JUKIコンピューターミシン徹底メンテナンス:ボビン周りの清掃と注油で静かに滑らかに縫う

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JUKIコンピューターミシン徹底メンテナンス:ボビン周りの清掃と注油で静かに滑らかに縫う
糸調子の不調や「カタカタ音」の多くは、ボビン周りのほこり詰まりや乾きが原因です。本記事はJuki Junkiesの動画に基づき、JUKIのコンピューターミシン(例:HZL-F600、DXシリーズ)の清掃・注油をやさしく解説。針板の外し方、ボビンケースの点検、フックへの一滴注油、ニードルバーの潤滑まで、すべてを段階的にカバーします。安全に、そして確実に、静かでスムーズな縫い心地を取り戻しましょう。

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Table of Contents
  1. JUKIコンピューターミシンを理解する
  2. 清掃に必要なツール
  3. ボビンエリアの分解とクリーニング
  4. スムーズに縫うための注油ポイント
  5. ニードルバーとスレッダーのメンテナンス
  6. 再組み立てと仕上げチェック

動画を見る:How to Clean Your Juki Computerized Machine(Juki Junkies)

縫い目が乱れる、スタートで糸がもたつく、最近ちょっと音が大きい——そんなサインは「ボビン周りのほこり」と「乾き」の合図。JUKIコンピューターミシンの清掃と注油は、想像以上にシンプルです。正しい分解、確実なクリーニング、そして“一滴だけ”の注油で、静かで軽い縫い心地が戻ってきます。

この記事では、Juki Junkiesのわかりやすい実演に沿って、HZL-F600を例に、DX7/DX5/DX2000などのJUKIコンピューターミシンに共通するメンテナンスの勘所をお届けします。

Woman standing next to a Juki sewing machine with its top open, showcasing cleaning tools on the table.
A woman stands beside her Juki sewing machine, with the top open, showing a range of cleaning tools on the table, indicating preparation for maintenance.

■ この記事で学べること

  • 針板とボビンケースの安全な取り外し方
  • ボビンケースのクリーニングと損傷チェックの要点
  • フック周りへの“1滴”注油と、外周の「拭き塗り」潤滑
  • フィードドッグ・ニードルバー周辺の清掃ポイント
  • サイドカバーから見える機構のクリーニングと最小限の注油

JUKIコンピューターミシンを理解する

JUKIのコンピューターミシンは、フックが高速で回転し、針と糸を同期させて縫い目を作ります。そのため、ボビン周りに溜まる微細な繊維やワックス分、金属粉などが摩擦や絡みの原因になります。定期的な「吸い出し」と「面の整え」が、静音性と縫い品質のカギです。

プロのコツ:清掃後は必ず試し縫いを。少量のオイルが素材に移るのを避け、糸調子の変化も早期に把握できます。

清掃に必要なツール

クリーニングスワブとブラシの違い

微細な繊維や油分を“拾って”くれるのがスワブの強み。ブラシはフィードドッグの溝を「かき出す」用途には便利ですが、奥へ押し込みがち。最終的にはスワブやバキュームで回収しましょう。

Close-up of a green cleaning swab being held, highlighting its texture.
A person holds up a green cleaning swab, illustrating its texture and foam tip, which is ideal for picking up lint without pushing it further into the machine.

精密注油:Tri-Flowオイリングペン

細いノズルで一点に“1滴”を置けるのが最大の利点。必要以上に塗らないことが最重要です。

Close-up of the Tri-Flow oiling pen with a fine, extendable tip.
The Tri-Flow oiling pen is shown with its fine, extendable tip, crucial for reaching tight spots and applying oil precisely to machine mechanisms.

安全なほこり除去:バキューム一択

缶スプレーの「吹く」は厳禁。内部にほこりを押し込み、センサー類や電子部品へ悪影響を及ぼします。細口ノズルのバキュームで確実に“吸い出す”のが正解。

Person holding a thin vacuum attachment designed for sewing machine cleaning.
A person holds a slender vacuum attachment, designed specifically to reach into confined spaces of the sewing machine and extract dust and lint effectively.

注意:作業前に必ず電源を切り、コンセントを抜きます。小ネジは磁気トレー等で管理しましょう。

ボビンエリアの分解とクリーニング

針板とボビンケースの取り外し

押えを上げ、必要なら押え金を外します。針は最上位置に。T字ドライバーで針板の2本の短いネジを緩め、指で外します。カバーを外し、T字ドライバーで針板の端を持ち上げると取り外しがスムーズ。次にボビン→ボビンケースの順で外します。

Close-up of a hand lifting the presser foot of the sewing machine.
A hand lifts the presser foot of the sewing machine, the initial step to access the needle plate area for cleaning.

クイックチェック:針が上がっているか/ネジを紛失していないか。この2点確認でトラブルの大半を予防できます。

Close-up of two small T-screws removed from the needle plate.
Two small T-screws, essential for securing the needle plate, are shown after removal. The presenter advises safeguarding these tiny components to prevent loss.

ボビンケースの徹底清掃

スワブで内外をやさしく拭き、溝や角に付いた繊維・粉塵を回収します。裏面の角や段差も忘れずに。微細なザラつきは糸の引っかかりになり、糸調子の乱れにつながります。

A cleaning swab sweeping inside the bobbin case to remove lint.
A cleaning swab is used to sweep inside the bobbin case, effectively picking up accumulated lint and thread debris.

損傷の見極め(糸調子不良の元凶)

針が当たってできる点傷やバリ、上辺の欠けは致命傷。特に上部の糸が回るゾーンに段差があると、糸が擦れてテンションが暴れます。破損例と正常の差は一目瞭然。異音や縫いムラが続くなら、早めの交換が得策です。

Two bobbin cases, one visibly damaged with a missing top portion and scratches.
Two bobbin cases are displayed, one showing significant damage with a missing top portion and visible scratches. This damage indicates needle strikes, which can severely impact stitch quality and tension.

小さな“ブラシ状の部品”に触れない

針板下のフック近くにある、糸切りのための補助ブラシ。これは脱落させない・引き抜かないが鉄則。万一無くしても縫えますが、始動時の糸のモタつきが増えることがあります。

Close-up of the area under the needle plate, showing a small brush component.
The area under the needle plate is visible, highlighting a small, brush-like component that should not be touched. This brush is crucial for the thread cutter's function, preventing bunching at the start of a sew.

注意:ユーザーが交換できる部品ではありません。無理な分解は厳禁です。

スムーズに縫うための注油ポイント

フックへの“一滴”注油

フックユニットの所定箇所へ、Tri-Flowペンで1滴だけ。多すぎる油はほこりを呼び、逆効果。ハンドホイールを自分側に回して各角度をなぞるように、軽く行き渡らせましょう。

Applying a single drop of oil to the hook area with an oiling pen.
A single drop of oil is carefully applied to the hook area using the precision tip of the oiling pen. This minimal application ensures lubrication without over-oiling, which could attract more lint.

外周の「拭き塗り」潤滑

スワブにごく少量のオイルを含ませ、ボビンケースホルダーの外周を磨くように拭き塗り。乾きによる「カタカタ音」の軽減に有効で、垂れない・飛ばないのが利点です。

A cleaning swab gently applying oil to the bobbin case holder's outer ring.
An oiled cleaning swab is gently used to spread lubricant around the bobbin case holder's outer ring. This motion polishes and lubricates the area, preventing dryness and reducing clanking noises.

フィードドッグとニードル周辺の清掃

フィードドッグの溝は、送り不良やテンション不安定の温床。ブラシでかき出し、スワブで回収します。ニードル周辺に絡んだ繊維も忘れずに。

プロのコツ:清掃と注油の直後は、スクラップ布で試し縫い。オイル飛びや糸調子の乱れを事前に洗い出せます。

ニードルバーとスレッダーのメンテナンス

サイドカバーの外し方と清掃

プラスドライバーで背面のネジ、続けて糸通し機構付近のネジを外し、カバーを保持しながら丁寧に外します。カバー内側にもほこりは溜まりがち。スワブで拭き、必要に応じて軽く吸引します(グリス・配線・コネクタ類には触れない)。

Inside of the removed side cover of the machine, showing lint buildup and a fingerprint.
The inside of the machine's side cover reveals visible lint buildup and a fingerprint. This area is cleaned with a swab to remove any accumulated dust particles.

内部機構の見える化

ニードルを下げるとシャフトが見やすくなります。見える範囲の繊維を回収し、可動部以外は触れないこと。ここはあくまで“見える範囲の清掃”に留めます。

Close-up of the internal needle mechanism after the side cover is removed.
With the side cover removed, the internal needle mechanism is exposed, showing the needle shaft and surrounding parts. The needle is lowered to reveal more of the shaft for cleaning and lubrication.

ニードルバー/スレッダーへの最小限注油

スワブに2〜3滴を含ませ、ニードルバーのシャフトを軽く拭き潤滑。スレッダーの軸も乾いている・動きが渋い場合のみ、軽く拭き塗りします。いずれも「点ではなく薄膜」を意識して。

Oiled cleaning swab wiping the needle bar shaft to lubricate it.
An oiled cleaning swab is used to wipe down the needle bar shaft, applying a light coat of lubricant. This gentle polishing action helps ensure smooth movement of the needle during sewing.

注意:グリスが塗布された箇所や電子部品にオイルを付けない。作業後は必ず試し縫いを行います。

再組み立てと仕上げチェック

ボビンケースの復帰と針板の装着

フックの切り欠きが後ろ向き、黒い突起が金属のストッパーに合う位置で、ボビンケースを磁力で「コトン」と収めます。針板を戻し、2本のネジを手で合わせてからT字ドライバーで軽く本締め。ボビンを戻し、カバーを閉じます。

Bobbin case being magneted into its correct position inside the machine.
The bobbin case is gently placed and magnetically snaps into its correct position, with its opening facing the back and aligning with a metal stopper. Proper alignment is crucial for smooth thread operation.

サイドカバーの復帰

前側(糸通し機構側)のネジから装着すると位置決めが容易。次に背面のネジで固定し、隙間やガタがないか確認します。

Fully reassembled Juki computerized sewing machine ready for use.
The Juki computerized sewing machine is fully reassembled and appears ready for operation after the comprehensive cleaning and oiling process.

クイックチェック

  • 針板の面がフラットに収まっている
  • フィードドッグの溝がきれい
  • ボビンケースが正しい向きで確実に固定
  • 試し縫いで異音・糸飛び・糸絡みがない

注意(再掲)

  • 針板下の小さなブラシ状部品は抜かない
  • 缶スプレーは使用しない(吸い出す)
  • フックの注油は“1滴のみ”
  • サイドカバー内部のグリス・コネクタに触れない

コメントから(実体験の学び)

  • 「缶スプレーはNG?」——はい、圧縮空気は化学成分や吹き込みで逆効果。細口バキュームで吸いましょう。
  • 「年1のオーバーホールは必要?」——基本は年1推奨。ただし、針板・ボビン周りをこまめに清掃できるなら、状況により間隔を延ばせます。
  • 「小さな“フワフワ”を抜いてしまった」——糸切りのアシスト部品で、切断機構そのものではありません。周辺に糸くずが噛んでいないかを要確認。
  • 「打音(ノッキング)がする」——多くはボビンケースのバリや欠けが原因。交換も視野に。
  • 「キーボード用の小型バキュームが便利」——狭所の吸い取りに有効という声あり。ノズルが細いほど扱いやすい。

プロのコツ:針はプロジェクトごとに交換を。摩耗した針は糸の毛羽・発熱・打痕を生み、清掃頻度とトラブル率を上げます。

関連トピックのメモ

刺しゅう用途で厚布・多層を扱うなら、枠の保持力も仕上がりを左右します。他社機での作業でも、磁力でホールドする発想は共通。たとえば、磁気 刺繍枠のような選択肢は、生地固定を安定させ、清掃後の静かな送りと相乗効果が期待できます(本記事の範囲はJUKIの清掃手順です)。

また、ブランド別のアクセサリー動向を調べる際に、babylock 刺繍枠やbernina 磁気 刺繍枠、janome 磁気 刺繍枠、dime 磁気 刺繍枠といった用語で比較検討しておくと、素材や厚みに応じた固定方法の発想が広がります。清掃・注油でミシン本体を整え、固定具の最適化で縫製条件を整える——この二段構えが品質の底上げに効きます。

一方で、磁力系の固定具を多数運用するなら、保管時にミシン周りへ金属粉や小物を寄せない習慣づけも有効です。清掃後の内部へ異物を引き込まないよう、作業台面の整理をルーティン化しましょう。なお刺しゅうプラットフォームの話題で耳にするsnap hoop monstermighty hoop、brother embroidery 磁気 刺繍枠などの用語も、情報収集キーワードとして覚えておくと便利です。

仕上げのルーティン(チェックリスト)

  • 試し縫い(直線・ジグザグ各10cm)で音・目飛び・糸絡みの有無を確認
  • 上糸・下糸のテンションバランスを目視(表裏の点々で判断)
  • フィードドッグの送り具合を触感で確認(段差での食いつき)
  • 針板・ボビンカバーのネジ、サイドカバーのネジを再点検

最後に:頻度の目安

  • フック部の“一滴注油”:半年〜1年に一度(使用量で調整)
  • ニードルバーの軽い潤滑:年1回程度、乾きを感じるときに限定
  • ボビン周りの清掃:プロジェクト毎、もしくはボビン1〜3回転毎

このルーティンを守るだけで、縫い出しの安定と静音性が見違えるはず。清掃・注油は「大量にやる」ではなく「適切な場所に最小限」。この感覚を体で覚えれば、JUKIの持ち味である滑らかな送りと均一なステッチが、いつでもあなたの標準になります。

プロのコツ(総まとめ)

  • スワブは“拾う”、ブラシは“かき出す”。最後は必ず吸い出して回収。
  • フックは1滴、外周はスワブで“拭き塗り”。点ではなく薄膜。
  • ネジは手で仮締め→工具で軽く本締め。面合わせを優先。
  • すべての工程後に試し縫い。問題は布端で消す。

注意(総まとめ)

  • 電源OFF・プラグ抜き・缶スプレー禁止は絶対ルール。
  • 針板下の小ブラシは触れない。サイドカバー内部のグリス・配線も触れない。
  • 無理な分解や過剰注油はトラブルの元。

コメントから(ピックアップ)

  • 小型キーボード用バキュームが狭所清掃に役立つという声。
  • F600での打音はボビンケースのバリが原因だった例あり。ケース交換で解消。
  • DX-2000QVPなどの高度な調整は、プロの修理担当に任せるのが安心。
  • 定期点検は年1推奨。ただし日常清掃が行き届けば状況で延長も可。

今日の一歩は、たった10分の「吸い出し」と「1滴」から。静かに、まっすぐ、気持ちよく縫えるミシンに戻してあげましょう。