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導入:スタビライザー改造のねらい
動画では、GMKのスクリューイン・スタビライザーを例に、不要な接触を減らしてノイズを抑える3工程を順に実演しています。ゴールは、スペースバーやエンターキーでもガタつかず、静かで品のいいサウンドに整えること。

プロセスはシンプルですが、「どこに何のグリスを」「どれくらい」塗るかで結果が大きく変わります。塗りすぎれば動きは重くなり、塗り不足ならラトルが残る。そこで各工程の狙いと適量の目安を、動画の証拠タイムスタンプとともに押さえていきます。
準備:道具と素材をそろえる
必要なものは、スタビライザー一式、ワイヤーカッター、ハサミ、布製の絆創膏(Band-Aid推奨)、誘電体グリス、テフロングリス、そして耳かき型のピックツール。作業面は白いデスクのように清潔でパーツが見分けやすい環境が理想です。

注意:バンデージ・モッドは必ず布製タイプを使用します(粘着と減衰の両立のため)。動画の前提ではGMKのスクリューイン・スタビを使っていますが、MXスタイルなら同様の考え方で応用可能です。
分解と識別:クリップ前の下ごしらえ
ハウジングからステムとワイヤーを外します。ひねって引き抜くシンプルな動作ですが、パーツが飛ばないようトレイ上で作業を。

ここでステム底面を観察。4本ある脚のうち2本の先端に“小さな足(fangs)”があり、底打ち時にPCBへ突出して当たりやすく、長期的なダメージやノイズの原因になります。この“足”が今回のクリップ対象です。

クリップ:PCBを守り、ノイズ源を断つ
ワイヤーカッターで、対象の2本だけを正確に切除します。削りすぎは禁物。切断面がバリになっていないか、その都度目視確認を。左右ともに同じ精度で仕上げると、後の可動が安定します。

プロのコツ:切る前に、切る脚と残す脚を一度ペンでマーキングしておくと取り違えを防げます。切断後は軽く触れて段つきがないか指先で確認。
潤滑の作法:プラ×プラ/金属×プラを塗り分ける
まずテフロングリス。ハウジング内面の接触面には“少量を均一に”。ステムの摺動部には“中程度”に。目的は摩擦低減とスムーズな復帰で、決して充填ではありません。

次にステム側面の接触面へもテフロングリスを中程度。薄く伸ばし、ムラや塊を作らないこと。過剰なグリスは動きを鈍らせ、ほこりを呼び込みます。

注意:テフロングリスはプラ×プラのみに使用。金属×プラの接点には後述の誘電体グリスを使います。ここを取り違えると、期待する減衰が得られません。
再組立:正しい向きと可動の確認
再組立の際は、ステムの「片面1つ穴=背面」「2つ穴=前面(ワイヤー側)」の向きを守ります。前後を間違えるとワイヤーが正しく入らず、摺動にも支障が出ます。収めたあと、バネのように軽く押してスムーズに動くか確認しましょう。

クイックチェック:ステムを上下に軽く動かし、引っかかりや異音がないか、視覚と聴覚で同時に確認。違和感があれば一度抜いて向きを見直します。
バンデージ・モッド:布絆創膏で減衰を足す
誘電体グリスの出番はここから。まずワイヤーに直接たっぷり目に乗せ、ステムの下側の穴へ差し込みながら接触面をコーティングします。90度の曲がりを少し超える範囲まで二度塗りし、スナップ感をもって所定位置へ収めます。余分なグリスはティッシュでオフ。

目的は、金属ワイヤーがステム内でガタついて発するラトルを減らすこと。接点にグリスが行き渡ることで、金属×プラの衝突音が穏やかになります。

仕上げに、外側へはみ出たグリスをやさしく拭き取り、見た目と清潔さを確保します。

ここまでの状態で一度サウンドを確認すると、無潤滑・無クリップとの差が明快です。ベースラインを耳に刻んでおくと、続くバンデージ・モッドの効果がより判別しやすくなります。

PCBの準備
布製絆創膏の丸い端部をハサミで落とし、スタビハウジングの接地幅に合わせた短冊状の矩形に整えます。長さは“スタビの座り面を埋める程度”が目安。広すぎても狭すぎても接地が不安定になります。

台紙をはがし、スタビが載る位置に気泡やシワが入らないよう密着させて貼ります。幅はハウジングの接地幅を確実にカバーできる寸法で。

グリスを薄くのせる
耳かき状のピックで誘電体グリスを取り、絆創膏表面が“色づく程度”に薄く均一に伸ばします。乗せすぎはベタつきの原因。あくまで繊維の間に含浸させ、上に溜めないのがポイントです。

注意:布製以外の絆創膏は、密着や減衰の面で狙いどおりに働かない場合があります。必ず布製を選びましょう。
実装とサウンドテスト:ビフォー/アフター
バンデージを施したPCBに、モッド済みのスタビを正しく位置決めして装着します。スナップ感と確かな座りを確認。ここまで済めば、いよいよ最終テストです。

比較は同じキー(とくにストロークが長いスペースバー)で行い、「無潤滑」「クリップ+潤滑」「クリップ+潤滑+バンデージ」の三段階を耳で聴き分けます。最終形では、ラトルが消え、底打ちの当たりも穏やかな音像に整うはずです。
プロのコツ
- 塗布量は「足りないより、余分を拭う」方が調整しやすい。迷ったら薄く始め、必要に応じて足し引き。
- 片側だけ鳴る場合は、ワイヤーの曲がり角に二度目の誘電体グリスを薄く追加。左右差が消えやすくなります。
- ルブの種類は使い分けが命。プラ×プラ=テフロン、金属×プラ=誘電体。この原則を外さない限り、機種が変わっても応用可能です。
クイックチェック
- ステムの“足”は2本だけを確実に除去したか?切りすぎていないか?
- ハウジング内のテフロングリスは薄く均一か?塊はないか?
- ワイヤーは90度超の範囲までコートされ、所定位置にスナップしているか?
- 絆創膏は座り面を完全に覆い、シワや浮きがないか?
- 余分なグリスはふき取り済みか?
トラブルシューティング
- 動きが重い/戻りが鈍い:テフロングリスの塗りすぎを疑い、ティッシュでごく薄く拭い、再チェック。
- ラトルが残る:ワイヤーの接点(曲げ角を含む)への誘電体グリスが不足している可能性。薄く追加してスナップを確認。
- 片側だけ音が出る:ワイヤーの左右で塗布量差、またはステム向きの誤り。いったん分解し、向きとコート範囲を見直す。
コメントから(要点)
本記事元のコメントスレッドには特筆すべきQ&Aは見当たりませんでした。疑問点があれば、上記のクイックチェックとトラブルシューティングを参照し、個別の症状に合わせて塗布量と接点を再確認してください。
補足メモ:検索でよく見かける用語(本記事はキーボードのスタビ改造に関する解説です。以下の語は刺繍分野の用語例であり、内容とは直接関係しません)
- 例1:babylock 磁気 刺繍枠(磁気フレーム関連の一般的な検索語)
- 例2:bernina 磁気 刺繍枠(ブランド別の磁気刺繍枠に関する検索語)
- 例3:brother 磁気 刺繍枠(磁気フレームのバリエーションを指すことがある検索語)
- 例4:snap hoop monster for brother(スナップ式フレームの呼称例)
- 例5:磁気 刺繍枠 for embroidery(用途を示す一般的な表現)
- 例6:tajima 磁気 刺繍枠(産業用刺繍機の周辺用語)
- 例7:mighty hoop 5.5(サイズ表記の一例)
注意:上記キーワードは本記事のモッド手順や推奨部材とは無関係です。あくまで検索例の紹介であり、キーボード用途での使用可否や互換性については本記事では扱いません。
