Table of Contents
1 プロジェクトの概要
1.1 何を作るか:ドラゴンフライのIn-the-Hoopブロック
対象は「Dragonfly 12A」ブロック。背景生地の固定、月形のアップリケ配置・縫い止め・トリミング、次のドラゴンフライ輪郭の縫いに入るまでを扱います。最終ブロックは後工程で約10.5インチ角にトリムされます(動画では10.5インチと発言)。

1.2 いつ・どんな時にこの方法が有効か
キルトに温かさやふくらみを持たせたい時、スタビライザーの代わりにワッディング(バッティング)をフープして使うと合理的です。背景固定とアップリケのタックダウンを、シーケンスごとに確実に進められます。なお他機種で実施する場合、フープサイズ確認の前後で 刺繍ミシン 用 マグネット刺繍枠 を活用して均一なテンションを確保すると配置が安定します。
1.3 このガイドのゴールと制約
・PDF記載のDragonfly 12Aを想定。動画上の発言に沿い、インチ寸法を主とします(cm表記は文脈的にmmの意図と推定されますがここでは推定せず、インチを基準にします)。

・ミシンはJanome Memory Craft 500Eが使用されていますが、機種依存の設定値は示されていません。ステップ停止はデザインのステップ分割に依存します。

2 準備するもの
2.1 素材・道具・ファイル
・生地:表地は100%コットン(フローラル)。ブロック全体に共通して使うメイン生地に加え、アクセント用(ブルー、パープルなど)を用意します。

・ワッディング:バンブー系。前面用は表地と同寸、背面用は小さめで用意(後述)。

・糸:表とボビンを同色系で。少なくともボビンを3個以上用意(動画の実演者は同色でアウトラインを統一)。

・PDF:Dragonfly 12Aの手順書。印刷して手元で参照できるようにします。

・デザインデータ:12Aをミシン対応メディア(例:USB)に転送。

・道具:はさみ(よく切れるもの)、プリンター、カッティングエリア(マットや作業台)など。

プロのコツ:アップリケ前提の工程では、フープ上の面がすっきり保てる配置が効率的です。作業の繰り返し精度を上げるなら 刺繍用 枠固定台 を用い、フープの固定と目線高さの一定化を図ると良いでしょう。
2.2 カット寸法(動画で示された初期サイズ)
・表地:13インチ四方(約330mm) ・前面用ワッディング:13インチ四方(表地と同寸) ・背面用ワッディング:12インチ四方(約300mm) ・背面用生地:12インチ四方(約300mm) 最終トリムは約10.5インチ角。作業中は余裕寸法の恩恵で縫いの安定が高まります。
注意:動画ではリバーシブル化のために背面の生地・ワッディング構成を紹介していますが、まずは表側の工程に集中すれば十分です。後述の「完成イメージ」で選択肢を示します。

2.3 事前チェック
・デザインが自機のフープに入るか、ソフトで確認。 ・アウトライン用の上糸とボビン糸の色・本数(3個以上)を確認。 ・カット寸法が揃っているか点検。
クイックチェック:PDFの指示とミシンのシーケンス番号(ステッチ#1、#2…)が対応しているか、開始前に対応関係を把握しておくと迷いません。ここで マグネット刺繍枠 を使っておくと、途中で外しても再装着の位置が安定しやすく、再開時のズレを抑えられます。
チェックリスト(準備段階)
- PDFを印刷し、Dragonfly 12Aの全ステップを把握した
- デザインをUSB等へ転送した
- 表地13"角、前面用ワッディング13"角、背面用ワッディング12"角、背面用生地12"角が用意できた
- ボビンを同色で3個以上巻いた
- はさみ等の道具を手元に置いた
3 セットアップ:ワッディングをフープする
3.1 なぜスタビライザーではなくワッディングか
動画ではスタビライザーの代替としてワッディングを直接フープしています。目的はキルトとしての温かさと厚みを兼ねるためで、後工程でのふっくら感が増します。繊維方向が安定し、フープ内でしっかり張れれば、背景固定~アップリケの縫いも素直に進行します。
3.2 フープの実際:センター取りと面の張り
1)ワッディングを二つ折り、さらに二つ折りにして中心を見つけます。 2)フープにセットする際は“フワフワ面(起毛側)”を上に向けます。 3)たわみや歪みが残らないよう、テンションを均一にして固定します。

プロのコツ:実機がJanome Memory Craft 500Eであれば、アクセサリとしての janome 500e 用 マグネット刺繍枠 を使うと、厚みのあるバンブー・ワッディングでも圧痕を抑えた装着がしやすくなります(本稿では機種固有設定は扱っていません)。
3.3 よくあるミスと回避
・別体スタビライザーを誤ってフープ:今回はワッディングをスタビライザーとして用いる工程です。混用は避けます。 ・テンション不足:縫い中のヨレやトンネル状の縫い目の原因。再フープして張りを取り戻しましょう。
チェックリスト(セットアップ)
- ワッディング中心がフープ中心と合った
- 起毛面(フワフワ面)が上になっている
- 全周に均一な張りが出ている
4 手順:背景固定と月形アップリケ
4.1 ステップ1:背景生地を固定し、月形のガイドを縫う
1)フープ済みワッディングに、13インチ角の表地をシワなく重ねます。 2)フープをミシンに装着。 3)ステッチ#1を開始。背景生地のタックダウンと月形(ムーン)アップリケの輪郭ガイドが同時に縫われます(PDFの文言より実挙動が先行・集約される点に注意)。

クイックチェック:ステッチ#1後、背景の外周固定と月形の輪郭ライントレースが明確に見えていること。もし生地が動きやすい場合は、作業環境に応じて微量の一時接着や指先の抑えで補助できます(動画内で明示はありません)。ここで hoopmaster 枠固定台 を併用すると、着脱再装着時の角度ズレが起きにくくなります。
4.2 ステップ2:月形アップリケの配置とタックダウン
1)アクセント生地(動画ではブルー)を、月形ガイドを十分に覆うサイズで“浮かせて”置きます。 2)ステッチ#2を開始。ガイドに沿ってアップリケがタックダウンされます。

3)フープを外します(デザインは保持)。
注意:置く生地はガイドを1インチ程度超える余裕を意識。縫い止め後ににじり落ちるリスクを抑えます。
4.3 ステップ2のトリミング:45度・フープを回す
1)鋭いはさみを用意。刃先を約45度で生地面に当て、ステッチに“寄せて”切ります。 2)カーブに沿うときは“フープを回す・はさみは回さない”を徹底。 3)ステッチ自体や下の背景生地を切らないこと。仕上がりラインに毛羽や段差が残りにくくなります。

プロのコツ:動画でも強調された“フープを回す・はさみは回さない”は、細い円弧のエッジを均一に保つ最短ルートです。アップリケ境界に筋目が出にくく、後のサテン縫い(別工程)も滑らかに乗ります。補助具として mighty hoop マグネット刺繍枠 を使うと、厚みのあるアップリケでも保持が安定します。
4.4 ステップ3:ドラゴンフライ輪郭の縫い
アップリケをきれいにトリムできたら、フープを再装着してステッチ#3を実行。次工程で配置するドラゴンフライのアウトラインが縫われ、以降のピース位置が明確になります。
チェックリスト(手順の区切り)
- ステッチ#1後:背景固定と月形ガイドが明瞭
- ステッチ#2後:アップリケがズレなくタックダウン
- トリミング:45度を保ち、ステッチを傷めていない
- ステッチ#3:ドラゴンフライの輪郭がはっきり出た
5 仕上がりチェック
5.1 視覚・触感の基準
・背景生地の波打ち:なし(ワッディング上で面が均一) ・月形の縫い止め:連続したステッチラインで切り欠けがない ・トリミング境界:ほつれや糸切れなし、縫いに寄せて均等
クイックチェック:フープから外して光にかざすと、エッジに余分な影が出ません。影がギザつく場合は、アップリケの“切り残し”がある合図。
5.2 糸色とボビンの整合
動画では表と裏のアウトライン色を揃えるため、ボビンを同色で3個以上用意しています。裏面に縫い糸が透けない、統一感のある仕上がりになります。ここは他機種・他糸でも原則同じ考え方が有効です。
6 完成イメージと次の展開
6.1 この時点でのブロックの姿
・背景固定済み、月形アップリケをトリム済み ・ドラゴンフライの輪郭まで縫い完了 最終ブロックはのちに10.5インチ角へトリムします(この段階では未トリム)。
6.2 リバーシブル化の選択肢
動画では、裏面にステッチを透けさせないために、背面生地の間に“追加ワッディング”を入れる例も示しています。ただし、シンプルに仕上げたい場合はこの追加層を省いても問題なく工程は進みます。コメントでも「シンプルさ」を求める声があり、用途に応じて選択してください。
プロのコツ:裏面構成を変える場合は、背面の層が厚くなるほどフープ装着の圧力バランスがシビアになります。ワークフローの再現性を重視するなら マグネット刺繍枠 を併用し、層構成が変わってもフープ圧を均一に保つとズレが抑えられます。
7 トラブルシューティング・リカバリー
7.1 症状:背景がたわむ/波打つ
可能原因:ワッディングの張り不足/フープの偏り 対処:一度外して張り直し。中心合わせ→周囲のテンション均一化→再縫い。再開時はシーケンス番号を誤らないよう確認。
7.2 症状:アップリケがガイドを覆いきれない
可能原因:配置時の余裕不足 対処:ガイドより十分大きなピースへ交換。ステッチ#2をやり直す。置き直し前に、布端がガイド外側へ均一に出ているかを確認。
7.3 症状:トリミングでステッチを切ってしまった
可能原因:刃の角度・向きが不安定、はさみを回してしまった 対処:45度を守り、回すのはフープ側。必要なら低速で断続的に切り進める。練習は不要生地で。
7.4 症状:ステップ間の停止が起きない
可能原因:デザインのステップ分割設定に依存 対処:PDFとデータ内のシーケンス(色替え/ストップ)をソフトで確認。機種固有の強制停止は動画では言及なし。別機種の場合は仕様書を参照。
7.5 症状:サイズがフープに入らない
可能原因:ブロックサイズがフープ上限を超過 対処:ソフトでデザイン枠に載るか事前確認。別機種の5x7相当枠(例:brother 5x7 刺繍枠)などを使う場合、PDFの推奨サイズと一致するかを必ずチェック。
7.6 症状:再装着時にわずかに位置がズレる
可能原因:フープの再装着角度が再現できていない 対処:位置決め用のマーキングを活用し、装着角度を一定化。繰り返す作業では マグネット刺繍枠 や hoopmaster 枠固定台 のガイドを使って基準位置を固定化するのが有効。
8 コメントから
・デザインのステップ停止と対応フープサイズ:停止はデザインのステップ分割に依存。5x7フープで作れるかは動画では明示なし。PDFとソフトで事前確認を。(複数の感想・質問より要約) ・フローラル生地の名称:動画では100%コットンである旨と入手先が生地店である点のみが触れられ、製品名の言及はありません。 ・タイトル表記の順番:学習しやすいよう、パート番号の明記が望ましいという意見があり、本稿は「パート1」として整理しています。 ・バンブー・ワッディングの刺繍適性:使用感は良好との声。フワフワ面を上にしてフープし、面の均一さを優先しましょう。
コメント反映の要点:本稿では、シンプルに再現するため“追加ワッディングを挟むリバーシブル化”は選択式として分離し、まずは背景~月形アップリケ~ドラゴンフライ輪郭までを最短手順で確実に進める構成にしました。加えて別機種利用者に向け、フープ適合の事前確認と 刺繍枠 選択の注意を要点化しています。
素材・道具一式を俯瞰できる初期セットアップ。
PDF内のDragonfly 12Aの選択と参照方法。
同色ボビンを3個以上用意する理由の確認。
表裏の色統一で仕上がりの一体感を担保。
完成例のディテール。アウトラインは同色で統一。
表地と同寸で前面用ワッディングを準備。
バンブー・ワッディングの起毛面の確認。
ブロックの層構成(表地/中層ワッディング/背面)。
前面・背面の素材を重ねた構成イメージ。
繰り返し使うメインのフローラル生地。
ワッディングを実際にフープしていく様子。
ステッチ#1:背景固定と月形ガイドの同時縫い。
ステッチ#2:月形アップリケのタックダウン。
タックダウン直後。周囲にトリミング余白が見える。
45度の刃角で、フープを回しながら不要布を除去。
最後に:別機種や別枠を使う場合、たとえば マグネット刺繍枠 brother 用 や janome memory craft 500e 刺繍枠 といった機器側のアクセサリ事情は多様ですが、基本原理(面の張り、シーケンスの整合、45度トリミング)は普遍です。PDFと実作業の対応を意識し、確実に“次の一手”へと進んでください。
