Xpressive「Autodigitizer Wizard」実践ガイド:WMF/EMFベクターを“きれいに縫える”ESX刺繍データへ(自動パンチの落とし穴を回避)

· EmbroideryHoop
本記事は、XpressiveのAutodigitizer Wizard(自動デジタイズ)を使い、WMF/EMFベクターの読み込み→サイズ確認→色数整理→ベクタライズ許容値(Tolerance)の調整→縫い設定(シーケンス/トリム/ロック)→ESX保存までを、現場目線のチェックポイント付きで解説します。画面上では良く見えるのに実縫いで糸切れ・トリムだらけ・段取り遅延が起きる“あるある”を、ウィザード内の操作で未然に減らすのが狙いです。
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目次

Xpressive自動デジタイズ実践:"クリック"から"縫えるデータ"へ、ムダなく仕上げる

自動デジタイズは「ボタン一発で刺繍データ完成」と思われがちです。

ただ、現場で実際に縫うと、画面上はきれいでも トリムが増えすぎる/縫いが落ち着かない/仕上げに糸切りが大量 など、段取りが崩れる原因になりやすいのも事実です。

ここでは、XpressiveのAutodigitizer Wizard(自動デジタイズ機能)を動画の手順どおりに進めながら、作業者が迷いやすいポイントを「チェックポイント」として重ねていきます。目的は“見た目のデータ”ではなく、実際にミシンで安定して回るデータに寄せることです。

この記事で身につくこと(作業時間と手戻りを減らす)

  • 元データ選びの基本:WMF/EMFベクターをウィザードに正しく読み込む手順
  • サイズ確認の要点:単位(mm)と縫いサイズを最初に確定する重要性
  • 色数整理(Color Reduction):似た色を削って“不要な色替え”を減らす考え方
  • 輪郭の拾い方(Vectorize):Toleranceを 29 に設定して輪郭を安定させる
  • 縫い設定(Judgment):Sequencing/Trim/Lock stitchの設定を、後工程を意識して決める

注意:安全第一。 刺繍機は高速で針が上下します。稼働中は針棒付近に手を入れないでください。長い髪はまとめ、袖口の広い服は避け、磁気の強い工具はモニターや電子機器に近づけないようにしてください。

Step 1: 取り込みとサイズ確認(最初に“現物サイズ”を固める)

Autodigitizer Wizardを起動

Xpressiveの上部メニューから Tools を開き、Autodigitizer… を選択してウィザードを起動します。

元画像(WMF/EMF)を選ぶ

Select Image をクリックし、フォルダツリーで次へ移動します。

  • Local Disk (C:) → Program Files → Expressive → Artwork → Exquisite images

もし Exquisite images が見当たらない場合は、いったん親フォルダの Artwork を選択して表示を更新します(動画内の補足どおり)。

操作手順(動画の流れ)

  1. Files of typeWindows Metafile (EMF/WMF) に変更
  2. 表示を Thumbnails に変更
  3. Cake を選択(1回クリック)
  4. プレビュー情報が出たことを確認して OK

Image Transformations:サイズの“現物チェック”

NextImage Transformations に進みます。動画では元サイズが次のとおり表示されます。

  • Width: 128.9 mm
  • Height: 147.3 mm

ここは「画面上の設定」ではなく、このサイズで縫う前提が現場に合っているかを確認する場面です。

チェックポイント

  • 単位が mm になっているか(Unitsでmm/cm/inchesを選べます)
  • 必要ならここで幅または高さを入力してサイズを変更する(動画では変更せずNext)
  • 反転・回転が必要な素材/向きなら、TransformationのFlip/Rotateを確認する(動画では“選べること”を示しています)

補足:サイズを後から縮小すると起きやすいこと

ウィザードで縫いを生成した後に大きく縮小すると、見た目以上に縫いが詰まりやすくなり、結果として縫いが硬くなったり、糸に負担が出たりします。最終的に縫うサイズを先に決めてから自動デジタイズするのが基本です。

また、同じ位置に繰り返し入れる案件では、位置ズレが歩留まりに直結します。手作業の枠張りだけで揃えるのが難しい場合、現場では ミシン刺繍 用 枠固定台 を使って、毎回同じ位置に合わせる運用が一般的です。

Step 2: Color Reduction(色替え回数=段取り時間)

NextColor Reduction に進みます。

ソフトは人間の目では同じに見える差も色として拾います。動画では、よく似たターコイズ系が2色あるため、次の操作を行います。

  1. color chip #4 を選択
  2. Delete をクリック
  3. Show Preview をクリックして結果を確認
  4. 最終的に 6 colors に整える

チェックポイント:必ず「Show Preview」で確認する

色を削除しても、プレビューを更新しないと見た目の変化が判断できません。動画でも「変更したらShow Preview」を繰り返し強調しています。

なぜ効くのか(現場の段取り目線)

色替えは機械的な中断です。不要な“微妙な色”が残ると、わずかなステッチのために色替えが増え、作業が止まります。

段取りのロスが気になる場合、枠の着脱を速くする工夫も有効です。例えば マグネット刺繍枠 は、生地のセット/取り外しを短時間で行いやすく、色替えや試し縫いの回転を上げたい現場で選ばれます。

Step 3: Vectorize(輪郭の拾い方を“縫い向き”に整える)

NextVectorize に進みます。

ここは品質に直結します。Tolerance(許容値)は、ソフトが輪郭をどれだけ細かく拾うかの基準です。

  • 値を上げるほど、拾う輪郭が減ります(動画の説明どおり)

動画では一度スライダーを大きく動かして変化を見せた後、最終的に次の設定にします。

設定:Toleranceを 29 に入力 → Update outlines

プレビューの見方(輪郭が“縫いの指示”になる)

チェックポイント

  • 輪郭線が必要な部分まで消えていないか
  • 逆に、細かい点やギザギザが過剰に出ていないか

輪郭が荒れると、短いステッチが連続しやすくなり、縫い音が落ち着かない原因になります。動画の手順どおり 29 を基準にして、まずは安定した輪郭を作ります。

Step 4: Judgment(縫い設定:Sequencing/Trim/Lock)

NextJudgment に進みます。ここで縫いの基本設定を行います。

動画の設定は次のとおりです。

  • Global style: Normal
  • Sequencing order: Minimize color changes
  • Trim: Always
  • Lock stitch: Around trim

設定したら Finish をクリックしてステッチ生成します。

補足:Trim(糸切り)を「Always」にする意味

Trim: Always は、ジャンプ糸を残しにくい一方で、停止・カット・再開が増えます。仕上げの糸切りを減らしたい運用では有効ですが、トリム回数が多いデータでは総縫い時間に影響します。

仕上げと保存(ESXで残す)

表示を見やすくする(Beads/Points)

画面に点(ノード)が多く表示されて見づらい場合は、Draw ribbonBeads/Points アイコンをオフにして表示を整理します(動画の手順)。

保存手順(Save As)

上部メニューから File → Save As

  • ファイル形式:ESX
  • ファイル名:Cake_1
  • Save をクリック

補足:なぜ「Cake_1」なのか

動画でも「Cake_1(または編集版の名前)」として別名保存しています。元データを上書きしないことで、後から設定を変えた版を作り分けやすくなります。

結論

ここまでで、XpressiveのAutodigitizer Wizardを使い、WMF/EMFの取り込み→サイズ確認(128.9 mm × 147.3 mm)→色数を6色に整理→Toleranceを 29 に設定→Judgmentで Minimize color changes/Trim: Always/Lock stitch: Around trim を指定→ESX(Cake_1)で保存、という一連の流れを完了しました。

自動デジタイズは“完成”ではなく“出発点”です。まずは動画の設定でデータを作り、必要に応じて編集ツールで調整して、実縫いで安定する方向に詰めていきましょう。