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動画を見る:『Origami Magic Wallet / Card Holder Tutorial』
カードが“魔法”のように現れる薄型ウォレット。見た目は繊細でも、手順は理にかなっていて再現性抜群。正確な折り筋とレイヤー構成が、軽やかな開閉と美しい面構成を生みます。

このガイドでは、動画の流れに沿って小さなスター・ユニットの作成から本体ベース、スライド式クローザーの取り付けまでを一気通貫でナビ。失敗しやすい箇所や配置のコツも、プロ視点で補強します。
■この記事で学べること
- スター・ユニット(飾りパーツ)を均整よく4個折る方法
- 15×30cmのベース紙に正確な印を付け、直線的に畳むコツ
- ユニットの貼り付け位置合わせと、はみ出さない接着の手順
- 紙ストリップと楕円パーツで作るスライダー機構の要点
- 仕上げ確認とズレ・めくれの簡易リカバリー
はじめに:折り紙マジックウォレットとは 完成品は、開く方向によって内容物が現れたり隠れたりする“マジック”構造の薄型カードホルダー。スター・ユニットをアクセントに配したデザインは、楽しいだけでなく、折り目の精度を磨く練習にも最適です。耐久性は紙質と接着の質に依存するため、練習ののち本番用の紙で仕上げるのがおすすめです。
プロのコツ
- 折り筋は都度“割り箸の背”や爪で軽くプレスしてエッジを立てる。
- 直線を出す要は基準線。最初の二つ折りと“中央筋”の精度を最優先に。
- 接着は“仮置き→平行調整→全面プレス”の順。乾く前に素早く方向性を整える。
- 飾り面の向きは4枚で統一すると視覚的な安定感が高まる。
注意
- 紙破れの主因は“局所的な強圧”。広い面で圧を分散させ、角から徐々に折る。
- ホットグルーは糸引きやすい。温度が落ち始めるタイミングの短い接点塗布が有効。
用意する材料と道具 本作例では、飾りユニット用に15×7.5cm、ベース用に15×30cmの紙を用います。色構成は動画では黄・緑・紫・赤(ユニット)、ピンク(ベース)、ブルー(スライダー)、白(楕円)。道具は定規、鉛筆、カラーマーカー、スティックのり、ホットグルーガン。
- 作業面:フラットで清潔なデスク
- 紙:折り筋が立ちやすい薄手〜中厚
- 計測:定規、鉛筆(薄く印が消せるもの)

- 接着:スティックのり(面用)、ホットグルー(点支持・機構部)
- 装飾:マーカー(任意)
小さな紙でも道具の精度は仕上がりに直結します。紙の重さ(斤量)は動画に明記がないため、試作で強度と折りやすさのバランスを確認しましょう。なお、折り目をつける練習には、刺しゅう道具のような磁力保持具と混同しがちな用語が登場しますが、ここでいう“保持”はあくまで手指と折り筋の話。刺しゅう用の磁気 刺繍枠のような磁力保持は使いません。
飾りスター・ユニットの折り方 スター・ユニットは4個作ります。いずれも同じ手順で、仕上がりの均一さが鍵です。
1) 基本のストリップを作る - 15×7.5cmの紙を長辺方向に二つ折りして“中央筋”を出します。

- 両長辺を中央筋へ折り込み、さらに同じ動作を繰り返して幅を狭め、ストリップを再び二つ折りに。
- この段階で左右の厚みが等しいか、端がはみ出していないかを確認しましょう。

2) ダイアモンド開きと角の処理 - 片側を開いてダイアモンド形に整え、側辺を中心へ合わせます。裏返して反対側も同様に。

- 下の角を中央へ入れ、下部を上に折り上げます。上部も同様に処理し、上下のバランスを合わせます。
3) 立体化と“スター”の出現 - 側面から軽く押し込んで箱状の空間を作りつつ、中央部をフラットに。四角形がくっきり現れるまで折り筋を磨きます。

- 上フラップを倒しながら側面を押し込むと、一面の“スター”が完成。反対側も同じ操作で対称を確保します。
4) 彩色(任意) - 盛り上がるリブ部分にマーカーで軽く色を差すと立体感が際立ちます。塗りの境界は折り筋に沿わせると滲みにくい。

5) ユニットを4個に増やす - 同手順で色違いを3個追加し、計4個を揃えます。置き並べたときに模様の向きが揃っているかを確認。

プロのコツ
- “押し込み→平坦化→角合わせ”の順序を徹底。作業のリズムが安定します。
- マーカーは面ではなく“稜線”を意識して当てると、紙の質感を損ねません。
注意
- 折り戻しは繊細に。繊維を切らない圧で“なだめる”ように再成形します。
クイックチェック
- 四辺すべてに同じ幅のリブが見えるか?
- 対面の角が一直線に並んでいるか?
小話:道具の似て非なるもの
- 折り紙では手の圧と折り筋が“治具”。刺しゅうではhoopmasterのような定位置化ツールやsnap hoop monsterなどが“治具”として働きます。名前は似ていても目的が全く異なる点が面白いですね。
ウォレット本体ベースの作り方 ベースは15×30cmの紙を用います。折りとマーキングの正確さが、開閉の滑らかさを決めます。
1) 初期の折りとマーキング - まず長辺方向に二つ折りして中央筋を作る。

- 定規と鉛筆で、端から14.5cmと1cmの位置にガイドラインを入れます(線は薄く)。

2) ガイドに沿って成形
- マークに合わせて側を内側へ折り、幅方向にも半分に畳んで中央構造を強化します。
- ベースの側フラップをきれいに内側へ。線が波打たないよう、手のひら全体で圧をかけるのがコツ。

- 水平の中央筋を作り、上下をその筋へ合わせて折り、最後に全体を二つ折りして形を整えます。
プロのコツ
- 線は“置く→引く”ではなく“引くのみ”。紙がたわむ前に定規で押さえて筆圧一定に。
- マーキング後は一度“あたり折り”で方向性を確認してから本折りへ。
クイックチェック
- マーキングが左右対称か?
- 各折りが中央筋に正対しているか?
コメントから(計測)
- 「サイズが分からない」との声に対し、動画中の明示サイズはユニット15×7.5cm、ベース15×30cm。折り位置は14.5cmと1cmです。記事内でも同数値で解説しています。
余談:紙ものと“磁力”の発想
- ウォレットの留めに磁石は使いませんが、クラフトの別分野では磁力で生地を挟むmagnetic フレームやembroidery 磁気 刺繍枠のようなツールが活躍。紙では接着と折り構造で安定を出すのが本道です。
組み立て:スターの配置と固定 いよいよベースとユニットを一体化します。接着は“はみ出さない”が最重要。
1) 接着面の準備 - ベース中央の水平フラップにのりを薄く広げます。コーナーまで均一に。

2) ユニットを置く - 緑・紫・赤・(薄い)紫のスターを、動画の配置に倣って置きます。置いたら平行・間隔を確認し、軽くプレス。

- 特に1個目は“基準”。ここが斜めだと全体が崩れます。
- 次に2個目以降を対称に貼り、四隅の視覚バランスを整えます。

- 4個が収まったら、上から紙を当てて満遍なく圧をかけ、のりの定着を促します。

プロのコツ
- のりの“量より範囲”。端0.5〜1mm手前で止めると、圧でちょうど端まで伸び、はみ出しを防げます。
注意
- はみ出したのりは乾く前に“拭く→押さえる”。乾燥後はテカりが残りやすいので要注意。
クイックチェック
- 4ユニットの外周ラインはベースの基準線と平行か?
- 上下左右のマージンが均等か?
スライド機構の追加 スライダーは“薄い力で止まり、必要なときに動く”ことが大切。紙ストリップの厚みと接着の点支持が要です。
1) ストリップを作る・固定 - 細いライトブルーの紙ストリップを用意。片端にホットグルーを点付けし、外周側に取り付けます。スライドの余裕を残しつつ、ねじれないように配置。

2) グリップ用の楕円パーツ - 小さな白い楕円の紙を用意し、ホットグルーでストリップ中央へ。つかみやすく、見た目のアクセントにもなります。

クイックチェック
- スライダーは引っかからずスムーズか?
- 接着点は必要最小限で、表に糊跡が出ていないか?
コメントから(スピード)
- 「速すぎて追いつけない」との声が複数。再生速度を0.5×に落とし、タイムスタンプで要所に戻るのがおすすめ。段階ごとに静止画(本記事の[FIG-xx])を確認し、次へ進むと理解が深まります。
仕上げ・使い方・ギフトのアイデア
- 使い方:名刺サイズのカードやミニノートを軽く挟み、開閉の向きで“現れる”演出を楽しみましょう。過重量物は避け、角のへたりを防ぐため出し入れはやさしく。
- ギフト:色のコントラストを変えれば対象の好みに合わせた一点物に。裏面へメッセージカードを仕込むとサプライズ性が上がります。
- メンテ:角が弱ってきたら、内側から薄紙を小さく当てて補強。のりはごく薄く。
クラフト横断の発想
- 紙以外の分野では、布を扱う磁気 フレーム for 刺繍ミシンやmighty hoopのような治具があり、作業の再現性を高めます。折り紙でも“基準線→平行→対称”を徹底することで、同様の安定感が得られます。
クイックチェックとトラブル対処 チェックリスト
- 折り筋:中央筋と外周は真っ直ぐ?波打ちはない?
- 対称性:スターの向き・間隔は均等?
- 接着:はみ出しや曇りは出ていない?
- 可動:スライダーは軽く動き、止めたい位置で止まる?
よくあるトラブルと対処
- スターが歪む:一度軽く開いて折り筋を“なだめ”、角から再プレス。面で圧をかける。
- ベースが合わない:マーキングを再確認。14.5cmと1cmの基準から再折り直し。
- スライドが固い:接着点が張り付きすぎ。温め直してごく薄く塗布。あるいは紙粉を軽く払う。
コメントから(紙厚)
- 紙の斤量は非公表。薄手〜中厚の折り紙・画用紙が扱いやすい。色移り防止に、彩色面は完全乾燥後に接着しましょう。
学びの広げ方
- 本作で培った“基準線→対称→段階プレス”は、他のペーパークラフトでも有効。布クラフトの世界では刺繍ミシン for beginnersでも治具やテンプレートで基準を作る発想が一般的。分野をまたいで“基準思考”を練習しましょう。
コメントから:疑問と回答のまとめ Q. 紙サイズは? A. ユニットは15×7.5cm、ベースは15×30cm。折り位置は14.5cmと1cm。
Q. 6:49の折りは? A. 側フラップを内に折り、中央の構造を明確にするステップ(06:46〜06:56)。
Q. 速すぎて追いつけない。 A. 再生速度を落として一時停止→巻き戻し。要所は本記事の静止画[FIG-xx]で補完。
Q. 紙の厚さは? A. 動画に記載なし。薄すぎず、折り筋が立つ紙を試作で吟味。
最後に スター・ユニットの均整とベースの直線性、この2点を押さえれば、誰でも“魔法”の瞬間を再現できます。練習の一枚で指先の動きを体に刻み、色合わせで自分だけの一冊へ。紙の世界は奥深く、別分野の道具思想(例:magnetic フレームやsnap hoop monster)にも学べますが、折り紙の魅力は“手と紙”のミニマルな対話にあります。どうぞ、次の一折へ。
