Brother/Baby Lock PR機で「USB差し替え不要」の無線転送(PE-Design不要):Mini PCブリッジ手順

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このガイドでは、Brother/Baby LockのPRシリーズに刺繍データを「無線で」送るための手順を、現場で再現できる形でまとめます。やり方はシンプルで、Windows 10/11の低価格Mini PCを刺繍機にUSB接続し、機械側ドライブ(リムーバブルドライブとして認識される領域)をネットワーク共有。あとはメインPCから共有ドライブへコピーするだけです。Windowsの共有設定(Everyone=フルコントロール)、パスワード保護共有の無効化、メインPC側でのネットワークドライブ割り当て(例:Z:)、さらにHatchからの直接転送設定までを順に解説します。加えて、コメントで多かった「無線ってどこ?」「待機画面で固まる」「リモートでMini PCに入れない」「フォルダ内のファイルが見えない」といったつまずきポイントも、動画内容に基づいて整理しています。
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目次

「歩かない」ワークフロー:Brother PRを“ネットワーク機器化”する現場向けブリッジ構成

業務用の多針刺繍機を使っていると、地味に効いてくるのが「USB差し替えの往復」です。ソフトで仕上げ→USBに保存→抜く→機械まで移動→挿す→読み込む……。制作点数が増えるほど、この移動がボトルネックになります。

根本原因は、メーカー純正の転送が特定ソフト前提だったり、機種の無線機能が“自由なファイル転送”としては使いにくかったりする点です。

そこで本記事では、刺繍機の横にWindowsのMini PCを常設し、刺繍機をUSBでつないだまま「共有ドライブ」として扱うネットワークブリッジ構成を作ります。メインPCからはWi-Fi経由でファイルを送るだけ。Mini PCがUSB経由で刺繍機へ受け渡します。

最終的には、刺繍機を「ネットワークプリンター」のように扱える状態を目指します。

できるようになること(できないこと)

  • 構成の理解: Mini PCをBrother/Baby Lock機にUSB直結し、刺繍機が「リムーバブルドライブ」として常時見える状態を作る
  • 権限設定: Windowsの「詳細な共有」で、遠隔から読み取り/書き込み/削除できるようにする(運用上ここが重要)
  • ドライブ割り当て: メインPC側で共有先をドライブレター(例:Z:)として固定する
  • ワンクリック転送: Hatchなどから転送先をZ:に指定して、出力を最短化する

この手順は、brother pr1055xなどのPR系で、純正転送ソフトに縛られずにテンポよく回したい現場に向いた方法です。

注意(データの扱い): これは“保管”ではなく転送用の受け渡しとして運用してください。刺繍機側の領域は、電源OFFや不意のトラブルで内容が消える/壊れる可能性があります。マスターデータは必ずメインPC側に保管し、バックアップも確保してください。

手順1:物理接続と構成の考え方

狙いは「安定」です。USBメモリの抜き差しを、ネットワーク経由の受け渡しに置き換えます。

用意するもの

  • 端末A: メインのデザインPC(Windows/Macいずれでも可。共有先へアクセスできればOK)
  • 端末B: Windows 10/11のMini PC(刺繍機の横に常設)
  • 橋渡し: USB Type-A ⇔ USB Type-Bケーブル(いわゆるプリンターケーブル)
  • 対象: 刺繍機(Brother PRシリーズ/Baby Lock)

接続手順(ここが“土台”)

  1. ポート確認: 刺繍機側の四角いUSB Type-B端子を探します。小さなPCアイコンが印字されていることが多いです。
  2. 刺繍機へ挿す: Type-B側を刺繍機へ挿入します。ぐらつきがあると転送が不安定になりやすいので、しっかり奥まで。
  3. Mini PCへ挿す: Type-A側をMini PCへ接続します。
    • 補足: USB 2.0(黒)でもUSB 3.0(青)でも問題ありません。刺繍データは容量が小さいため、速度より接触安定が優先です。

チェックポイント:「認識(ハンドシェイク)」

  • Mini PCの電源を入れる
  • 刺繍機の電源を入れる
  • Mini PC側でエクスプローラーを開き、新しいドライブ(例:"USB Drive (E:)"/"Removable Disk"など)が出るか確認

brother pr650 刺繍ミシンでも考え方は同じで、刺繍機がPCに対して「外付けドライブ(マスストレージ)」として見えることが前提です。

成功条件: 刺繍機の電源投入後、概ね30秒以内にドライブレターが表示される。

現場でよく出る疑問:「どこが無線?」

「USBでつないでいるのに無線とは?」という質問が多いポイントです。 答え: 無線になるのは、メインPC → Mini PCの区間です。刺繍機自体はMini PCにUSBで“常時有線接続”し、メインPCからはWi-Fi経由で共有ドライブへコピーします。結果として、USBメモリを持って歩く必要がなくなります。

手順2:Windowsの共有(権限)設定

ここが一番つまずきやすい工程です。共有は見えても、権限が弱いと保存や削除ができません。

端末識別:Mini PCの名前を分かりやすくする

  1. Mini PCで、スタートを右クリック → システム
  2. このPCの名前を変更を選択。
  3. 例:Embroiderymini のように、現場で識別しやすい名前にします。
  4. 再起動します(名前変更は再起動後に反映されます)。

詳細な共有(Advanced Sharing)の設定

  1. Mini PCでエクスプローラーを開く
  2. 刺繍機ドライブを右クリック → プロパティ共有タブ
  3. 詳細な共有を開く
  4. このフォルダーを共有するにチェック
  5. 共有名: 機種名(例:PR1055X)にしておくと、複数台運用時に混乱しにくいです
  6. アクセス許可をクリック
  7. Everyoneを選択(無ければ追加)
  8. 最重要: フル コントロールを「許可」にチェック

なぜ「フル コントロール」が必要か: 運用ではファイルを“入れる”だけでなく、テストデータや前日の残骸を“消す”作業が必ず発生します。削除できない共有は、現場の誤選択(古いファイルを刺してしまう)を増やします。

成功条件: 共有パス(例:EmbroideryminiPR1055X)が作成されている。

重要制限:フォルダの中は見えないことがある

制限: この方式では、刺繍機がシンプルなファイルシステムとして動作するため、フォルダ内のファイルを認識しないことがあります。

  • ルール: 刺繍機に表示させたいデータは、共有ドライブのルート(最上位)に置きます。ClientAなどのサブフォルダに入れると、刺繍機側で見えない場合があります。

手順3:ネットワークの“引っかかり”を外す

Windowsは初期状態だと、共有にパスワードを要求しがちです。社内/工房内の専用ネットワークで運用する前提なら、手順どおりに摩擦を減らします。

  1. ネットワークと共有センターを開く
  2. 共有の詳細設定の変更を選択
  3. プライベートで「ネットワーク探索」と「ファイルとプリンターの共有」を有効
  4. すべてのネットワークで、パスワード保護共有を無効にするを選択
  5. 変更を保存

チェックポイント: メインPCから Embroiderymini にアクセスしたとき、ユーザー名/パスワードの入力を求められない。

注意(セキュリティ): パスワード保護を無効にすると、同じWi-Fi内の端末からアクセス可能になります。工房のWi-FiはWPA2/WPA3で暗号化し、ゲスト用ネットワークや公共回線では使わないでください。

互換性チェック

この方法は、USB接続時に刺繍機が「マスストレージ(ドライブレター)」として見えることが前提です。brother pr 680wなどのPR系では有効なケースが多い一方、マニュアル上「PC接続」が独自方式の機種では同じ動きにならない場合があります。

手順4:メインPCでネットワークドライブに割り当てる(仮想ケーブル化)

ここまでできたら、メインPC側に「刺繍機=Zドライブ」のような入口を作ります。

  1. メインPCでエクスプローラーを開く
  2. PC(This PC)を右クリック → ネットワーク ドライブの割り当て
  3. ドライブ: Z:(末尾機器用として分かりやすい)
  4. フォルダー: EmbroideryminiPR1055X(あなたの環境の名前に合わせる)
  5. サインイン時に再接続するにチェック
  6. 完了

成功条件: Z: が「ネットワークの場所」として表示され、開くとUSBメモリのように扱える。

生産性の分岐点

週に数点ならUSBでも回ります。しかし brother 10本針 刺繍ミシン のように多針で回す現場では、移動と差し替えの積み重ねが確実にロスになります。

この構成は「歩く時間」を削り、段取りの中心を“刺繍機の前”に戻します。

手順5:Hatchから直接転送(出力先をZ:に固定)

最終形は「ソフトからそのまま機械へ」です。

  1. Hatchで MachineTransfer Settings を開く
  2. 参照で、割り当てた Z: ドライブを選ぶ
  3. 以後の転送先として設定

確認方法: 「Transfer」後、数秒待って刺繍機の画面でファイルが表示されるか確認します。


Prep

導入前に、現場の“見えない原因”を潰します。ネットワーク不具合に見えて、実は物理要因ということがよくあります。

あると効く備品・基本

  • エアダスター: USBポートに糸くず・ホコリが溜まると、認識が不安定になります
  • 状態の良いUSBケーブル: 古いケーブルは接触不良の原因になります。シールド付きの新品を推奨
  • ラベル: Brother 刺繍ミシン を複数台運用するなら、ケーブル両端と共有名をラベリングして誤送信を防ぎます

Prepチェックリスト

  • ポート清掃: 刺繍機のUSBポートをエアで清掃
  • ケーブル固定: ぐらつきがない(抜けかけにならない)
  • 電源保護: PCと刺繍機をサージ保護に接続
  • ネットワーク: メインPCとMini PCが同一ルーター配下(同じネットワーク)

Setup

判断フロー:この構成が向いているか

1. USB接続で刺繍機がドライブレター(E: / F:など)として見えますか?

  • YES: このMini PCブリッジ方式で進められます
  • NO: 独自プロトコルの可能性が高く、この方法は成立しにくいです

2. Windows環境ですか?

  • YES: 本手順どおりでOK
  • NO(Mac): SMB共有で同様の考え方は可能ですが、権限設定と割り当て手順が異なります

Setupチェックリスト

  • 命名: Mini PCの名前を変更済み(DESKTOP-xxxxのままにしない)
  • 共有: Everyone → フル コントロール
  • 設定: パスワード保護共有がOFF
  • 割り当て: Z: を割り当て、サインイン時に再接続
  • テスト: メインPCからファイルをコピーでき、Mini PC側でも即時に見える

Operation

運用の基本手順

  1. 作成: ソフトで .PES(または.DST)を確定
  2. 命名: 例:Client_Job_Size.pes のように現場ルールで統一
  3. 転送: Z: にドラッグ&ドロップ
  4. 整理: 誤選択防止のため、不要ファイルはZ:から削除してメニューを清潔に保つ
  5. 実行: 刺繍機側でUSB(ドライブ)からファイルを選択

「PCからの受信待ち」表示で固まる場合: 刺繍機がUSBではなく無線受信モードを待っている可能性があります。

  • 対処: 刺繍機の設定(下部の設定アイコン)→(例として)ページ5付近の Link - Wireless LANOFF → 刺繍機を再起動

運用チェックリスト

  • ルート整理: ルート直下に不要ファイルが残っていない
  • ルート運用: サブフォルダに入れていない(機械が見えないことがある)
  • モード確認: 刺繍機側の無線リンク設定が不要ならOFF
  • 表示確認: 刺繍機の画面でファイル名が作業指示と一致

注意(機械安全): データ転送ができても、枠や治具との干渉チェックは別問題です。スタート前に必ずトレース等でクリアランスを確認してください。


Troubleshooting Guide

不具合時は「低コスト→高コスト」の順で切り分けます。

症状 ありがちな原因 まずやること 再発防止
コピー時にパスワードを要求される パスワード保護共有がON 共有の詳細設定でパスワード保護共有をOFF Windows更新後に設定が戻っていないか確認
コピーできたのに刺繍機に出ない サブフォルダに入れている .PESをルート直下へ移動 ブリッジ用ドライブは「フォルダ禁止」運用
「PCからの受信待ち」で固まる 受信モードが無線待機になっている Link - Wireless LAN をOFF→再起動 使わない機能はOFFで固定
ドライブが消える/見えたり消えたりする USB接触不良・汚れ ケーブル抜き差し/ポート清掃/ケーブル交換 ケーブルの引っ張りを逃がす固定をする
転送が不安定 ポートに糸くず・ホコリ/ケーブル劣化 エアで清掃、ケーブルを新品に 定期清掃とケーブルの予備を用意

導入後の基準が変わる

この構成ができると、作業の基準が変わります。

  • 従来: 作成 → 移動 → 挿す → 刺す
  • 導入後: 作成 → 送る → 刺す

データ転送の摩擦が消えると、次のボトルネック(段取り、枠張り、糸替え、検品など)が見えやすくなります。まずは「送れない/見えない/固まる」を潰して、現場の流れを止めない状態を作りましょう。