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精度の土台を作る:Butterfly 刺繍ミシン用スタンドの組み立て
業務用刺繍機のスタンド組み立ては、単なる家具の組み立てではありません。これは、あなたの現場全体を支える防振の土台を作る作業です。スタンドがきちんとスクエア(直角)でガタつきがない状態だと、文字刺繍の輪郭が締まり、位置合わせも安定します。逆に、わずかな揺れでも縫いに影響が出て、糸切れ・目飛び・輪郭の「モヤつき」につながります。
焦って進めると、後で必ずツケが回ります。ここは最初の品質管理だと思って、落ち着いて進めてください。
このガイドでは、動画の手順をベースに、現場で失敗しにくい形に再編集しました。主な構成は2つです:テーブルトップ運用(レベリングフット使用)と、キャスター付きスタンドへボルト固定する運用。あなたの作業動線に合う方を選べるように整理します。

いま作っているもの(なぜ重要か)
あなたが組み立てているのは、Butterfly 刺繍ミシンの重量と振動を床へ受け渡す「接点」です。木製の拡張テーブル(作業面)を取り付け、木材に穴を開け(やり直しが効きにくい工程)、最後に本体を載せて固定します。
合言葉は「二度測って、一度穴を開ける」。組み上がったとき、単にスタンドが完成するだけでなく、業務運用の速度に耐える作業台になります。
注意:安全(重量物)
この作業は金属フレームと重量機器を扱います。
* 挟み込み注意: 金具の合わせ面は指を挟みやすい箇所があります。
* 持ち上げ: 本体を一人で持ち上げないでください。 重心が高く、取り回しが難しいため危険です。
* 穴あけ: テーブル裏面に穴あけします。木粉が落ちるので保護メガネを推奨します。
必要工具と「あると助かる消耗品」
動画で必要最低限の工具は揃いますが、現場では“段取り道具”が作業の安定に効きます。箱を開ける前に、手元にまとめて置いてください。
主要工具(必須)
- 電動ドリル: 低速でトルクをかけられるもの(高速で無理に回さない)。
- ドリルビット: 付属の木ネジよりわずかに細い径(ネジ山ではなく、芯の太さに合わせる)。
- マスキングテープ: 目印として“深さストッパー”に使います(動画でも使用)。
- プラスドライバー(手回し): 最後の締め込みは手の感覚が重要です。
- 10mm T型六角レンチ: 本体固定用のメインボルト締結に使用します。
段取り用(あると楽)
- ライト(ヘッドライト/懐中電灯): 本体下のねじ穴確認がしやすくなります。
- ウエス: 穴あけ後の木粉をすぐ拭き取り、作業面に残さないため。
- ペン: 位置確認や、穴位置の見落とし防止に。
事前チェックリスト(失敗ゼロの段取り)
ドリルを持つ前に、ここだけは確認してください。
- 部品確認: テーブル固定用の木ネジ(小)と、本体固定用の大きいボルト(4本)が揃っている。
- 作業スペース: スタンドを回転できるだけのスペースがある(壁や什器に当てない)。
- 床の状態: できるだけ平らな場所で組む(歪んだ床で組むとフレームにねじれが出やすい)。
- 人手: 本体の載せ替えは複数人で行う段取りを先に決める。
選択肢1:拡張テーブルの取り付け
ここは力任せではなく、丁寧さが勝ちます。動画の「上下反転で合わせる」方法は、金具と木材をきれいに面合わせするための定番手順です。

手順1 — 重力で“面”を出す(上下反転合わせ)
- 配置: 拡張テーブル板を床に裏返して置きます(表面保護のため段ボールなどを敷くと安心)。
- 合体: 金属フレームも裏返し、テーブル板の上にそっと載せます。
- 座り確認: フレームを軽く揺すって、木材にベタッと当たっているか確認します。ガタつく場合は、ゴミ噛みや金具の曲がりがないか見ます。

手順2 — 深さ管理つきの下穴あけ(テープ目印)
テーブル板の木割れは、初心者が最もやりがちな失敗です。下穴が浅すぎる/無い状態でネジを入れると、木材がくさびのように割れます。
- ビット選び: 木ネジにビットを当て、ネジ山ではなく芯の太さに近い径を選びます。
- テープ目印: ネジの長さを目安に、ビットにマスキングテープを巻きます。動画ではネジ長の約半分程度までを目安にしています。
- 穴あけ: 金具の穴位置に合わせて下穴を開けます。
- 止めどき: テープが金具に触れたら、そこで止めます。押し込まないでください。

補足(なぜ半分なのか): 裏面からの“見えない穴あけ”なので、貫通すると作業面が傷みます。半分程度の下穴にすることで、先端の逃げを作りつつ、木材の保持力も残せます。
注意: 目測で深さを決めないでください。近距離では深さ感覚が狂いやすいので、必ずテープ目印などで管理します。

手順3 — 最後は手回しで締める(なめ防止)
電動は“回す”のに便利ですが、締め過ぎのリスクがあります。
- 仮締め: 電動ドリルは低速で、ネジ頭がほぼ収まるところまで。
- 本締め: 仕上げは手回しのプラスドライバーに切り替えます。
- 締め止め: 抵抗が急に増えて「止まった」感触が出たらそこで止めます。それ以上は締め込まない(木が潰れて保持力が落ちます)。

選択肢2:レベリングフット取り付け(テーブルトップ運用)
キャスター付きスタンドに固定せず、作業台の上で使いたい場合や、床の不陸(わずかな傾き)が気になる場合は、レベリングフットで高さ調整する運用が選べます。

手順4 — 傾けてねじ込む(4か所)
- 傾ける: 複数人で本体を横に傾け、底面が見える状態を作ります。
- ねじ込み: 脚部の底にあるねじ穴を探し、レベリングフットを手でねじ込みます。
- ロックナット: 高さ調整用のナットは、いったん軽く当てる程度にしておきます(最終調整は後)。
チェックポイント: ねじ込みがザラつく/引っかかる場合は無理に回さず、一度戻してねじ山の状態を確認します。
選び方の目安:スタンド固定 vs レベリングフット
- ケースA:現場で移動させたい
- 選択: キャスター付きスタンドへボルト固定
- 理由: 清掃やレイアウト変更がしやすい。
- ケースB:床の傾きが気になる
- 選択: レベリングフット
- 理由: 4点で高さを追い込める。
重要工程:本体をスタンドへ載せる
ここが一番危険で、同時に一番ズレが出やすい工程です。

手順5 — 複数人で“真上→真下”に載せる
- 位置決め: スタンドを作業しやすい場所に置きます。
- 人員: 最低2人で本体を持ち上げます。
- 誘導役: もう1人が誘導し、ゴム足/防振部が正しい受け側に入るように見ながら指示します。
- 動作: 真上に持ち上げ、水平移動し、真下に下ろします。
感触の目安: きちんと座ると「ストン」と安定します。どこかが浮いている感触がある場合は、手を離さず四隅が正しく載っているか確認します。
固定の要:穴ズレを“無理なく”合わせる
金属フレームにはわずかな“しなり”があり、穴位置が1〜2mm合わないことは珍しくありません。ここで無理に締め込むと、ねじ山を傷めたり、フレームにねじれが残ります。

手順6 — 4本を先に掛けてから締める(位置合わせ手順)
- 差し込み: 四隅の固定ボルトを入れます。
- 先に手で回す: 各ボルトを手で数回転(動画では先に“軽く掛ける”流れ)させます。1本だけ先に工具で締めない。
- 穴が合わないとき:
- スタンド脚の横方向のボルト(フレーム側)を少し緩め、フレームに“遊び”を作ります。
- その状態で本体側ボルトの穴位置を合わせ、ボルトを通します。
- 本締め: 4本すべてが掛かったら、10mm の六角レンチで締め込みます。
- 戻し締め: 緩めたスタンド側のボルトは最後に必ず締め直します。
トラブルシュート(症状→原因→対処)
| 症状 | ありがちな原因 | まずやる対処 | 予防 |
|---|---|---|---|
| 木が割れそう/割れた | 下穴が浅い、または深く開けすぎて木が弱っている | いったん作業を止め、下穴の深さを見直す | ビットにテープで深さ目印(ネジ長の約半分) |
| 本体固定ボルトが入らない | フレームがわずかに突っ張って穴がズレている | 脚部の横ボルトを少し緩めて“ピッチ”を作り、穴を合わせる | 4本とも手で掛けてから本締め |
| 木ネジをなめた(締まらない) | 電動で締め過ぎ | いったん外して状態確認(無理に回し続けない) | 仕上げは手回しで締め止め感を確認 |
完成状態の確認

正しく組めていると、本体とスタンドが一体になったように安定します。
通電前チェック(Go / No-Go)
- テーブル固定: 金具と木材が密着し、隙間がない。
- 本体の座り: 四隅がきちんと載っている(浮きがない)。
- ボルト締結: 4本の固定ボルトが確実に締まっている。
- フレーム剛性: スタンドを揺すっても、本体だけがグラつかない。
- 作業面: 工具・ネジの置き忘れがない。
次の改善:段取りのボトルネックは「枠張り」
スタンドが安定すると、次に効いてくるのは作業手順の安定です。業務では稼働率が正義で、振動要因を潰した次は、段取り時間を削る番になります。
量産(例:左胸ロゴを50枚)を想定するなら、衣類のセット方法も同時に見直してください。
1. 安定=速度を活かす前提
高回転で回せる土台を作っても、枠張りが遅いと全体が詰まります。そこで役立つのが 枠固定台 です。ブランドにこだわる場合でも、一般的な 刺繍用 枠固定台 という考え方でも、狙いは同じで「毎回同じ位置に、測らずに合わせる」ことです。
2. マグネット枠の注意点
従来の刺繍枠は生地を強く押さえるため、薄手素材では枠跡(枠焼け)が出やすいことがあります。段取り短縮の選択肢として magnetic embroidery hoop のようなマグネット方式も検討対象になります。
注意:マグネット枠の安全
マグネットは強い力で吸着します。
* 挟み込み: 合わせ面に指を入れない。
* 医療機器: ペースメーカー等を使用している場合は距離を取る。
3. 立ち上げの整理
もし今回の組み立てが 業務用 刺繍ミシン 販売 をきっかけにした設備導入なら、拡張は「摩擦を減らす」順番で進めると失敗しにくいです。
- レベル1: 安定したスタンド(いまここ)
- レベル2: 消耗材の最適化
- レベル3: 段取りの仕組み化(枠固定台、治具化)
この手順で組み上げれば、金属を組んだだけではなく、業務運用のための環境が整います。
最終まとめ
- 設置方式: キャスター付きスタンド固定/レベリングフット運用
- テーブル: 下穴+深さ管理、仕上げは手回し
- 本体載せ: 複数人で真上→真下、誘導役を置く
- 固定: 4本を先に掛けてから 10mm で本締め、必要ならフレーム側ボルトを緩めて合わせる
- 防振確認: 本体とスタンドが一体で動く
