写真か。

2 準備するもの
- ソフト:Hatch Embroidery 3(Reef Photo Stitch搭載)
- 画像:アートワーク(例:フラッパーダンサー)
- 刺繍機:Brother系などの家庭用/業務用いずれでも可(動画ではBrother刺繍ミシンへPES出力)
- カッティングマシン:ScanNCut等(SVG対応)
- 生地:本体生地+アップリケ用生地
- その他:適切な安定剤、必要に応じて仮止め用スプレー、刺繍針と糸
補助ツールとして、位置決めの再現性を上げたい場合はhoopmaster 枠固定台のような治具を検討するとよいでしょう。
チェックリスト(準備)
- Hatch 3が使用可能である
- アートワーク画像を用意した
- 刺繍枠と布の組み合わせを決めた
- カッティング環境(SVG→ScanNCutなど)がある
- 安定剤と糸・針の準備ができている

3 初期セットアップ
本章では、後工程のやり直しを防ぐための“最初の整え”を行います。
3.1 画像の読み込みとサイズ合わせ
- アートワークの読み込み
- 刺繍枠の作業領域内に収まるようリサイズ(動画では具体寸法の明言なし)
- 表示倍率を上げ、輪郭や陰影の読み取りに支障がないか確認
段階で布の固定方法も意識し、必要に応じてbrother マグネット刺繍枠のような選択肢を念頭に置くと、後の実縫いでの安定が得やすくなります。
3.2 非表示/再表示(選択対象のみ)の活用
Hatch 3では、選択要素のみの非表示/再表示が可能です。対象だけに集中して編集できるため、外形トレースやレイヤー整理の効率が上がります。アップリケ外形のトレース時は、写真変換済みのステッチを一時的に隠すと作業が快適です。
クイックチェック
- 画像は枠内に収まっている
- 編集対象を素早く隠せる状態にした
- 拡大表示で輪郭の見通しがよい

4 ワークフロー:写真からステッチへ、そしてアップリケ化
ここからは、動画の流れに沿って実作業を段階的に進めます。
4.1 Reef Photo Stitchの適用(連続ステッチ化)
- アートワークを選択し、Auto-Digitize > Reef Photo Stitchを実行。
- Auto Adjustで全体の階調をならし、必要なら再度トグルで元に戻す。
- 密度や最小/最大長、Style “Heavy”などを調整し、Previewで結果をチェック。
- 必要ならBrightnessを微調整し、OKで確定。
結果の見極めは「輪郭が読み取れるか」「スカートの流れなど主題の向きが保たれているか」が目安です。布の固定性が高いほどプレビューどおりに出やすいので、枠の選択に迷う場合は刺繍ミシン 用 マグネット刺繍枠のような固定力の高い方式も検討材料になります。

プロのコツ
- 調整は“プレビュー→微修正→再プレビュー”の短いサイクルで行いましょう。過度な密度上げは糸切れや盛り上がりの原因になります。
4.2 アップリケ外形のデジタイズ
- Photo Stitchオブジェクトを一時非表示。
- Digitizing > Digitize Closed Shapesを選び、Outline / Single Runに設定。
- 外形を“おおまかに”トレース。左クリック=角、右クリック=カーブ。気に入らなければBackspaceで戻せます。
- Enterで確定し、Center Allで配置を整える。
- オリジナル画像を非表示にし、新規外形のみを選択。
6. Hand Stitch Effectを適用(動画ではVariant 2)。




注意
- ここでは“ラフでスタイライズされた”外形でOK。過度な高精度よりも、最終の見え方を重視します。
クイックチェック
- 主体の輪郭を損なわずに外形が閉じている
- Hand Stitchの揺らぎが意図どおり
4.3 アップリケ化とレイヤー整理
- 外形を選択し、Appliqué > Convert to Appliqué。
- 生成された構成をBreak Apartで分解。
- 不要なSatin Stitchを削除。
- 不要なTack Downがあれば削除し、別のタックダウンを使うならリシーケンスで先頭へ。
- オフセット外形を作成:内側へ1/16インチ、角はRounded(動画準拠)。
6. 原形や不要オブジェクトを削除し、Stitch Playerで順序を確認(タックダウン→Photo Stitchの順)。




プロのコツ
- Stitch Playerの確認は必須。ミスはここで発見・修正を済ませると、実縫いのやり直しを防げます。
チェックリスト(中間)
- アップリケ構成に不要なサテンが残っていない
- タックダウンが先、Reef Photo Stitchが後の順序
- オフセット外形が“内側1/16インチ・角丸”で作成済み
4.4 データ出力と縫製
1. アップリケ外形をSVGでエクスポート(“Selected objects only”)。カッティングマシン(例:ScanNCut)でアップリケ生地を裁断。

- 作品全体を刺繍機用フォーマット(動画ではPES)でエクスポート。
- 本体生地を枠入れし、タックダウンを縫う(必要なら2回)。
- カット済みアップリケ生地をタックダウン外形内に配置。
5. 上からReef Photo Stitchを縫う。

タックダウンの保持力を安定させたい場合、ミシン刺繍 マルチフーピングを視野に入れた手順設計や、保持力の高い枠・安定剤の選択が有効です。
クイックチェック
- SVGは必要要素のみエクスポートされている
- 枠入れが平行・平坦で、布たるみがない
- タックダウンの保持が十分(必要なら2回)
注意
- カッティング用と刺繍用でファイル形式が異なります(SVGとPES)。取り違えに注意してください。
などの画面イメージに近い表示・挙動になっているか、その都度Stitch Playerで検証をはさむのが安心です。
5 仕上がりチェック
良い仕上がり
- アップリケ生地の端が浮かず、Reef Photo Stitchの連続線が均一に走っている。
- 主体の輪郭や衣装の向きが読み取れる。
- タックダウンの縫い直し痕が表に目立たない。
気になるサイン
- 線が過密で段差や糸つりが見える(密度過多)。
- アップリケの端で糸が乱れる(外形や重なりの調整不十分)。
- 連続線が途中で途切れる(糸調子・針・糸の見直し)。
仕上げの見映えは、生地の選び方にも影響します。作品の表情を出したい場合、写真テーマに合う色・質感を選びましょう。枠の選択肢としてマグネット刺繍枠 brother 用を活用すれば、布ズレが起きにくく仕上がりが安定します。
6 完成と後処理
動画では、ScanNCutでカットしたアップリケをタックダウンで固定し、その上からReef Photo Stitchを重ねて“フラッパーダンサー”を完成させています。タックダウンは2回縫って保持力を上げています。最終的にフープ上で完成品が確認でき、写真変換ステッチの“密な流れ”が衣装の動きを際立たせる結果になっています。
作品の保存
- しわを避けるため、完全乾燥ののちフラットに保管。
- 次回の再現に向け、密度・長さ・明るさ調整のメモを残すと良いでしょう。
完成イメージの共有や展示を想定する場合は、光源の位置で線の陰影が変わる点に留意してください。制作の自由度を広げたい方は、マグネット刺繍枠 11x13のような大きめ枠でワンパスの表現領域を確保する方法もあります。
7 トラブルシューティングと回復手順
症状:タックダウンでアップリケがずれる
- 可能原因:固定不足/布がたわんでいる
- 対処:タックダウンを2回に増やす、仮止めスプレーを併用、枠入れを見直す
症状:連続線が過密で段差・糸切れが生じる
- 可能原因:密度過多、糸調子不適切
- 対処:密度を下げる、最小/最大長の再調整、糸調子・針番手の見直し(動画で具体数値は未提示)
症状:プレビューと実縫いの見えが違う
- 可能原因:布・安定剤・枠の固定力差
- 対処:固定力の高い枠へ切替(例:mighty hoop マグネット刺繍枠)、安定剤を変更、Stitch Playerの確認サイクルを短く回す
症状:ファイルがマシンやカッターで読み込めない
- 可能原因:形式の取り違え(SVG/PES)
- 対処:エクスポート時の対象と拡張子を再確認
クイックチェック(回復)
- Stitch Playerでタックダウン→Photo Stitchの順に再生されるか
- アップリケ外形のオフセットが内側1/16インチであるか
- 不要なサテンが残っていないか
注意
- Hatch内の非表示設定の戻し忘れに注意。要素が見えないと削除や出力対象を誤りがちです。
8 コメントから
- 他ソフトでも再現できる?
- クリエイターの返答では「ソフトに依存しない」とのこと。つまりReef Photo Stitchと同等の“写真を線化する手法”や、アップリケのレイヤー構築が可能なら、環境に応じてアプローチを組み替えられます。ワークフローの骨子(外形の用意→オフセット→タックダウン→上から連続ステッチ)は変わりません。
- 生地選びのコツは?
- コメントでは完成の調和が評価されています。コントラストが出すぎると線の立体感が粗く見えることがあるため、主題と競合しない色調・質感を選ぶと安定します。縫いの安定化にはマグネット刺繍枠や刺繍用 枠固定台の活用が有効です。
— 実制作の自由度をさらに広げたい場合、作品サイズに応じてbrother pr 680wのような多針機で糸替えストレスを減らす、あるいはマグネット刺繍枠 brother se1900 用など機種対応の枠を選び直すと、同じ手順でも工程効率が向上します。
