枠内完結(ITH)プリーツマスク(5x7枠):現場で回せる手順書+互換性のつまずき解消

· EmbroideryHoop
本ガイドは、Dianeの枠内完結(ITH)プリーツマスク手順を「毎回同じ品質で回せる作業フロー」に組み直したものです。5x7刺繍枠に対応する刺繍機であれば機種を問わず再現できる前提で、表=コットン/裏=フランネルの3/4インチプリーツ準備、ティアアウェイ(tear-away)スタビライザー1枚の枠張り、配置縫い→仮止め→ジグザグ→サテン縁の順で進めます。角から1/4インチ内側に耳ゴムをテープ固定するコツ、安全なトリミング、仕上げ後の洗浄・乾燥による衛生手順までを明確化。さらにコメントで多かった「PES/VP3など形式は?」「Brotherで使える?」「4x4枠ではなぜ不可?」「両面ゴムとは?」「スタビが裂ける/押さえがプリーツに引っ掛かる」への対処もまとめています。

学習目的のコメントのみ。 このページは元の作者(制作者)の作品に対する学習メモ/解説です。権利はすべて原作者に帰属します。再アップロードや転載は禁止配布は行いません。

可能であれば、元動画を作者のチャンネルで視聴し、チャンネル登録で次のチュートリアルを応援してください。1クリックが、より分かりやすい手順解説・撮影品質の改善・実践テストの継続につながります。下の「登録」ボタンから支援できます。

著作権者の方で、修正・出典追記・一部削除などのご希望がある場合は、サイトのお問い合わせフォームよりご連絡ください。速やかに対応します。

目次

ITHプリーツマスク決定版:厚み・精度・作業フローを安定させる

「きれいに作れたはずなのに、次はプリーツがずれる」「スタビライザーが裂ける」「押さえが折り山を拾って暴れる」——ITH(枠内完結)でプリーツ物を回すと、だいたいここで止まります。

本記事は、コットン(表)+フランネル(裏)を刺繍前にプリーツ成形しておき、刺繍機側は「配置縫い→仮止め→トリム→ゴム固定→ジグザグ→サテン縁」で完結させる、業務でも通用する手順に整理したものです。

マシン刺繍は「手順」だけでなく「物理」です。紙の説明通りでも、あなたの機械・押さえ・糸・スタビの組み合わせで結果が変わります。そこで本ガイドでは、止めるべきタイミング、目視・触感のチェック、失敗しやすい箇所の安全マージンを追加しています。

最初の現実チェック: ファイル形式より先に「枠サイズ」です。このデザインは 5x7刺繍枠(130x180mm) 想定でデジタイズされています。4x4の刺繍範囲しかない機械では、PES/DST/VP3など形式以前に物理的に入りません

厚みのある素材を安定して回す 刺繍ミシン 用 枠入れ の要点を、今日ここで押さえます。

Finished pleated face mask held up to camera
The completed face mask featuring pleats and elastic loops, made entirely in the embroidery hoop.

材料と下準備:ここで8割決まる

刺繍は「準備8割・縫い2割」です。今回は、機械が求める安定性と、着用側が求める快適性の両方を満たします。

使用生地・スタビライザー

動画の手順に基づく基本スタックは以下です。

  • 表(見える側): コットン。表情が整い、プリーツが立ちやすい。
  • 裏(肌側): フランネル。生地に“コシ”が出て、形が潰れにくい。
  • スタビライザー: ティアアウェイ(tear-away)。着用部に余計な厚みを残さないため、今回は剥がせるタイプを使います(裂けやすい場合は後述の対策を参照)。
  • 耳ゴム: 1/4インチ幅のゴムを2本。
  • 固定: 画材用テープ/医療用テープなど。省略不可。押さえがプリーツを拾う事故を止めるための保険です。
Ironing pleats into red fabric
Using an iron to create crisp 3/4 inch pleats in the fabric before hooping.

プリーツは「感覚チェック」で品質が揃う

プリーツが甘い・不均一だと、最終の縁(サテン)が波打ち、針が布を押し広げて形が崩れます。ここはアイロンで“角”を作る工程です。

仕様(動画準拠):

  • 上端の基準: 上から 1インチ 下を目安に位置決め
  • プリーツ深さ: 3/4インチ を3本
  • 向き: 上方向へ向かって 折る

プレス手順(再現性重視):

  1. 重ねる: コットンを上、フランネルを下に重ね、1枚のブロックとして扱います。
  2. 測って折る: シームガイド等で3/4インチを揃え、アイロンでしっかり折り山を付けます。
  3. チェックポイント(目視): 端を見て、コットンとフランネルがズレていないか確認。ズレが大きい場合は、次工程で位置が狂いやすくなります。
  4. チェックポイント(触感): 爪で折り山をなぞり、シャープに立っているか確認。ふわっと戻る感触なら、もう一度しっかりプレスします。
5x7 embroidery hoop with tear-away stabilizer
A standard 5x7 inch embroidery hoop loaded with a single layer of tear-away stabilizer.

針と枠:厚み対策はここから

折り重なったプリーツを貫通するため、細い針だと逃げたり折れたりしやすくなります。

推奨(動画準拠):

  • 針: 90番(90/14相当)。プリーツの厚みを抜けるための現実的な選択です。
  • 刺繍枠: 5x7刺繍枠

注意:針のたわみ(ニードルディフレクション)
プリーツの厚みは針をわずかに押し曲げ、針板に当たって破損する原因になります。
* 安全ルール: 針の延長線上に顔を近づけない。
* 速度: 仮止めや縁縫いは、無理に高速で回さず低速寄りで管理します(動画でも速度を落として操作しています)。

枠で起きやすいボトルネック: この手順は「厚い生地を枠に入れる」のではなく、スタビライザーだけを枠張りして生地を上に置く(フロート)方式です。とはいえ、扱いが雑だと枠周りでズレやすいので、枠サイズは必ず5x7を確保してください。

brother 5x7 刺繍枠 を使う場合も、まずは「5x7が使える機械か」を確認し、無理な締め込みで枠を傷めないよう注意します。

Baby Lock Solaris embroidery machine and screen
The Baby Lock Solaris machine with the design loaded, ready to stitch.

刺繍工程:手順を分解して迷わない

ここからは「スタビだけ枠張り→生地は上に置いて固定」のフロート方式で進めます。厚み管理として最も安全です。

フェーズ1:配置縫い〜仮止め

1)スタビライザーを枠張り

  • 作業: ティアアウェイを1枚、5x7枠に枠張りします。
  • チェックポイント(触感): 指で弾いて“ピン”と張っているか確認。緩いと縁縫いで引っ張られて輪郭が崩れます。

2)配置縫い(位置合わせの地図)

  • 作業: データを読み込み、最初の「配置縫い」をスタビに打ちます。
  • 見え方: 四角いアウトラインが出ます。
Running placement stitch on stabilizer
The machine stitches a placement outline directly onto the stabilizer to guide fabric positioning.

3)プリーツブロックを置く

  • 作業: プリーツ済みの生地ブロックを、配置縫いの四角にかぶせてセンターを合わせます。
  • 重要: 配置線より外側に余裕を持ってかぶせます(縫い代が足りないと仮止めが外れやすくなります)。
Placing pleated fabric onto hoop
Aligning the pre-pleated fabric sandwich over the stitched placement box.

4)テープ固定(押さえの引っ掛かり防止)

  • 作業: 生地の上側と下側をテープで固定します。
  • 現場のコツ: 目的はズレ止めだけでなく、押さえが当たりやすい折り山を“なだらかに寝かせる”ことです。プリーツの段差をそのままにすると、押さえが折り山を拾いやすくなります。
Taping fabric to stabilizer
Securing the pleated fabric with tape to prevent the presser foot from catching the folds.

5)仮止め縫い(速度を落として)

  • 作業: ミシン速度を落とし、仮止め縫いを回します(動画でも速度を落として操作しています)。
  • チェックポイント(目視): 押さえがプリーツを“すくい上げる”動きが出たら、すぐ停止してテープで折り山を押さえ直します。
Machine tacking down the fabric
The machine runs a tack-down stitch to secure the fabric layers to the stabilizer.

フェーズ2:アップリケ式トリム

6)余分をカット

  • 作業: テープを外し、仮止め縫いの外側の余分な布をカットします。
  • 道具: アップリケはさみが作業しやすいです。
  • 注意: スタビまで切ると保持力が落ちます。刃先を入れすぎないよう、縫い線をガイドにして慎重に。
Trimming excess fabric from hoop
Using appliqué scissors to trim excess fabric close to the stitching line.

フェーズ3:耳ゴムの取り付け

7)ゴム位置決め

  • 作業: ゴムを2本用意し、輪になるようにU字にして端を内側へ入れます。
  • 位置: 上下の角に、端が角から1/4インチ内側に来るようテープで固定します。
  • チェックポイント: ゴムがねじれていないこと。輪の部分が縁縫いの針道に出ないよう、中心側へ寄せておきます。
Taping elastic to hoop corner
Taping the elastic loop ends about 1/4 inch inside the top and bottom corners.
Hoop with fabric and orange elastic taped
The prepared hoop with fabric trimmed and orange elastic loops taped accurately in place.

開始前チェックリスト(押さえ事故を防ぐ)

「スタート」を押す前に、最低限ここだけ確認します。

  1. [ ] 枠張り: スタビがしっかり張れている(5x7枠)。
  2. [ ] 針: 90番をセット。
  3. [ ] 下糸(ボビン糸): 目立ちにくい色(白/グレーなど)。
  4. [ ] 速度: 低速〜中速で管理。
  5. [ ] プリーツ: 折り山が立っていて、当たりやすい箇所はテープで寝かせた。
  6. [ ] ゴム: 針道から逃がしてテープ固定できている。
Zigzag stitch securing elastic
A zigzag stitch runs over the elastic and raw edges to secure them firmly.

仕上げと安全

最終のサテン縁は見た目を決めますが、同時にスタビへの負荷も最大になります。

最終縁縫い

8)ジグザグで固定

  • 作業: 次の工程(ジグザグ)で、ゴム端と生地端をしっかり押さえ込みます。
  • 補足: ジグザグ後、ゴム端が少し飛び出している場合はここでカットします。

9)サテン縁

  • 作業: 最終のサテン縁を回します。
  • 注意: 縁縫い中にスタビが裂ける・破れ線が進む場合は、スタビの強度が不足している可能性があります(コメントでも「ティアアウェイが裂けた」という声があります)。次回はスタビを見直す判断材料にしてください。
Trimming elastic ends
Trimming any small tails of elastic that protrude beyond the zigzag stitch.
Final satin stitch border running
The machine completes the project with a finished satin stitch border around the mask.

枠外しと後処理

10)取り外し

  • 作業: 枠から外し、ティアアウェイを破って除去します。
Removing mask from stabilizer
Popping the finished mask out of the hoop and tearing away the stabilizer backing.

衛生手順(動画の案内)

完成品は衛生処理を行います。

  • 洗い: お湯(高温)で洗濯。
  • 乾燥: 乾燥機の高温設定で 10〜15分
  • 保管: 1枚ずつサンドイッチ袋に入れる。

注意:配布・寄付時の衛生管理
寄付や配布を目的にする場合は、受け取り先のルールが最優先です。作業台の清掃など、できる範囲で衛生管理を徹底してください。


段取り:量産で効く「見えない消耗品」

1枚なら何とかなりますが、枚数が増えるほど段取りが効きます。準備が雑だと 刺繍用 枠固定台 周りがすぐ散らかり、ミスが増えます。

揃えておくと回る道具

  • 90番の針: 厚み対策として消耗前提で用意。
  • アップリケはさみ: 縫い線際を安全にトリムするため。
  • テープ: プリーツの引っ掛かり防止に必須。
  • リント対策: フランネルは毛羽が出やすいので、作業の合間に掃除を意識します。

バッチ処理チェックリスト(まとめて準備)

  1. [ ] 生地: コットン+フランネルをプリーツまで全数プレス。
  2. [ ] ゴム: 必要本数をあらかじめカット。
  3. [ ] スタビ: 枠サイズに事前カット。
  4. [ ] ミシン: 針交換・清掃など、止まりやすい要因を先に潰す。

運用:再現性のある回し方

趣味から作業量が増えると、1針ずつ見張るより「工程を一定化」した方が安定します。

作業リズム(目安):

  1. スタビを枠張り
  2. 配置縫い
  3. 生地を置いてテープ固定(最重要)
  4. 仮止め(低速)
  5. トリム
  6. ゴムをテープ固定
  7. ジグザグ→サテン縁

人の手が入る(テープ・トリム)工程が、実は一番ブレます。道具とチェックポイントで均一化してください。

もし brother 用 マグネット刺繍枠 のようなマグネット式を使える環境なら、固定の再現性を上げやすい場面があります(ただし磁力の取り扱いは後述の注意を守ってください)。

運用チェックリスト(簡易QA)

  1. [ ] テープ: 折り山が押さえに拾われない状態になっている。
  2. [ ] トリム: 仮止め線の近くまで安全にカットできている。
  3. [ ] ゴム: 両端がジグザグで確実に捕まっている。
  4. [ ] 縁: サテンが途切れず、最後までスタビが保持している。

トラブルシュート:症状→原因→対策

現場では「安い対策から」試すのが鉄則です。

症状 ありがちな原因 まずやる対策 予防
押さえがプリーツを拾う 折り山が立ちすぎ/固定不足 いったん停止し、折り山をテープで寝かせ直す 上下を必ずテープ固定し、低速で仮止め
針が折れる 厚みで針がたわむ 90番にする(動画推奨) 速度を落として様子を見る
ティアアウェイが裂ける スタビの強度不足/負荷が集中 ロールを変える(コメントでもロール変更の例あり) 枠張りを強めにし、縁縫いで無理をしない
ゴムが縫い込めていない 位置が外側/テープ固定が甘い ゴム端を角から1/4インチ内側に戻す 針道から輪を逃がして固定

判断フロー:互換性・枠サイズ・素材

1. 5x7枠が使える?

  • はい: 進めます。
  • いいえ(4x4のみ): このデザインは不可。コメントでも「4x4では小さすぎる」と明言されています。

2. ファイル形式は?(PES/VP3など)

  • 形式そのものより、まず枠サイズが前提です。コメントではBrother(PES)でも「使える」と回答があります。

3. “double sided elastic”って何?

  • コメントでは「Fold over elastic と同じ」とされています。入手できる材料に合わせて検討してください。

ツールのアップグレード(厚みのストレスを減らす)

この手のプロジェクトで詰まる原因は、技術不足より「厚みを扱う道具の不足」であることが多いです。

  • つまずき: 固定が甘くてズレる/押さえが拾う/作業が遅くなる
  • 対策の方向性: 固定の再現性を上げる

機種によっては baby lock マグネット刺繍枠brother pe800 用 マグネット刺繍枠 のような選択肢を検討する人もいます(対応可否はお使いの機械・枠サイズ前提で判断してください)。

注意:マグネットの取り扱い
マグネットは強力です。
* 挟み込み注意: 指を挟まないよう、端に手を置かない。
* 医療機器: ペースメーカー等がある場合は近づけない。


仕上がりの基準

この手順で、厚みは「テープ固定+低速+90番針」で制御し、位置は「配置縫い+フロート」で揃え、ゴムは「角から1/4インチ内側」で確実に捕まえます。

あとは同じチェックポイントを毎回踏むだけで、寄付・配布用途でも迷いにくい、安定したITHプリーツマスクが作れます。