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3Dパフ刺繍とは?なぜ使うのか
3Dパフ刺繍は、発泡フォームの上から刺繍を重ねることで、ロゴやモチーフに立体感を与える方法です。平面刺繍と並べると“見栄えの差”は一目瞭然。提案価格にも反映しやすく、コストに対する効果が高いのが魅力。実演では、通常の平面刺繍の帽子と、3Dパフの帽子を並べて比較しています。

プロのコツ
- 3D部分は幅広のサテン系ステッチが映えます。デザインは最初から3Dパフ向けにデジタイズされたものを使用しましょう(後述)。
注意
- フォームは安価で入手しやすい反面、色選択を誤ると縫い目の隙間から“にじみ”が見えることがあります。後処理で隠せることもありますが、最初から色を合わせるのがベストです。
3Dパフ刺繍の必須材料
必要なものはシンプル。フォーム(発泡素材)、ハサミ、テープ、そして仕上げのクリーンアップに使うスニップ(先細の小鋏)や熱源(ヒートガン/ライター)です。フォームは手芸店や量販店で手に入る一般的なものでもOK。

フォーム色を選ぶコツ - 3Dで盛り上がるパートの糸色に、フォーム色を“できる限り”合わせます。動画では意図的に別色(オレンジフォーム×赤糸)で縫い、色にじみが出ることを実演。色が合わない場合は後述の熱処理とスニップで目立たなくできます。

クイックチェック
- フォームの大きさは、デザインを十分に覆える“少し大きめ”が◎。大きめに切ればテープで安定させやすく、針がテープに当たらない位置取りもしやすくなります。
コメントから
- 「手芸店のフォームでも大丈夫?」という質問には「違いはない。Walmartでも入手可」との回答がありました。
- 厚みは3mm推しの声が複数。仕上がりの主張を強めたい場合に有効です。
成功の鍵:機械設定とデザインのデジタイズ
3Dパフをきれいに仕上げる条件は大きく2つ。①デザインが3Dパフ専用にデジタイズされていること、②機械を“自動/手動併用(Automatic/Manual)モード”にすることです。

デジタイズが重要な理由
3Dパフ向けデザインは、縫う順序が明確です。下縫い→外枠→(ここで一旦停止)→フォーム設置→3D本縫い。この順序が崩れるとフォームを置くタイミングを逃したり、ステッチ密度や端部の押さえが甘くなってしまいます。さらに、開始時に“ステッチポイント”と呼ばれる点留めのような動作が入り、フォームを機械的にも保持します。
自動/手動併用モードに切り替える
縫製各ステージの区切りで機械が止まるよう、フルオートではなく自動/手動併用に。下縫いと外枠が終わったところで停止→フォームを貼る→再開、という運用ができます。

注意
- モード切替を忘れて連続で走らせると、フォームを置く前に本縫いへ進んでしまいます。設定は開始前に要確認。
コメントから
- 「EM-1010でも3Dパフできる?」という質問には、公式が「可能」と回答しています。機種にかかわらず、3D用に適切なデジタイズと工程管理がポイントです。
実践ステップ:3Dパフ刺繍を縫う
下縫いと外枠を先に縫う
スタートを押し、まずはフォームなしで下縫いと外枠を縫います。ここで機械は自動的に停止。フォームを置く準備が整います。

プロのコツ
- トレースで位置を確認してから開始すると安心です。糸色も先にセットしておきましょう。
フォームを正確に置いてテープで固定
縫い上がった外枠を覆うようにフォームを置き、縁をテープで固定します。テープは縫い経路にかからない位置に貼ること。フォームはやや大きめに切っておくと、テープの貼りしろが確保しやすく安定します。

クイックチェック
- フォームが3D化する領域全体を覆っているか
- テープでズレなく固定できているか
- テープ位置が針の軌道外にあるか
注意 - 針がテープに当たると糸切れや機械損傷の原因になります。

“ステッチポイント”から本縫いへ
再びスタート。最初に“ステッチポイント”が入り、フォームを抑え、その後3D本縫いが進みます。ここはフォームが動かないか、縫いが均一かを観察しましょう。

プロのコツ - 針番手は75/11の推奨コメントが複数あります。デザインや帽子の硬さによっては80/12に言及する回答もありますが、まずは75/11から試すのが無難でしょう。

仕上げとクリーンアップ
余分なフォームをやさしく除去
帽子を外し、外縁から余分なフォームを“テアウェイ(手でちぎる)”感覚で取り除きます。内側の小さな島状パーツも丁寧に。強く引くと刺繍や生地を傷めるので、ゆっくり進めます。

クイックチェック
- 露出フォームが残っていないか
- ステッチが切れていないか
プロのコツ - 取りにくい小片は、先の尖ったスニップやピンセットで押し込む/つまむのが有効です。
熱と工具で縁を整える
フォーム色が糸色と異なる場合、縫い目からの“にじみ”が目立つことがあります。ヒートガンまたはライターを“かざして”熱を加えるとフォームが縮み、はみ出しが目立たなくなります。火は直接当てないのが鉄則。焦げ跡防止のため、素早く往復させる程度にとどめましょう。
注意(安全)
- 炎を生地や刺繍に直接当てないこと。あくまで熱を“近づけるだけ”。
仕上げのひと手間 - スニップの先端で縁を軽く押し込み、最後に飛び出し糸をトリム。これでプロらしい輪郭に整います。
コメントから
- 「3mmフォームがベスト」との回答あり。厚みは見た目の好みやデザインの幅に応じて選べます。
- ヘアドライヤーは温度不足になりがちとの声。熱処理はライターやヒートガンが適しています(いずれも直火はNG)。
フォーム色が仕上がりに与える影響
動画ではあえてフォーム色を外して縫い、熱処理やスニップでの押し込みで目立ちを軽減する様子が示されました。とはいえ最初から色を合わせておけば、後処理は最小限で済みます。
まとめ:スキルを高めるために
3Dパフ刺繍の要点をおさらいしましょう。
- デザインは“3Dパフ用”にデジタイズ(下縫い→外枠→本縫い)。
- 機械は自動/手動併用モードで各ステージを区切る。
- フォームは少し大きめに切ってテープで固定、色は糸色に合わせる。
- 余分なフォームはテアウェイ→熱処理→スニップで微修正。
- 安全第一。熱は“かざす”だけで十分な効果があります。
コメントからの豆知識
- 1個の帽子はおおむね30分程度(デザインサイズ次第)。
- 2層以上のフォームでさらなるボリュームを狙う事例も(別動画参照の言及あり)。
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参考メモ(市場動向と道具の話)
- 本動画では扱っていませんが、近年は磁気タイプの刺繍枠やキャップ用フレームも多数流通しています。以下は読者の環境調整や情報収集の“検索キーワード”例です(製品採用は各自の判断で、必ず機種適合を確認してください)。
- ricoma 刺繍枠:Ricoma環境向けの枠や治具の総称的検索に。
- mighty hoops for ricoma em 1010:磁気タイプの代表例を調べる際の語句。
- brother 磁気 刺繍枠:Brother系で磁気枠情報を探すときに有用。
- babylock 刺繍枠:Baby Lock系のフレーム互換性を調べる入口語句。
- bernina 磁気 刺繍枠:Berninaで磁気枠の適合を確認したいとき。
- tajima 刺繍枠:産業機向けのフレームやキャップドライバ関連の情報探索に。
- mighty hoop tajima:Tajima向け磁気枠の具体名での調査語句。
- husqvarna 刺繍枠:Husqvarna環境の枠構成を横断チェック。
補足:上記キーワードは“検索窓に入れる語句の例”であり、本記事の動画での実使用・推奨を意味しません。導入は必ずメーカー推奨と機種適合を確認のうえで判断してください。
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よくある質問(動画・コメント要約)
- Q. 針番手は?
A. 75/11推奨の回答が複数。状況により80/12に言及するケースもあり。
- Q. テンションは触る?
A. 基本は不要。結果が悪い場合のみ“わずかに緩める”選択肢。
- Q. フォームはどこで買える?
A. 一般手芸店や量販店で可。専用品に限定されない旨の回答あり。
- Q. 厚みは?
A. 3mmがベストという声が多い。デザイン幅に応じて選択。
- Q. EM-1010でも可能?
A. 可能との公式回答。
最後に 立体を制する最大のコツは“段取り”です。デジタイズ→モード設定→フォーム固定→仕上げの熱処理。この4点を押さえれば、あなたの帽子はたちまち“売れる見た目”に。次は色違い・サイズ違いでテストし、最適解を記録していきましょう。
