Janome Continental M17で厚手のキルトサンドを枠張りする方法(キルティングフープ+テンプレート手順)

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本ガイドでは、Janome Continental M17用キルティングフープで厚手のキルトサンド(トップ+キルト綿+裏布)を安定して枠張りする、動画どおりの手順を作業フローとして整理します。手で枠位置を探る「触感チェック」でラフにセンター出し→プレキシ(透明)テンプレートで正確に直角・平行を出す→位置を崩さずクリップで固定→縫い始め前の最終確認、という流れです。現場で起きやすい失敗(ブロックが斜め、固定中のズレ、テンションのムラ)を、チェックポイントとリカバリー手順で潰し込みながら進められるようにまとめました。

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目次

専用キルティングフープを使う理由

一般的な内枠/外枠タイプの刺繍枠で、キルトサンド(トップ+キルト綿+裏布)をそのまま枠張りしようとすると、厚みが邪魔をして噛み合わせが不安定になり、層がずれたり、狙ったブロックがわずかに回転したりしがちです。

動画では、Janome Continental M17向けの専用キルティングフープ(ASQ27系に近いアクセサリー)を使用しています。取り付け自体は通常の刺繍枠と同様ですが、構造は「一体フレーム」。厚手を無理に押し込むのではなく、(1) まずラフに置く → (2) テンプレートで正確に合わせる → (3) クリップでロックする、という順番で作業を分離できるのがポイントです。

Presenter holding the Janome quilting hoop frame
The quilting hoop is a large, single-piece frame designed for the M17.

厚手キルトの枠張りが難しい理由

キルトサンドは、キルト綿の“かさ(ロフト)”で押すと沈み、裏布はテーブル面との摩擦が大きくなりやすい、という性質があります。この組み合わせだと、通常の刺繍枠で一度はめ込んだ後に「1mmだけ動かす」といった微調整がほぼできません。結果として、やり直し(枠から外して最初から)が増えます。

一体フレームのメリット

一体フレームでは、内枠を押し込む作業がありません。キルトをフレーム上に“かぶせる”→テンプレートで視覚的に直角・平行を出す→クリップで固定、という流れになるため、「合わせる工程」と「固定する工程」を分けて考えられます。厚物ほど、この分離が効きます。

枠跡(枠焼け)を抑える考え方

内枠/外枠タイプは、リング同士の圧縮と摩擦で固定するため、素材によっては枠跡が出やすくなります。キルトは比較的許容度が高いものの、ロフトの高いキルト綿を強く潰すと、繊維が寝て戻りにくくなることがあります。一体フレーム+クリップ固定は、強い面圧で押し潰す領域を小さくしやすいのが利点です。

この「強く押し込む」ではなく「上からクランプする」発想は、他の現場でも役立ちます。たとえば、厚手バッグや衣類刺繍で作業負担を下げたい場合、マグネット刺繍枠を検討する人が多いのは同じ理屈です。

注意
クリップをはめる際は指を挟まないようにしてください。固定力を出すためにテンションが強めです。また、フープ上にハサミやカッター等の刃物を置かないでください。フレーム縁に傷が入ると、トップや裏布を引っ掛ける原因になります。

Step 1: キルトサンドの位置出し(ラフ合わせ)

ここは「速く、だいたい合っていればOK」の工程です。最初から完璧を狙うと、手が止まりやすくなります。まずは“下準備としてのセンター出し”を作ります。

Placing quilt sandwich over the hoop frame
Draping the quilt sandwich over the hoop frame lying on the table.

キルトをかぶせる

  1. フープ(フレーム)を平らに置く(大きめのテーブルが理想)。
  2. キルトサンドをフレームにかぶせる(トップ・キルト綿・裏布をまとめて)。
  3. 手のひらで軽くならす(フレーム脚の下に生地が噛み込んでいないか確認)。

想定される状態: キルトはフレーム上に“ふわっと”乗っており、まだ動かせる余裕(たるみ)が残っています。

「触感チェック」でセンターを探る

動画では、厚みで枠が見えにくい前提で、手の感覚でフレームの縁を探しています。

Performing a feel test for hoop edges
Feeling through the fabric to locate the hoop edges for rough centering.

チェックポイント(感覚の目印):

  • 触感: キルト表面の上から、フレームの硬い縁(段差)が指先に当たるか。
  • 目視: その縁の間に、狙っているブロックがだいたい中央に来ているか。

よくあるつまずき: 作業台が狭く、キルトが台から垂れている状態で合わせようとすること。重みで引っ張られ、手を離した瞬間にセンターがずれます。できるだけキルトの重量をテーブル上で支えてください。

現場のコツ: この段階でドラムのようにピンと張らないこと。厚手は特に、無理に引っ張るとバイアス方向が先に伸び、枠から外した後に戻って「四角がひし形に見える」原因になります。まずは“フラットに寝かせる”が優先です。

Step 2: テンプレートで精密な位置合わせ

触感チェックで近づけたら、透明テンプレート(プレキシ板)が「だいたい」を「正確」に変えてくれます。動画では、テンプレートの左右表示(Left/Right)を確認するのが重要だと強調されています。

Placing the plexiglass insert onto the quilt
The plexiglass insert is placed on top to check alignment against a grid.

プレキシ(透明)テンプレートを置く

  1. テンプレートをキルトの上に置く(フレーム内のエリアに収める)。
  2. 向きを確認する: テンプレートの Left/Right 表示を見て、正しい面・向きで置けているか確認します。

想定される状態: グリッド(格子)がキルトのブロックやサッシングの上に重なって見え、平行・直角の基準が取れます。

グリッドとサッシング(縫い線)を平行に合わせる

動画では、テンプレートを置いた瞬間に「サッシングがグリッドと平行ではない」ことに気づき、すぐ修正しています。ここを見逃すと、仕上がりが斜めになります。

Checking alignment of quilt sashing with grid
Visually checking that the quilt sashing lines up with the template grid lines.

チェックポイント:

  • 目視: グリッドの縦横線が、ブロックの縫い線/サッシングと平行になっているか。
  • 確認の姿勢: 柄に惑わされやすいので、できるだけグリッドを基準に判断します。

「シミー(ずらし)」で微調整する

重いキルトを持ち上げて合わせ直すと、位置が飛びやすくなります。動画の核心は、持ち上げずに“滑らせて”合わせることです。

Shimmying the quilt for better alignment
Applying pressure to 'shimmy' the quilt into a square position under the template.

手順(動作優先):

  1. テンプレートに軽く体重を乗せる(手のひらで面圧をかける)。
  2. テンプレートごとキルトをわずかにずらす(グリッドと縫い線が一致するまで)。

想定される状態: ブロックがフレームに対して正確にスクエア(直角・平行)になり、縫い始めの基準が取れます。

補足(なぜ効くか): 上から押さえることで、トップ・キルト綿・裏布が局所的に一体化し、層間ズレを起こしにくい状態で全体を“まとめて”動かせます。

Step 3: クリップで固定(枠張りの決定打)

ここが一番ずれやすい工程です。合わせた位置を保ったまま、クリップでロックします。

無理なく圧をかけ続ける

動画では、テンプレートに圧をかけたまま手を移動させています。テンプレートから手を浮かせないのがコツです。

Leaning on the template to secure it
Keeping steady pressure on the template to prevent shifting before clipping.

チェックポイント:

  • 触感: 手のひらでフラットに、一定の圧がかかっているか。
  • 目視: 手を移動した瞬間に、グリッドと縫い線が「跳ねて」ずれていないか。
注意
作業姿勢(エルゴノミクス)。大きいテーブル越しに無理に手を伸ばすと、力が入りすぎて手元がぶれます。動画のように、体を寄せたり、手を“歩かせる”ように移動して、無理なく届く姿勢を作ってください。

リテンション(固定)クリップを取り付ける

動画では、片側を留めてから反対側へ移り、位置を保ったまま固定しています。

Clipping the quilt to the frame
Snapping the retaining clip onto the side of the hoop frame.
Moving hands to the opposite side while maintaining pressure
Transitioning to clamp the opposite side without losing alignment.
Securing the second clip
Attaching the second clip to secure the opposite edge of the quilt.
Presenter securing final clips
Finalizing the attachment of clips for a secure hold.

手順(ロックの順番):

  1. 圧を保持: 片手(または両手)でテンプレートを押さえ続けます。
  2. 手前側を留める: 手前のフレーム縁にクリップをはめ込みます(しっかりはまった感触があるまで)。
  3. 手を移動: 圧が抜けないように手を“歩かせて”反対側へ。
  4. 奥側を留める: 反対側も同様にクリップで固定します。
  5. (可能なら)フレーム仕様に応じて、残りの辺も追加クリップで固定し、中央のたわみを抑えます(動画では最小構成のデモ)。

想定される状態: キルトサンドがフレームにロックされ、外側を軽く引いても中央のブロック位置が動きません。

テンションを均一にする考え方

キルティングでは、目標は「ピンと張る」ではなく「フラットでニュートラル」です。構造物としてのキルトを、伸ばさずに支えるイメージで。

不具合の芽を潰す: クリップ後に斜めのシワ(引きつれ)が見えたら、クリップを留める際にどこかを引っ張った可能性があります。いったんクリップを外し、ならしてから留め直します。

アップグレード検討(作業量の目安):

  • この方法が向くケース: 1ブロック単位で狙い位置に正確に入れたいカスタム作業。テンプレート合わせの精度が強みです。
  • 別解を検討したいケース: 量産で着脱回数が多く、クリップ操作がボトルネックになる場合。用途によっては、マグネット刺繍枠のような“上からクランプして素早く固定する”方式が作業負担の軽減につながります。

刺繍(縫い)前の最終チェック

固定できたら、テンプレートは必ず外します。テンプレートを入れたまま縫うのは厳禁です。

Removing the plexiglass template
Lifting the plastic template away after the clips are secure.

テンプレートを外す

  1. プレキシ(透明)テンプレートを持ち上げて取り外す
  2. 枠内に異物がないか確認(糸くず等)。

想定される状態: フレーム内には固定されたキルトサンドだけが残り、ミシンに装着できる状態です。

張り具合の確認

動画では、最終的に“しっかり固定できている”ことを確認しています。

Displaying the hooped quilt
Lifting the entire assembly to show the securely hooped quilt sandwich.

チェックポイント(感覚):

  • 触感: 中央を軽く叩いて、支えがある(沈み込みすぎない)感触か。
  • 裏側確認: 可能なら裏側も見て、もたつきや巻き込みがないか確認します。

ミシンへの装着準備

動画では「通常の枠と同じように装着できる」と説明されています。厚手で重量が出るため、ミシン周りのスペース確保も意識してください。

Back of the hooped quilt
Showing how the quilt looks from the back or bottom side of the hoop.

判断の目安: キルトサンドの保持方法

  • ケース1: 厚手キルトサンド(トップ+キルト綿+裏布)
    • 目的: 特定ブロックに正確に入れる。
    • 最適: 動画の専用キルティングフープ。
    • 理由: クリップが厚みを許容し、テンプレートで直角・平行が出せる。
  • ケース2: 衣類・デリケート素材・厚手タオル等
    • 目的: 枠跡を抑えつつ、枠張りを楽にする。
    • 選択肢: マグネット式の刺繍枠。
    • 理由: 上からクランプするため、リング圧縮の負担を下げやすい。
  • ケース3: 高頻度の着脱がある作業
    • 目的: 位置再現性とスピード。
    • 選択肢: 枠固定台+マグネット枠など。
    • 理由: 位置決めを標準化しやすく、作業者の疲労を抑えやすい。

比較: クリップ方式 vs 一般的な刺繍枠

動画の締めの要点は、テンプレートが「固定前に正しさを確認できる基準」になることです。一般的な枠張りは、締め込むまでズレに気づきにくいのが難点です。

Comparison to magnetic hoops
Presenter explains the benefits of this system over large single magnets.

使いやすさ

  • テンプレート+クリップ: 確認してから固定(精度高め/スピード中)。
  • 内枠/外枠: 合わせる→押し込む→ズレる→やり直し(厚物ほど難度が上がる)。

重量物での安定性

キルトは重いので、外周の重みが中心部を引っ張ります。クリップ固定は、厚みを活かして機械的にロックしやすく、中心のズレを抑えやすいのが利点です。

補足(見落としがちな失敗要因): キルトの自重は常にズレ方向に働きます。大判キルトを小さなテーブルから垂らした状態で作業すると、どんな枠でも引っ張られます。椅子やアイロン台、テーブル拡張などで重量を支えてください。

ツールの位置づけ(作業性の改善)

キルトが趣味の範囲なら、クリップ方式はとても合理的です。一方で、作業量が増えたり、手指の負担が気になったりする場合は、段階的に道具を見直すと効率が上がります。

  1. 消耗品の見直し: 針や糸の状態が悪いと、厚物で針が逃げやすくなります。
  2. 枠の見直し: クリップ操作が負担なら、マグネット式など“押し込まない固定”を検討。
  3. 運用の見直し: 着脱回数が多いなら、枠固定台で位置決めを標準化する。

準備(開始前): 見落としがちな消耗品とチェック

成功はフープだけで決まりません。周辺条件を整えるほど、ズレとやり直しが減ります。

用意するもの(基本)

  • Janome用キルティングフープ(一体フレーム)。
  • 透明テンプレート(フープに対応するもの)。
  • クリップ(最低2、可能なら4)。
  • キルトサンド(トップ・キルト綿・裏布を組んだ状態)。

チェックリスト — 準備(事前点検)

  • テンプレートの向き: Left/Right 表示を確認できるか。
  • キルトの支持: キルトの重量をテーブル上で支えられるか。
  • 作業面: フレームを平らに置けるスペースがあるか。

セットアップ(再現性を上げる配置)

「手を伸ばす」より「体を寄せて押さえる」配置にすると、ズレが減ります。

実務的な習慣

  • クリップは先に手元へ置いておく(押さえたまま取れる位置)。
  • テンプレートは汚れを拭き、グリッドが見えやすい状態にする。
  • 大判キルトは、先にテーブル上へ“ためて”から合わせる。

キルトが滑って合わせにくい場合、ミシン刺繍 用 枠固定台のような治具を検討する、という考え方もあります(作業中の保持が安定しやすい)。

チェックリスト — セットアップ(クリップ前):

  • テンプレート向き: Left/Right は正しいか。
  • 平行確認: グリッドとサッシングは平行か。
  • たるみ: 周囲に動かせる余裕があるか。
  • 姿勢: 無理なく反対側まで手が届くか。

運用(枠張り→固定→縫い始め)

手順まとめ

  1. かぶせる+触感チェック: フレーム縁を触ってラフにセンター出し。
  2. テンプレート+シミー: 押さえて微調整し、グリッドに合わせる。
  3. 押さえたまま固定: 手前→反対側の順でクリップ。
  4. テンプレートを外して装着: クリアになったらミシンへ。

チェックリスト — 運用(スタート前):

  • テンプレートは外したか(最重要)。
  • クリップは確実に掛かっているか(軽く揺すって確認)。
  • キルトの逃げ場: ミシン周りでキルトが引っ掛からないか。

トラブルシューティング(症状 → 原因 → 対処)

症状 主な原因 すぐできる対処 予防
縫い上がりが斜め クリップ固定中にズレた。 位置を取り直す(必要ならほどく)。 テンプレートを押さえたまま固定し、シミーで合わせてからロック。
片側だけ緩い/沈む クリップの掛かりが不均一。 クリップを外して再度スクエアにして留め直す。 反対側を先に留めるなど、対向でテンションを作る。
シワが入る 固定時にどこかを引っ張った。 クリップを開けてならし、留め直す。 ラフ合わせ段階で張らず、フラット優先。
針がすぐ折れる フレームやテンプレートに干渉。 針交換後、干渉物がないか再確認。 テンプレートを外したかを最終確認し、枠位置も再チェック。
クリップが指に負担 テンションが強く、指先で操作している。 指先ではなく手のひら側で押し込む。 作業負担が続くなら、マグネット式の枠なども検討。

仕上がり(得られる結果)

動画の手順どおりに進めると、厚手キルトの枠張りが「力技」ではなく、再現性のある作業になります。流れは かぶせる → シミーで合わせる → クリップで固定。一体フレームでキルト綿を過度に潰しにくく、透明テンプレートで直角・平行を“固定前に”確認できるため、狙ったブロックに安定して入れやすくなります。