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完全ガイド:マグネット刺繍枠と「サンドイッチ枠張り」で安定した仕上がりへ
ネジ締め式の刺繍枠で「枠張り」に苦戦した経験がある方は多いはずです。締め付けが甘くてズレる、逆に締めすぎて手首が痛い、ネジ山を潰す……そして仕上がって枠を外したら、枠跡(枠焼け)がくっきり残ってしまう。
業務用刺繍では、枠張りが効率を左右する最大の変動要因になりがちです。感覚(手加減)に依存する工程ほど、品質もスピードもブレます。
本記事は、Megan の実演内容を「現場で再現できる手順書」に落とし込んだものです。マグネット刺繍枠の仕組み、服種別のサイズ選定、そしてスタビライザーを確実に固定する「サンドイッチ枠張り」を、チェックポイントと一緒に解説します。
マグネット刺繍枠とは?仕組みとメリット
マグネット刺繍枠は、布を「摩擦で押さえ込む」従来枠とは発想が違います。内枠・外枠を押し込んで繊維を引っ張るのではなく、上下方向のクランプ力(磁力)で挟み込む方式です。
基本は2ピース構造です。
- 内側(下側)フレーム: 機械に固定するためのブラケットが付く側
- 外側(上側)フレーム: 強力なマグネットで下側に吸着する側
動画では、布厚ごとにネジを毎回調整しなくてよい点が「作業のアップグレード」になると説明されています。手への負担が減るだけでなく、枠跡(枠焼け)の発生を抑えやすいことも大きな利点です。

サイズ感の前提として、動画内で紹介されている手持ちサイズは3種類で、成人用スウェットから幼児サイズまで使い分けています。

注意(安全): マグネットは非常に強力です。枠同士を大きく離した状態から、勢いよく「バチン」と合わせないでください。必ず指を噛まない位置を確保し、閉じる縁(エッジ)に指を近づけないこと。
補足(磁力と周辺物): 作業台の上の針・ハサミ・ピンなど金属が吸い寄せられることがあります。枠の周囲は金属小物を片付けてから作業します。
生産で効く理由(止まっている時間が利益を決める)
刺繍ビジネスでは「ミシンが縫っている時間」が売上を生みますが、「仕上がり品質」はミシンが止まっている時間、つまり枠張り・位置合わせ・段取りで決まります。
枠跡、ズレによるやり直し、手首の疲労がボトルネックなら、技術だけで解決しようとするより、治具(ツール)を変えた方が早いケースがあります。マグネット枠は、枠張りの「手加減」を再現性の高い動作に寄せてくれます。
ネット上で mighty hoops マグネット刺繍枠 という言い回しをよく見かけるのは、まさにこの「人の締め付けを、機械的な一定動作に置き換える」価値が大きいからです。
互換性:多針機 vs フラットベッド(家庭用)
購入前に必ず押さえるべきなのが「物理クリアランス」です。動画で紹介されているタイプは、チューブラー/フリーアーム構造の刺繍機で使う前提です。アームの周りに枠が回り込み、ブラケットが機械側の受けにスライドして入る必要があります。

一方で、家庭用のフラットベッド型(ベッドが樹脂で一体になっているタイプ)を例に、使えない理由も示されています。

「空間(エアギャップ)」の考え方
- チューブラー(対応): アームが浮いていて、枠のブラケットが下側を通り、布がアーム周りに落ちる。
- フラットベッド(このブラケット形状では非対応): ベッドが詰まっていて、下側フレームやブラケットが針板下に入るスペースがない。
コメントで補足された重要ポイント
「マグネット刺繍枠=多針刺繍機専用」と思い込むのは誤解になりやすいです。
- 事実: 多針機だけでなく、チューブラー(フリーアーム)構造の単針機でも使用できる場合があります。(コメントでは Brother Persona や Babylock Alliance などが例として挙げられています)
結論: 針数ではなく、アーム形状(チューブラー/フリーアームか)で判断します。
mighty hoop チューブラー枠 サポート を調べるときも、「自分の機械は枠がアームを回り込める構造か?」というクリアランス確認として捉えるのが安全です。
ツール更新の目安(段階的に考える)
| きっかけ(痛み) | 判断基準 | 対応策 |
|---|---|---|
| 「シャツ1枚の枠張りに5分かかる」 | 10枚以上のロットが増えてきた | 段階1: マグネット刺繍枠で段取り時間を短縮 |
| 「厚物が浮く/ズレる」 | 厚手素材の比率が高い | 段階2: 素材に合う枠サイズへ見直し、スタビライザーの噛ませ量を増やす |
| 「生産が追いつかない」 | 有償受注が継続している | 段階3: 多針機+マグネット枠でライン化 |
サイズ選び:「ちょうど良い」プロトコル
動画で最も重要なのは、「大きすぎる枠を小物に使わない」ことです。マグネット枠は強力に挟める反面、余った布が多いと布が太鼓の皮のように張り、歪み(伸び)→刺繍後の波打ち/パッカリングにつながります。
1. 大サイズ(11 x 13インチ)
動画内の大サイズは 11 x 13インチです。

- 向くもの: 成人用スウェット、成人サイズの大きめデザイン
- 理由: 成人の胴体スケールに合い、デザイン面積を確保しやすい
- 検索意図: マグネット刺繍枠 11x13 を探している人は、いわゆる「主力サイズ」を求めているケースが多い
2. 中サイズ(8 x 9インチ)
動画内の中サイズは 8 x 9インチです。

- 向くもの: トートバッグ、エプロン、キッズ服
- 明確な線引き: 動画では キッズ 3T 以上に使用
- チェックポイント: 2T以下に無理に使うと、首回りや裾を通すために布を引っ張る感覚が出ます。そのテンションは歪みの原因です。
3. 小サイズ(7.25 x 7.25インチ)
動画内の小サイズは 7.25 x 7.25インチです。

- 向くもの: 幼児服(12か月〜2T)
- 理由: 枠に通すための「伸ばし量」を最小化できる
- 文脈: 7.25 mighty hoop マグネット刺繍枠 は、ベビーとキッズの間のサイズ帯を埋める「つなぎ枠」として有効
4. ベビー(ロンパース)のギャップ
動画では、ロンパースには 5.25 x 5.25 が適サイズとして推奨されています(動画内では未所持)。
- リスク: リブ編みなど伸縮素材は、7.25インチに合わせるために伸ばすと、刺繍後に戻ったときにシワ・引きつれが出やすい
- 対策の考え方: ロンパース用途を狙う場合、5.5 mighty hoop スターターキット のような小径側の選択肢を検討する人が多い
判断フロー:スタビライザーと枠サイズを同時に決める
- 素材を確認
- 伸びる(Tシャツ等) → カットアウェイ系スタビライザーを優先
- 伸びにくい(キャンバス等) → ティアアウェイでも成立しやすい
- 枠サイズを選ぶ
- 原則: デザインが入る最小枠+周囲に1インチ程度の余裕
- 確認: 服を枠に通すとき、首回りを無理に引っ張らずに済むか
- スタビライザーの大きさを確認
- 原則: 枠の外周より各辺1インチ以上はみ出す
手順:サンドイッチ枠張り(スタビライザーを確実に噛ませる)
動画で実演される核となる方法です。布を上下フレームで挟み、さらにスタビライザーを「噛ませて」固定するため、ズレに強い枠張りになります。
段取り(ミザンプラス)
枠張り前に、最低限これだけは手元に置きます。
- リントローラー: マグネット面に糸くずがあると保持力が落ちます
- 糸切り(ハサミ/スニップ): すぐ処理できるように
マグネット刺繍枠 を運用するなら、枠張り前の清掃を「品質管理の一部」として固定化すると安定します。
段取りチェックリスト
- 互換性確認: チューブラー/フリーアーム機か
- 枠サイズ: 成人/3T以上/12か月〜2T のどれかに合っているか
- 消耗材: スタビライザーが枠より十分大きいか
- 安全: 作業台の金属小物(針・ピン等)を退避したか
注意: 枠を閉じる動線上に指・ハサミ・針を置かないこと。強い吸着で挟み込みやすく、ケガや工具破損につながります。
ステップ1 — 枠を外す(レバーで「剥がす」)
動画では、真上に引き抜こうとすると危険で大変だと示されています。

やり方:
- 上に引っ張らない
- 下側のタブ/レバーを握る
- 片側を持ち上げるようにして、磁力の密着を「剥がす」

チェックポイント: いきなり「バチン」とならず、「ズレて外れる」感触で分離できるのが理想です。
ステップ2 — 向き(上下・表裏)を確認
向きの標準化は、位置合わせミスの予防になります。
- ブラケットが付いている側が機械側(前側)です。 [FIG-08]
- 上(TOP)は警告ラベル側で判断します。 [FIG-09]
ルール: ラベルは常に上。ブラケットは左右を間違えない。
ステップ3 — サンドイッチを作る
ここが品質の要です。
- 下側フレームを入れる: 下側(薄い方)を衣類の中に入れ、シワをならします。 [FIG-12]
- スタビライザーを置く: 動画では、下側フレームの上にスタビライザーを重ねる形で説明されています。 [FIG-13]
- 最重要: スタビライザーは枠の外周から「指1本分」以上(目安として約1インチ)しっかりはみ出させます。マグネットがスタビライザーを噛まないと、縫製中にズレます。
- 上側フレームを合わせて閉じる: 上側(マグネット側)を位置合わせして、吸着させます。
品質チェック(軽い引っ張りテスト): 枠からはみ出したスタビライザーを軽く引いてみて、スルッと動くなら噛み込み不足です。すぐ枠張りをやり直します。
セットアップチェックリスト
- 向き: 警告ラベルが上/ブラケットの向きが正しい
- 噛ませ: スタビライザーが全周ではみ出している
- 布の状態: 枠内の布が平らで、引っ張られていない(トランポリン状はNG)
ステップ4 — 機械へ装着(「カチッ」を確認)
ブラケットを機械側の受けにスライドして装着します。
チェックポイント: 装着時に「カチッ」と入る感触(ロック)がない場合、縫製中の振動で外れて事故につながります。
運用チェックリスト
- 巻き込み防止: 背中側の身頃が枠の下に入り込んでいないか(前身頃と後身頃を一緒に縫う事故の予防)
- トレース: 画面のトレース/輪郭確認で、針棒が枠に当たらないか確認
組み付け:L/R ブラケットの取り付け
動画では、枠本体とブラケットが別袋で届くと説明されています。ブラケットは機種ごとに異なるためです。

取り付け手順
- 部品確認: ネジと金属ブラケットを揃える
- 刻印確認: 金属に「L」「R」の刻印があるか見る
- 左右を合わせる: 操作者が機械に向かった状態で、右側に「R」を付ける

チェックポイント: ブラケットの向きが逆だと、機械側の受けに正しく入らない原因になります。
注文時の落とし穴(機種がリストにない)
動画では、注文時に機種(Ricoma MT-1501)がプルダウンに出てこなかったケースが語られています。
- 対策: 推測で選ばず、注文画面のテキスト欄(備考)に機種名を入力する
- 補足: mighty hoops ricoma 用 のように機種指定で探す場合でも、同一ブランド内でブラケット仕様が異なることがあるため、型番の明記が安全です
マグネット枠が現場を変える理由(時間=利益)
動画では、従来枠をほとんど使わなくなった、と述べられています。理由はシンプルで、段取りが速く、枠跡リスクを下げやすいからです。
投資回収の考え方(現場目線)
マグネット枠は安い買い物ではありませんが、次の要素で回収しやすくなります。
- 段取り短縮: 枠張りの手数が減る
- やり直し削減: ズレ・枠跡によるロスを抑える
- 身体負担の軽減: 手首・指の疲労を減らし、稼働を維持しやすい
トラブルシューティング:現場の即応表
| 症状 | ありがちな原因 | すぐできる対処 | 予防 |
|---|---|---|---|
| 枠がベッドに当たる | 機械がフラットベッドで物理的に入らない | 直ちに中止。無理に装着しない | 購入前にチューブラー/フリーアームか確認 |
| デザインが傾く/ズレる | スタビライザーが噛めていない | スタビライザーのはみ出し量を増やして枠張りし直す | 全周1インチ以上はみ出すルールを固定 |
| 小さい服が歪む | 枠が大きすぎる(例:2Tに8x9) | 7.25インチなど小さい枠へ変更 | サイズ帯ごとの枠を決めて迷わない |
| ブラケットが合わない | 注文時の機種指定ミス | 注文時の備考欄で型番を明記する | プルダウンにない場合は必ず追記 |
| 枠に針が当たりそう | 位置合わせ不足 | 縫製前にトレース/輪郭確認を実施 | 毎回トレースを標準手順にする |
品質を救う鉄則
枠に入れた時点で布が引っ張られて見えるなら、縫い終わっても綺麗には戻りません。 「今おかしいものは、仕上がりもおかしい」ので、すぐ枠張りをやり直すのが最短です。
まとめ
Megan の手順をそのまま作業標準にすると、枠張りが「勘」から「再現性」に寄ります。
これで次ができるようになります。
- 互換性判断: チューブラー対応か、フラットベッドで不可かを見分ける
- サイズ選定: 3T以上/12か月〜2Tなど、服サイズに合わせて歪みを防ぐ
- サンドイッチ枠張り: スタビライザーを確実に噛ませてズレを抑える
- 段取り改善: 枠張りの時間と身体負担を減らし、安定した量産へ
狙いが「枠張りを速く、枠跡を減らし、歪みを抑える」なら、マグネット刺繍枠は最も効果が出やすいアップグレードです。指の安全、スタビライザーの噛ませ、ブラケットの左右——この3点を守るだけで、仕上がりの安定度が一段上がります。
