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動画を見る: Mastering Metallic Thread: Tips & Tricks for Sewing(Melanie Ham)
メタリック糸は、美しいのに手強い—切れる、ほつれる、気まぐれ。けれど、正しい針と設定、そして観察のコツさえ掴めば、きらめきを味方にできます。

この記事では、動画の実演を手がかりに、ブランドごとの糸の挙動差、トップステッチ針の理由、テンションとステッチ長の目安、縫い方のテンポ、そしてトラブルの見つけ方・直し方までを丁寧に整理します。
学べること
- メタリック糸が切れにくくなるセッティングの考え方
- トップステッチ針(90/14)のメリットと使いどころ
- ステッチ長と上糸テンションの具体例(長め・低め)
- 失敗サンプルから学ぶ、ほつれ・暴れへの対処
- 表裏の縫い目チェックによるトラブル診断
注意
- 動画に登場するミシン設定(ステッチ長3、上糸テンション1)はJuki TL-2010Qでの一例です。お手持ちの機種では取り扱い説明書を優先してください。
メタリック糸を理解する
WonderFilのレーヨン芯メタリック糸と、Superior Threadsの伸びのある芯のメタリック糸。見た目はどちらも美しく輝きますが、ミシン上でのふるまいが異なります。
・WonderFil(レーヨン芯) 伸びにくい=通常糸に近い挙動。ただし、巻きの解け方が「気まぐれ(squirrely)」で扱いにくく感じる場合があります。

・Superior Threads(メタリックス) 芯にやや伸びがあり、衝撃を吸収するぶん、メタリック特有の裂け(shred)や切れが起きにくい傾向。筆者(動画の投稿者)の環境ではテンション調整の手間が少なく済んだとのこと。
どちらが正解というわけではなく、あなたのミシンとの相性が肝心。端布でテストし、テンションとステッチ長の落としどころを見つけましょう。
プロのコツ
- スプールの供給が暴れる糸は、ネットやカバーで制御。供給が安定すると目に見えて縫いが落ち着きます。
- 糸端の通り道(ガイド)を見直し、引っかかりを減らすだけでも切れは軽減。
クイックチェック - 糸を指で軽く引っ張って伸び具合を体感。伸びが少ない糸はテンションをより低めにする、あるいはスピードをさらに落とす、といった微調整が効きます。
- 逆に伸びのある糸は、テンション1付近でも安定しやすいことがあります。
控えめな関連メモ:刺繍機でメタリック糸を使う場合、枠の固定が甘いと糸の負荷が増します。例えば磁気 刺繍枠は厚物や重ね生地での固定性が高く、スティッチの安定に寄与します(本記事の主題は直線縫いですが、考え方は共通です)。
針が決め手:トップステッチ針の効能
メタリック糸にはトップステッチ針(例:90/14)が推奨。理由は「針穴(アイ)の縦長形状」。糸が針穴内で自由度をもって動けるため、摩擦と擦れが減り、切れや裂けを抑えられます。
拡大して見ると、一般針との違いは明白。メタリック糸は硬質な皮膜やフィルムを含むため、狭い針穴を通ると擦れて分割(スプリット)しやすくなります。トップステッチ針なら通過ストレスが低減。
動画内のスプール表示にも「Topstitch 90/14」「上糸テンションを1へ」と明記。まずはこの組み合わせでスタートし、縫い目の表裏を観察して微調整するのが近道です。
注意
- 針は必ず新しいものを。メタリック糸は針の摩耗やバリの影響を受けやすく、古い針は切れの原因になります。
関連の観点で、刺繍用途の読者へ:刺繍デザインでは縫い密度と糸の通り道が多くなるため、枠の保持剛性が重要。例えばbrother 刺繍ミシンやjanome 刺繍ミシンを使う場合も、トップステッチ針の考え方は同様に活きます。
ミシン設定を最適化する
原則は「テンション低め・ステッチ長やや長め・低速」。動画ではJuki TL-2010Qにて、ステッチ長3、上糸テンション1が紹介されています。お使いの機種で再現する場合は、取説の推奨値と合わせて試行しましょう。
・上糸テンション:まずは大胆に下げる(例:1)。メタリック糸への食い込みを減らし、摩擦を抑える狙い。 ・ステッチ長:やや長め(例:3)。一針ごとの角度変化を緩くし、糸にかかる曲げ負荷を軽減。
プロのコツ
- 普段からテンション低めが相性の良い機種もあります。自分のミシンの「気持ちよく縫える帯域」を把握しておくと、特殊糸でも的確に合わせ込めます。
クイックチェック
- 上糸の戻り癖(リールからの供給トルク)が強いと、テンションを下げても縫い目が締まりがち。スプールの向きやホルダーの位置を見直し、引き出し方向をスムーズに。
刺繍ユーザー向けメモ:枠固定が甘いと糸の引っ張りが増え、テンションの影響を過敏にします。高保持の枠(例:bernina 磁気 刺繍枠やdime 磁気 刺繍枠)は安定化の助けになります。用途が異なっても「糸にストレスを与えない」思想は共通です。
手順で学ぶ:メタリック糸で縫う
1) 端布で試す(素材は本番に近いもの) - 低速でスタート。メタリック糸は「踏み込み勝負」ではなく、ミシンに任せて丁寧に進めるのが正解です。
2) 表裏の縫い目を観察
- 表側:乱れや光沢のムラをチェック。
- 裏側:上糸のループ過多は上糸テンション下げすぎ、下糸が見えすぎるなら上糸テンションを少し上げる、など「裏に症状が出やすい」。
3) 清掃・注油
- それでも整わないときは、ミシン内の糸屑や粉塵が抵抗になっている可能性。取説に従って清掃・注油を。動画でも「まずは説明書を」の姿勢が強調されています。
注意
- スピードを上げると切れやすさが一気に増します。アクセント縫いが主目的なら、完成まで一定のゆっくりペースを保ちましょう。
関連TIPS(刺繍機)
- 高密度の刺繍では特に供給安定が重要。mighty hoopのような強力保持の枠や、供給ネットを併用して糸の暴れを抑えましょう(本記事は直線縫いの解説ですが、糸ストレス低減の発想は共通)。
よくある不具合と対処
症状A:スプールから糸が勝手に解けて絡む
- 原因:巻きや材質由来の「暴れ」。
- 対策:スレッドネットやカバーで供給を一定化。動画コメントでも「ネットで解決」との声、投稿者も同意しています。
症状B:糸が裂ける・途中で切れる
- 原因:針穴での摩擦、テンション過多、急加速。
- 対策:トップステッチ針へ交換、テンションをさらに下げる、スピードを落とす。縫い目を見ながら微調整。
症状C:縫い目が締まりすぎ・浮きすぎ
- 原因:上糸テンションの過不足。
- 対策:裏面を確認しながら1クリックずつ調整。説明書の図解を参照。
症状D:ボビン糸は何を使う?
- 動画コメントで投稿者は「上糸と同じメタリック糸を下糸にも使用」と明言。まずは同一糸でテストし、どうしても不安定なら機種ごとに説明書の推奨に従いましょう。
質問が多かったトピック:金属ボビンに巻くと空回り
- 供給側の暴れを抑える対策(ネットやカバー)が有効という視聴者経験が寄せられています。なお、動画ではボビン巻きの詳細手順は示されていません。
刺繍環境の補足
- 刺繍でメタリック糸を使う場合も基本は同じ。枠の保持力や供給安定がさらに重要です。例えばbrother sewing machineユーザーでも、供給の滑らかさとテンション低めの原則は活きます。枠の選択肢としてbernina 磁気 刺繍枠やdime 磁気 刺繍枠などの磁気系枠は固定の安定に寄与します(本記事の主題外ですが、ヒントとして)。
仕上がりを楽しむ・共有する
動画では、ピンクのメタリック糸で縫ったサンプルと、グリーンのメタリック糸で縫ったサンプルを並べて比較しています。調整が決まれば、発色と反射が生地の上で立体的にきらめき、ホリデーシーズンのアクセントに最適です。
プロのコツ
- 一度「うまく縫えた設定」を記録。糸ブランド・針番手・テンション・ステッチ長・縫速度をセットでメモしておくと再現性が上がります。
クイックチェック
- 端布で5〜10cm縫って表裏を確認→必要ならテンションを微調整→もう一度。調整は段階的に。大きく動かすより、小さく回して縫って確かめるほうが精度が上がります。
コメントから
- 下糸は?→投稿者は「上も下もメタリック糸」を好むと回答。
- スプールが暴れる→視聴者から「ネットで解決」との実体験、投稿者も賛同。
- テンション調整→上糸を1まで下げ、ステッチ長3、低速で縫って表裏を確認するプロセスが動画で示されています。
関連のヒント(刺繍ユーザー向け)
- 枠の固定や供給安定は、糸ストレスの抑制に直結します。例えばsnap hoop monster for babylockや磁気 刺繍枠 for berninaのような保持力の高い枠は、縫製条件の安定に貢献します(本稿の主題は直線縫いですが、糸扱いの原理は同じ)。
最後に
- メタリック糸は「丁寧な準備」が光を呼びます。トップステッチ針、テンション低め、ステッチ長長め、低速、この4点に表裏チェックを組み合わせれば、あなたの作品は確実に輝きます。
- そして一番の近道は端布テスト。あなたのミシンと糸のベストな落としどころを見つけて、ホリデーのきらめきを縫い取りましょう。
