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1 プロジェクトの概要
複雑な多色デザイン(パウ・パトロール “Chase”、約27,205ステッチ、9色)を、両機とも刺繍速度650spmで実行し、開始から完了までの時間をスマホのタイマーで計測しました。

1.1 何を比較するのか
・総所要時間(開始〜刺繍完了) ・色替えの手間(自動か手動か) ・仕上がり上の違い(ジャンプ糸の残りなど)
この比較は「速度650spmに固定」「同一サイズのデザイン・同一ステッチ数」「同一素材(テスト用の生地)」という条件で行っています。なお、PE-800側ではジャンプ糸の後処理時間は総計に含めていません。
1.2 いつこの比較が役立つか
・多色・多ステッチのロゴやキャラクター刺繍をよく扱うとき。 ・単針からマルチ針へ移行すべきか、投資判断をする前段階。 ・生産性の根拠を、体感ではなく定量で押さえたいとき。
2 準備するもの
実験に使用した道具・材料・ファイルは下記の通りです。
- 刺繍機:Ricoma EM-1010(マルチ針)、Brother PE-800(単針)
- 刺繍デザイン:パウ・パトロール “Chase” データ(USBに保存)
- 生地:スクラップ生地(テスト用)
- 糸:刺繍上糸(9色)、ボビン糸
- 計測:スマホ(タイマー)
- 撮影:カメラ、リングライト
- 付属ツール:はさみ
マグネット式のフープを使う場面では、厚手や重さがある生地でも安定した固定が期待できます。たとえば、Ricoma側では8×9相当のフープ構成を用いるとセットが素早く、浮かせ留め(フローティング)にも移行しやすくなります。現場で使いやすいと評判の mighty hoop 8x9 マグネット刺繍枠 を想定した運用なら、装着の再現性が高まるのが利点です。

2.1 事前チェック
- デザインのステッチ数・色数の確認(27,205ステッチ、9色)。
- 速度設定の統一(650spm)。

- 糸色の準備と配置(色順の想定)。

- タイマー操作手順(開始・停止の同期)。

2.2 クイックチェック
- 速度650spmになっているか?
- Ricoma側は全色が装着済みか?
- PE-800側は初回の糸通しと新品ボビン準備が済んでいるか?
3 実験セットアップ
両機で公正な比較をするため、設定を合わせます。
3.1 速度設定を揃える
両機とも650spmに設定。これはPE-800の実運用上の速度に合わせた値で、比較の公平性を担保します。
3.2 フープと生地の固定
EM-1010側ではマグネット方式のフープを使うと、装着にかかる時間・労力を安定化できます。単針側でよく使われる5×7フープ運用を見越すなら、対応アクセサリー(例:brother 5x7 マグネット刺繍枠)の活用でフローティングも扱いやすくなります。
3.3 色替え段取り
- EM-1010:9色を事前装着。機械側で自動色替え。
- PE-800:各色ごとに手動で糸交換。ジャンプ糸の処理は終了後に実施(時間計上外)。
3.4 注意
- 途中のボビン交換が発生する可能性があります(本比較ではRicoma側で1回発生)。この場合、タイマーと機械を同時に一時停止し、再開時に同時に再スタートします。
4 手順
ここでは、Ricoma EM-1010、Brother PE-800の順に作業フローを整理します。
4.1 Ricoma EM-1010 の刺繍フロー
1) 生地をフープ固定し、枠を装着。
2) デザインを読み込み、速度を650spmに設定。
3) 9色の上糸がすべて装着されていることを確認。
4) スマホのタイマーと機械スタートを同時に押す。
5) 刺繍が進む間は基本的に手離れ。必要なら跳び出た糸屑などを軽く除去。

6) ボビン交換が必要になったら、タイマーと機械を同時に一時停止→交換→同時再開。 7) 完了時にタイマーを停止し、所要時間を記録。

・実測結果:49分31秒(49:31) ・補足:走行中の糸切れはこの速度では発生しませんでした。
プロのコツ: マグネット式フープは厚手・重めの生地でも素早く安定固定しやすく、段取り時間のブレを抑えられます。Ricoma系の運用では ricoma mighty hoops マグネット刺繍枠 のような互換アクセサリーが充実しており、色替え自動化との相乗効果で「待ち時間そのもの」を減らせます。
チェックリスト(Ricoma)
- 速度650spmに統一できている
- 全9色が装着済み
- タイマーの開始・停止が刺繍開始・終了と同期
4.2 Brother PE-800 の刺繍フロー
1) 5×7フープに生地を固定して装着。

2) 初回の糸通し(ブラウン)を行う。新品ボビンを装着。

3) タイマーと機械スタートを同時に押す。

4) 色の切り替えタイミングごとに一時停止→糸替え→再開。

5) 必要に応じてジャンプ糸を途中で仮カット(ただし計時には含めない)。

6) 刺繍が完了したらタイマーを停止し、所要時間を記録。

・実測結果:1時間4分37秒(01:04:37) ・補足:最終画にはジャンプ糸が多く残ります。後処理にさらに1〜2分程度かかる見込みです(動画では総時間に未計上)。
クイックチェック(PE-800)
- 速度650spmになっている
- 色順の準備ができている(糸が手元に並んでいる)
- 途中での糸替え手順(停止→交換→再開)がスムーズ
注意: 単針機では色替えのたびに人手が必要です。段取りの工夫が少ないと、色替えのたびに数十秒〜1分単位で時間が伸びます。必要に応じて、単針向けの 刺繍ミシン 用 マグネット刺繍枠 や brother 刺繍ミシン 用 クランプ枠 を活用し、フープの脱着・再装着をスムーズに保つと改善します。
5 仕上がりチェック
両機の最終結果を並べると、デザイン品質自体は同等に見えますが、PE-800側は多数のジャンプ糸が残り、追加の手作業が必要になります。

5.1 良好な状態の目安
- 輪郭や小パーツの密度が均一
- 色境界に乱れや段差がない
- 表面の毛羽立ちや糸引きが少ない
5.2 問題の兆候
- 細線での段落ち・乱れ
- 不要なループやたるみ
- ジャンプ糸が目立つ(単針側では仕方がないが、必ず後処理)
6 結果と考察
実測では、EM-1010が49分31秒、PE-800が1時間4分37秒でした。差は約15分。PE-800ではジャンプ糸処理が別途発生するため、実運用の「完全終了」まではさらに時間を要します。
6.1 速度差の主因
- 自動 vs 手動の色替え
- 刺繍中の「手離れ」度合い(マルチ針は基本的に見守り時間が少ない)
コミュニティの洞察として、「1時間に15分短縮できるなら、8時間稼働で約2時間、週40時間で約10時間の短縮になる」という試算も共有されています。作業者の拘束時間(立ち会い)を減らせることは、単なる分速の差以上に大きな意味を持ちます。
6.2 仕上がり比較
- 品質そのものは同等に到達可能(動画内の並置比較から):
- 実質的な手間は、PE-800側のジャンプ糸後処理が増える点で差が出ます。
6.3 メモ:時間の端数
PE-800の最終秒数に1秒の指摘(1:04:38)もありましたが、作者の最終まとめは1:04:37を採用しています。比較の主旨には影響しません。
7 効率を最大化するための実践ヒント
7.1 マルチ針が活きる場面
- 多色・多ステッチの案件が多い
- 作業者が他工程と並行したい
- キャップなど付属品・オプション枠を活かす計画がある
プロのコツ: アクセサリー整備は「総時間の安定化」に直結します。たとえば単針・マルチ針を問わず、確実な固定を実現する マグネット刺繍枠 を主軸に揃えると、段取りのバラつきが減り、品質・時間ともに安定します。
7.2 単針ワークフローの最適化
- 色順の最適化(近い色を連続させる)
- 糸を作業者の利き手側に並べ、交換導線を短縮
- フープの装着・再装着は、位置決めツールを使って再現性を上げる
- 5×7フープ運用には対応アクセサリー(例:brother pe800 用 マグネット刺繍枠)があると段取りが安定
注意: 単針で厚物や重い生地を扱う場合、機械前に常駐して生地を支える必要が生じることがあります。手離れが悪くなるため、スケジュールに余裕を持たせましょう。
7.3 投資判断の考え方
- 「速度」だけでなく「手離れ時間(人が拘束されない時間)」を数値化
- 後処理(ジャンプ糸カット等)も原価に含めて積算
- 予備ボビン・替え針・補助フープなど消耗・周辺費用も見込む
コミュニティの声: 複数の単針機を並列運用すれば総産出を上げられるという意見もあります。一方で、作者はマルチ針の「高い速度設定が可能」「見守り不要」「付属枠が豊富」といった利点を挙げ、ワークフロー全体の手離れ向上を重視しています。
8 トラブルシューティング・リカバリー
症状 → 可能原因 → 手当の順で整理します。
- 仕上がりが微妙に違う気がする
→ フープ固定のテンション差、上糸テンション差、下糸残量のタイミング差 → フープを安定させ、テンションを見直す。単針側では後処理(ジャンプ糸カット)前後の比較も忘れずに。
- 糸切れが増える
→ 速度が高すぎる、糸道の抵抗、針の摩耗 → この比較では650spmで安定(糸切れ少)。まず速度を落として安定点を探る。
- 色替えで時間が伸びる
→ 段取り不足(糸の列配置、順序、道具の位置) → 糸順を設計し、手の可動範囲に沿って並べ替える。hoopmaster 枠固定台 等の位置決め治具があると、再装着の時短・再現性向上に効果的。
- フープの着脱でズレる
→ 手押しのムラ、位置決めの基準不足 → マグネット式やクランプ式の活用(単針用の brother 5x7 マグネット刺繍枠 など)で安定性を高める。
決定フロー(簡易)
- 手離れを優先したい → マルチ針の導入を検討
- 小ロットの平物中心・低頻度 → 単針+段取り改善(マグネット・クランプ活用)
9 コメントから
- 15分短縮は、1日8時間なら約2時間、週40時間なら約10時間の短縮に相当、という試算が共有されました。
- 単針並列 vs マルチ針の投資判断については意見が分かれました。作者は「高い速度設定・見守り不要・豊富な枠」を理由にマルチ針の優位を主張。一方、趣味用途での単針複数台案も一定の合理性があると整理できます。
- 「デザインが違って縫えたのか?」という疑問には、作者が詳細確認を促すに留まりました(決定的な差異は動画中では示されていません)。
付録:運用メモ(現場で役立つ小技)
- タイマー操作は必ず機械のスタート/ストップと同時に行う(誤差を最小化)。
- 単針側の糸替えは「停止→交換→再開」の動作をルーチン化し、手順を体で覚える。
- マグネット式・クランプ式の枠は段取り時間のブレを抑える。PE-800ユーザーには brother pe800 用 マグネット刺繍枠 のような選択肢が実務的です。
- マルチ針運用では、マグネット式枠の互換アクセサリー(例:mighty hoop マグネット刺繍枠)で固定品質を底上げし、色替え自動化との相乗効果を狙う。
写真で振り返るハイライト
- 実験開始のセットアップ:
- デザインの複雑さ(多色・多ステッチ):
- Ricomaのフーピングと自動色替え運用:
- 速度統一(650spm)の確認:
- Ricomaの開始と途中経過:
- Ricomaの完了タイム:約49分31秒:
- Brotherのセットアップと手動糸替えの様子:
- Brotherの開始と完了タイム:1時間4分37秒:
- 並置比較(品質は同等、ジャンプ糸の有無で手間が変動):
最後に、単針でも段取り次第でスピードは伸ばせます。例えば、単針用のマグネット枠(brother 5x7 マグネット刺繍枠 など)やクランプを選び、糸替え動線を最短に整える。マルチ針であれば、互換のマグネット枠(マグネット刺繍枠 や ricoma mighty hoops マグネット刺繍枠)を揃え、色替え自動化を最大限に活かす。PE-800のような単針でも、対応の 刺繍ミシン 用 マグネット刺繍枠 を活用して、フーピングのストレスを減らせば、1回ごとのロスが累積していくのを確実に抑えられます。なお、PE-800と相性のよいアクセサリーとしては brother pe800 用 マグネット刺繍枠 が代表例で、取り回しや段取りの安定化に寄与します。
