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1 プロジェクトの概要
今回のゴールは、一本だけデジタイズ済みの針オブジェクトを効率よく増やし、視覚的にバランスの取れた 3 本構成に仕上げることです。具体的には、コピー&ペースト、等比リサイズ(手動/自動 10% 減少)、整列と等間隔の一括適用、そして Sequence タブによる縫い順の調整までを行います。

1.1 何をいつやるか
・最初に複製で 2 本目、続けて 3 本目を作成。 ・配置の“当たり”を付けたら、全選択して整列+等間隔。 ・最後に縫い順を左→中→右など移動の少ない流れに最適化。 ・全要素を一度表示して、全体のまとまりをチェックします。
1.2 適用シーンと注意点
・同じ形状を複数並べるロゴやアイコン、装飾ラインに最適。 ・厳密な寸法指定がなければ、視覚的な“おさまり”を優先。 ・サイズ値そのものは動画で明示されていません(10% 自動縮小のみ登場)。必要に応じて目測で合わせます。

2 準備(前提・素材・環境)
前提条件は、Hatch Embroidery が起動済みで、背景と 1 本目の針がすでにデジタイズ済みであること。基本操作(選択、コピー&ペースト、ドラッグ、右クリックメニュー)に慣れているとスムーズです。

2.1 用意するもの
・Hatch Embroidery(バージョンは動画内で特定されていません) ・背景と一本目の針が入ったデザインファイル ・参考用のアートワーク(配置の目安に使います)
2.2 作業前の小さな整え
・デザインウィンドウのズームとガイド表示を使って位置決めしやすい画面に。 ・Sequence タブを表示して、縫い順の見通しを確保。
2.3 クイックチェック
・針オブジェクトが単独で選択できること。 ・右クリックのコンテキストメニューから整列/等間隔が呼び出せること。 ・取り消し(Undo)がすぐに使えること。
この段で、もし実機での縫製も見据えるなら、デザインの外側の余白やハンドリングも考えておくと安心です。例えば、厚物や筒物に刺しゅうする計画なら マグネット刺繍枠 を使う前提でデザインの端の逃げを確保しておくと、後工程がスムーズになります。
3 セットアップ(操作の下ごしらえ)
厳密な数値入力に頼らず、見た目の“並び”を素早く作るのが今回の肝です。

3.1 表示と選択の基本設定
・対象の針オブジェクトを一つ選択しておきます。 ・必要に応じて他の要素は一時的に非表示に。視認性が上がり、誤選択を防げます。
3.2 リサイズの方針を決める
・手動の等比リサイズ(Shift+コーナードラッグ)か、10% 自動縮小を使うかを決めます。動画では、手動後に 10% 自動縮小に切り替えることで、素早く目的のサイズに到達しています。
3.3 注意
・Shift を押さずにドラッグすると縦横比が崩れます。崩れたらすぐ Undo → Shift でやり直しましょう。
3.4 チェックリスト(セットアップ)
・対象オブジェクトの単独選択ができている ・Undo/Redo がすぐ使える ・10% 自動縮小ボタンの場所を把握している ・Sequence タブが見える位置にある
この段階でデザインの実用面も想像しておくと、後の縫い順最適化の判断が速くなります。例えば後でキャップへ縫う計画があるなら、保持力の高い snap hoop monster マグネット刺繍枠 を想定して、跳び移動の少ない縫い順を意識しておくと実機縫製が安定します。
4 手順(コピー・整列・等間隔・縫い順)
ここからは 1 ステップずつ、期待される見た目の“変化”とともに進めます。
4.1 針を複製する(Step 1)
1) 一本目の針を選択。 2) コピー → ペースト。 ・結果:複製は元の位置に重なって現れます。

・クイックチェック:重なりによる“濃い表示”で複製を確認。
複製を重ねて確認したら、実機への展開を想像して位置の選び方を整えます。後工程で厚手素材を縫う予定なら、保持と取り回しを考慮して 刺繍用 枠固定台 を使うレイアウトテストも有効です。
4.2 2 本目の手動リサイズと配置(Step 2)
1) 複製した 2 本目を右側へドラッグ。 2) Shift を押しながらコーナーをドラッグして等比で縮小。 ・狙い:縦横比の破綻を避け、視覚的バランスを崩さない。 ・結果:右側に、やや小さな 2 本目が配置される。

・クイックチェック:輪郭や角度が崩れていないかをズーム確認。
等比で縮めた 2 本目が収まってきたら、将来の刺しゅう面の制約も意識します。例えば横幅に上限がある機種や枠(例:janome mc400e 刺繍枠 を使う運用)を視野に、外側の余白を残すのも賢い判断です。
4.3 10% 自動縮小でサイズを素早く合わせる(Step 3)
1) 直前の手動リサイズを取り消し。 2) 10% 自動縮小ボタンを使用。 3) アートワークを目安に右側へドラッグして概ねの位置へ。


・狙い:微妙な“ちょうど良さ”を短手順で得る。 ・結果:所要クリックが減り、想定のサイズ帯に素早く到達。 ・クイックチェック:元の一本目との相対バランスが自然か。
ここで、後に縫製する素材の厚みや滑りを見越すなら、安定した保持が得られる brother マグネット刺繍枠 を使う前提で、デザイン外周に十分な余白を確保するのが無難です。
4.4 3 本目を作る(Step 4)
1) いずれかの針を選択。 2) コピー → ペースト。 3) 左側へドラッグで大まかに配置。

・結果:左・中・右の 3 本構成が見えてくる。 ・注意:この段階では“おおよそ”でよい。厳密な間隔合わせは次で行います。
素材や縫い方向によっては、物理的な保持手段の選択が仕上がりに影響します。筒物や立体物なら mighty hoop マグネット刺繍枠 のような保持方式を想定し、無理のない並びにしておくと後の糸切れや浮きのリスクを減らせます。
4.5 3 本をまとめて整列・等間隔に(Step 5)
1) 3 本すべてを選択。 2) 右クリック → コンテキストメニューから整列・等間隔ツール。 3) 垂直方向の整列+水平方向の均等配置を適用。


・狙い:見た目の“ばらつき”を一括で排除。 ・結果:高さが揃い、左右間隔が気持ちよく均等になる。 ・クイックチェック:外側の 2 本を基準に、中心が正しく中点に来ているか目視確認。
実際に縫う段になって幅の上限がある場合には、想定枠の内寸を踏まえて間隔の取り方を再考します。例えば幅広のモチーフを狙うなら マグネット刺繍枠 11x13 のようなサイズを想定し、等間隔設定の前に全体幅の見直しを入れるのが安全です。
4.6 縫い順を最適化する(Step 6)
1) Sequence タブを開く。 2) 各針オブジェクトを選択し、画面下の矢印で順序を上下に移動。 3) 左→中→右など、移動量の少ない流れに並び替え。

・狙い:不要な跳び移動や糸切りを削減し、縫製時間とリスクを低減。 ・結果:機械の動きが素直になり、仕上がりの乱れや糸残りも減りやすい。
将来的に 6 本針機などで運用する想定があるなら、跳び移動が少ない順序をより強く意識すると良いでしょう。例えば brother pr 680w のような多針機を意識して、色替えと移動を最小化する順序を設計しておくと、実機での効率が上がります。
4.7 全体を表示してバランス確認(Step 7)
1) 非表示にしていた背景やテキストを再表示。 2) 3 本の針と他要素の相性を俯瞰。

・クイックチェック:重なりの不自然さや、読みにくさがないか。 ・結果:全体のまとまりが良好なら、この段の目的は達成。
最後に成果のイメージを脳内で“縫い上がり”まで追いかけつつ、不要な要素がないかを確認します。完成イメージを意識した微調整は、次の工程の手戻りを減らします。

4.8 チェックリスト(手順の要点)
・複製は重なって現れるので、まずは位置出しから ・等比リサイズは Shift、より素早く整えるなら 10% 自動縮小 ・整列+等間隔は 3 本選択で一括 ・Sequence で“移動量の少ない順序”に並び替え
5 仕上がりチェック
狙いは“均質な 3 本の見え方”と“最小限の機械移動”。ここでは仕上がりの良否を見抜く観点を列挙します。
5.1 よい状態
・3 本の上端(または下端)が完全に揃っている ・左右の間隔が均等で、中央が正しく中点に位置 ・背景やテキストとの距離が読みやすさを損なわない ・Sequence 上で跳び移動が少なく、論理的な順序になっている
5.2 注意のサイン
・微妙な傾き差:整列前に手ドラッグのクセが残っている合図 ・左右間隔のズレ:等間隔を“垂直整列の後”に当てていない可能性 ・縫い順の不自然さ:左→右→中央などの順序だと移動が増加
5.3 プロのコツ
・等間隔の前に“基準線を一瞬で作る”イメージで、垂直整列を先に当てるとズレの温床を断てます。 ・Sequence 調整は“想定の物理的保持”をセットで考えると安全。筒物や厚物なら 刺繍ミシン 用 マグネット刺繍枠 を想定し、最短移動の順序を選びましょう。
6 完成イメージとその後
この段階で、背景・テキスト・3 本の針が調和して見えるのが理想です。順序最適化により機械の無駄な移動も抑えられ、糸切りや糸引きの痕跡が残りにくい設計ができています。
6.1 保存と引き継ぎ
・元データは“順序最適化済み”としてバージョン名に残す ・再利用に備えて、3 本セットをグループ化してパーツ化
6.2 次工程の準備
・次のデジタイズ工程(バナーなど)に進む前に、配置ガイドラインをテンプレ化 ・縫製工程に渡す場合は、刺しゅうフィールドの目安線と最終順序のスクリーンショットを添付
後工程で大判の面積を使う計画なら、取り付け性と安定性の両立のため マグネット刺繍枠 brother 用 のような選択肢も考慮すると、位置決めの再現性が高まります。
7 トラブルシューティング・リカバリー
症状 → 原因 → 対処 の順で、動画で触れられた操作を起点に整理します。
7.1 複製したのに見えない
・原因:複製が同位置に重なっていて判別しづらい ・対処:少しドラッグして“濃く見える”重なりを解消。オブジェクトリスト(Sequence)で存在を確認
7.2 リサイズで形が崩れた
・原因:Shift を押さずにコーナーをドラッグ ・対処:Undo → Shift を押して等比リサイズでやり直し
7.3 等間隔なのにバランスが悪い
・原因:垂直整列を先にかけていないため、基準線が揺れている ・対処:3 本選択 → 垂直整列 → 水平等間隔の順で再適用
7.4 縫い順が非効率(左→右→中央など)
・原因:ペースト順のままになっている ・対処:Sequence タブで“移動量の少ない順”に矢印で並び替え
7.5 全体のまとまりが弱い
・原因:針 3 本の間隔が背景・文字との“視覚的距離”に合っていない ・対処:一旦すべて表示し、俯瞰で距離感を見直す(必要なら 10% 自動縮小で全体幅を微調整)
なお、実機での刺しゅうを見据える場合は、対象素材や枠種の制約も要因になります。強いテンションを要する素材なら マグネット刺繍枠 babylock 用 や保持方法の調整を伴うと安定しますし、縫域が限られる場合は マグネット刺繍枠 brother se1900 用 のような枠サイズを想定した全体幅の見直しが実効的です。
プロセス全体を通じて重要なのは、“まとめて整える”タイミングを見誤らないこと。位置の当たり付け→整列・等間隔→縫い順の順に、段階を区切って仕上げていけば、短時間でもレイアウトが美しく整い、そのまま実機でも効率的な縫製に接続できます。用途に応じて、例えば帽子や厚手アイテムなら マグネット刺繍枠 tajima 刺繍ミシン 用 を想定して、移動の少ない順序と余白設計を意識するのが成功の近道です。
