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動画を見る:「How to Make French Knots」(チャンネル名:不明)
フレンチノット、実は“コツ”さえ掴めば怖くない。結び目が裏へ抜けたり、ループが暴れたり、思い当たる失敗はありませんか?本ガイドでは動画の実演を軸に、針の持ち方・糸のテンション・巻き数・刺し戻し位置までを真っ直ぐに解説します。

【学べること】
- 針の角度、巻き数、刺し戻し位置を押さえた基本の一連動作
- 大小の結び目を作るためのテンションと巻き数のコントロール
- 代表的な6つの失敗(同穴・緩み・締めすぎ・針角度・巻きすぎ・糸が長すぎ)の回避と直し方
- 花芯、雲、木、羊などへの応用アイデア
- 練習環境(フープ・スタンド・糸長さ)と実践のポイント
導入:フレンチノットは“好き?苦手?” フレンチノットは、刺繍の中でも「シンプルなのに難しい」と感じられがちなステッチ。動画の作者も、多くの人が避けがちな理由を認めつつ、正しい手順と少しの練習で驚くほど安定することを強調しています。作品例では、花の中心や点描的な装飾はもちろん、雲や木の葉、ふわふわの羊の毛並みまで、点の集合が立体感を生み出すことがわかります。

プロのコツ
- 「ゆっくり」と「一定の張り」が最優先。速く引くほど絡みやすく、乱れやすい。
- 巻き数は1〜3回。3回を超えると結び目というよりループの塊になりがち。
- 刺し戻しは“同じ穴ではなく”ごく近接点へ。特に粗めの織りでは必須。
注意
- 布はフープにしっかり張る。緩みは結び目の不安定さに直結します。
- 糸が長すぎると絡まりと結び癖の温床に。指先〜肘の長さを目安に。
フレンチノットは、色の粒を重ねて「面」を作れることが魅力。鳥の羽根のハイライトや濃淡を粒で積むテクニックは特に効果的です。

花芯に密集させれば立体的な花が生まれ、向日葵の中心のようにぎゅっと詰めれば素材感が際立ちます。

小さな点を散らして蜂やデイジーのアクセントにするのも素敵です。

サンプラーページでは、糸本数や巻き数の違いによるサイズ変化を見比べられ、練習の道標になります。

クイックチェック
- 針は布に対して立てる(糸に巻きやすい角度)。
- 糸は非刺し手で軽く保持し、巻いたループの形を保つ。
- 刺し戻しは“元穴のすぐ脇”。
- 引き抜きはゆっくり・均一に。
完璧なフレンチノットのための道具と素材
基本セット
- フープ(しっかり布を張れるもの)
- 刺繍針(大きめの針穴・シャープな先端)
- ミリナリー(飾り)針(軸と穴が同径で、結び目を抜けやすい)
- 刺繍糸(本数でサイズ調整)
作者は、刺繍針(DMCのセットの中で大きめ)を中心に、場合によってはミリナリー針も活用します。ミリナリー針は軸と針穴の太さが揃うため、巻いたループを抜けやすい一方、通せる糸本数は少なめ(動画では3本までと述べています)。練習布は織りの違うものを用意し、粗めの布では“同穴の刺し戻し”が致命的になることを体感するとよいでしょう。

プロのコツ - 針穴のサイズは使う糸本数に合わせる。太すぎても細すぎても扱いづらい。

- ミリナリー針は結び目通過がスムーズ。ただし糸本数に制限がかかる場合あり。

ここで補足。手刺繍のフレンチノット解説ですが、検索から本記事に来た方の中には機械刺繍の道具を探している方もいます。もし機械用フレーム類をお探しなら、別テーマになりますが用語として磁気 刺繍枠やmighty hoop、snap hoop monster、magnetic フレームなどがよく使われます。用途が異なるため、本稿では詳細解説は行いません。
フレンチノット徹底手順ガイド
手順(フープスタンドなしの場合) 1) 結び目を置きたい位置から針を表に出す。 2) 非刺し手(右利きなら左手)で作業糸を軽く張る。 3) 針を糸に対して当て、布の近くで1〜2回巻く。 4) 針先を“出た穴のすぐ脇”へ刺し戻す(元の穴は避ける)。 5) 非刺し手で糸の張りを保ちつつ、ゆっくり針と糸をループの中へ通す。 6) 末端まで近づいたら、保持を緩めて結び目を完成させる。

手順(フープスタンドありの場合) - 両手が自由になるため、テンション管理と動作の安定性が向上します。巻き数は小さく1回、やや大きく2〜3回が目安。3回を超えないように。刺し戻しは元穴のすぐ脇で、非刺し手の軽い保持を最後までキープ。引き抜きは“ゆっくり・真っ直ぐ”通すのがポイントです。

プロのコツ
- 締めすぎは禁物。ループが針に食いこむと、引き抜けず作業が停止する。
- 速く引くと糸が絡む。長い糸ほど絡みやすいので特に注意。
- 仕上がりが微妙でも、面を埋める場面では近接に数粒重ねて目立たなくできる。
注意
- “同穴”は避ける。粗い織りの布では特に、結び目が裏へ抜け落ちます。
- 糸の張りは「形を保つだけ」でよく、強すぎる緊張は不要です。
小ネタ:もし機械刺繍の記事を探していてここに辿り着いたなら、ブランド別フレームの話題(例:brother 刺繍枠やjanome 磁気 刺繍枠など)もありますが、本稿は手刺繍の解説に特化しています。目的に応じた情報をチェックしてください。
フレンチノットの代表的な6つのミスと回避策
ミス1:同じ穴に刺し戻して消える 現象:結び目が布裏へ引き抜かれてしまう。粗めの布(リネンなど)で起きやすい。 回避:元穴のすぐ脇へ刺し戻す。ほんの少しのズラしで表面にしっかり残る。

ミス2:糸の保持が甘くてルーズに 現象:結び目がほどけ気味で、粒の輪郭が崩れる。 回避:非刺し手で軽く張りながら引き抜く。強い力は不要。軽い保持を継続。 リカバー:面を埋めるなら、緩んだ結び目の近くに1〜2粒追加して“面処理”。

ミス3:締めすぎて針が抜けない 現象:ループが針に食い込み、引き抜きに難儀。最終的に極小で歪んだ粒に。 回避:形が保てる“最小限の張り”にとどめる。引き抜きは直線的・ゆっくり。
ミス4:針先を布に向けたまま巻いてしまう 現象:結びではなく“ただの小さな直線ステッチ”になる。 回避:針は布に対して立て、糸へ巻きつけてから(元穴の脇に)刺し戻す。
ミス5:巻き数が4回以上でルーピーに 現象:結び目というより輪が重なった“もつれ”のような見た目に。 回避:1回=小粒、2〜3回=大粒。4回以上は避ける。
ミス6:糸が長すぎて絡まりの温床 現象:絡まりや結び癖が頻発し、作業が中断。微細な結びは直りづらい。 回避:糸長は“指先〜肘”を上限に。絡んだら無理せず早めに対処。
プロのコツ
- 巻き数・刺し戻し位置・テンションの3点を毎回口に出して確認するルーチンを作るだけで成功率が跳ね上がります。
トラブルが起きたら:リカバーの実践
微細なもつれ・結びが直らないとき
- 目立たない長さで表側をカット(短い尻尾は残す)。
- 裏へ回り、尻尾を針に通して既存のステッチや布目に数回通して固定。
- 余りをカットしてフラットに。表は清潔に保てます。
“ちょいルーズ”の見栄え調整
- 結び目だけを解体しようとして悪化することがあります。動画では、周囲に1〜2粒足して面で馴染ませる方法も有効と示されています。
クイックチェック
- カットする前に:絡みが“ほどける見込み”か一度だけ試す。それで無理なら潔くカット&裏で固定。
コメントから:学びの声とQ&A抜粋
- 多くの視聴者が「どの糸をどの手で保持するか」「いつ手を離すか」という説明で腑に落ちたと述べています。テンション保持は成否を分ける最大ポイント。
- 「羊の図案はありますか?」という問いには、作成後にEtsyで公開予定との回答がありました。
- 「一向にできない…」という声には、動作をゆっくりに、テンションを軽く保つことで改善するとの励ましが寄せられています。
- 糸は必要本数でも一度すべてバラしてから揃える方が整う、という実践的なアドバイスも。
クリエイティブ応用アイデア
花・植物モチーフに
- 花芯を密に。配色で奥行きを、粒の大小で自然な“ムラ”を演出。
- ラベンダーやミモザのような“粒の集合体”はフレンチノットが主役。
風景・動物モチーフに
- 雲や木の葉、草地の点描に。密度勾配でボリューム表現。
- 羊の毛並みは粒の集合でふわふわに。陰影は色の濃淡で。
素材と配置のヒント
- 粗い織りの布では、同穴回避をより厳密に。小粒を多く、点のバランスで面を作る。
- 隙間を“間”として活かす配置も有効。粒が浮き立ちます。
プロのコツ
- サンプラーで“粒の地図”を作る。糸本数×巻き数×布の相性を残しておくと、次の作品で迷いが減ります。
最後に:練習の続け方
- スタンドがあれば両手が自由になりテンション保持が楽に。なければフープを机に置いて両手を確保するのも手。
- 1回ずつ、ゆっくり、同じ手順の繰り返しを体に染み込ませる。数ページ分のサンプラーを埋める頃には、結び目の粒に“自分なりの均一さ”が宿ります。
補足メモ(機械刺繍の用語検索から来た方へ) 手刺繍の記事ですが、検索キーワードに機械関連が含まれている場合があります。方向性が違うため詳細説明は割愛しますが、たとえば刺繍ミシン for beginnersやmighty hoopsなどの情報は、機械刺繍のフレーミングや保持の話題として参照されます。目的が機械刺繍であれば、専用の解説ページをご確認ください。
安全と快適さのために
- 糸を速く引かない。長い糸ほど絡みやすい。
- 巻き数を増やしすぎない(3回超は避ける)。
- 同穴への刺し戻しは避ける(特に粗織り布)。
これで、フレンチノットの“壁”は越えられます。ステッチの速度はゆっくりで良い。粒は、急がないほど美しく育ちます。
