ZSK SPRINT ヘッドタイミング再設定(136°):クラッシュ後に行う技術者向けキャリブレーション手順ガイド

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本ガイドでは、クラッシュや異常動作の後に ZSK SPRINT シリーズで発生しやすい「ヘッドタイミングのズレ」を、現場で安全に再設定する手順を解説します。右側カバーを開けて主軸(トップシャフト)にアクセスし、T8 のサービス画面で角度を確認。タイミングピンで機械側を確実にロックしたうえで、黒いカラー(エンコーダーカラー)を 4mm 六角で調整して 136°(許容差内)に合わせ、最後にホーム復帰のサイクルまで行います。再発しやすいミスと、調整後に不具合が残る場合の切り分け(フックタイミング確認の目安)もまとめています。
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目次

機械の「鼓動」:ZSK ヘッドタイミング不良の概要

業務でマシン刺繍を回していると、あの嫌な音に遭遇することがあります。大きな ガリッ という衝撃音のあとに止まる——枠の干渉、糸絡み(鳥の巣)、あるいは「何かおかしい」挙動。ZSK SPRINT シリーズでは、こうしたクラッシュ後に「ヘッドタイミングの不一致」が起きることがあります。

これは、時計で言えば「針(機械の位置)」と「表示(制御側の角度表示)」がズレた状態です。見た目はそれっぽい位置でも、針とフックの同期が崩れている可能性があります。そのまま動かすと、針折れ、糸切れ、素材破れ、最悪の場合は回転釜(ロータリーフック)側の損傷につながります。

本ガイドでは、工場出荷時の工具(タイミングピン)でヘッドを機械的に固定し、その位置に合わせて角度表示(センサー側)を 136° に合わせ込む手順を、作業フローとして整理します。zsk sprint 刺繍ミシン の復旧作業で、技術者が行う基本手順と同じ考え方です。

Wide shot of the ZSK Sprint 6 single-head Industrial Embroidery machine sitting on a workbench.
Establishing shot of the equipment.

補足(範囲について): ここで扱うのは 角度(ヘッドタイミング)キャリブレーション です。強いクラッシュでは他の要素もズレることがあります。136°に合わせても目飛び・異音・針折れが続く場合は、フックタイミング 側も影響している可能性があります。本手順は復旧プロトコルの「第一段階」として捉えてください。

注意(機械安全): カバーを開ける前に、店舗・工場の安全手順に従い、電源オフまたは安全停止状態で作業してください。髪・アクセサリー・袖口などの巻き込みに注意。主軸を回す際に強い抵抗がある場合は無理に回さず、まず噛み込み(物理的な詰まり)を除去してください。詰まりに逆らって回すとギヤ破損の原因になります。


Part 1:準備(工具と段取り)

生産現場では「開けてから工具を探す」がミスの入口です。ネジ紛失や締め忘れを防ぐため、先に必要物を揃えてから始めます。

必須工具

作業前に以下を用意します。

  • ドライバー/六角ドライバー: 右側の青いカバー固定ネジ用(動画では赤いハンドルの工具)。
  • ボックススパナ(チューブレンチ): 主軸端に差し込み、手回しで角度を合わせるために使用。
  • タイミングピン: 付属工具の金属ピン。今回の作業の「基準」を作る要。
  • 4mm 六角レンチ: 黒いカラー(クランプ)固定ネジ用。

段取りの小物(現場で効く)

DRAFT では推奨されていましたが、動画内での説明はないため、ここでは「あると便利」程度に留めます。

  • 磁石付きパーツ皿: ネジの置き場を固定。
  • ヘッドライト/集光ライト: ピン挿入穴が暗い場合の視認性確保。

稼働継続の観点

単頭式 刺繍ミシン を主力で回している場合、停止時間はそのまま損失になります。復旧後は「なぜクラッシュしたか」を必ず振り返ってください。厚物・段差・枠張り不良が原因なら、作業条件の見直しが再発防止になります。

作業前チェックリスト

  • 安全: 停止状態を確認(自社手順に準拠)。
  • 照明: ヘッド右側が十分に見える。
  • 工具適合: 4mm 六角がネジに確実に掛かる(ガタなし)。
  • 回転準備: ボックススパナが主軸端にしっかり差さる。

Part 2:主軸とサービス画面にアクセスする

Step 1:右側の青いカバーを開ける

主軸(トップシャフト)端は、ヘッド右側の青いカバーの内側にあります。

  1. カバー正面の 2本のネジ を緩めます。
  2. ヒンジで上に跳ね上げます。
  3. 重要: 上側のヒンジネジを軽く締め、カバーを「開いた状態で保持」します。
    • 理由: 作業中にカバーが落ちると、手元がブレてネジ頭を潰したり、工具を落としたりします。狭い箇所ほど環境固定が大事です。
Technician using a red-handled hex driver to loosen the screws on the blue side cover.
Disassembling the cover to access the shaft.
The blue side cover is flipped upwards and the technician is tightening the hinge screw to keep it open.
Securing the cover for maintenance access.

チェックポイント: 主軸端が見え、内部に黒いカラー(エンコーダーカラー)が確認できる状態になっていること。

Step 3:T8 で角度表示(デジタル値)を確認する

次に、制御側が認識している角度を確認します。ZSK T8 操作パネルで以下へ進みます。

  1. Service Screen(サービス画面)へ。
  2. Test machine attachment を選択。
  3. 画面下部付近にある 角度(Angle) の現在値を探します。

クラッシュ後は、この数値がズレていたり(例:140.4°)、状況によっては不安定に見えることがあります。以降の作業では、この表示が「合わせ込みの基準」になります。

Inserting the silver box spanner tool into the end of the main drive shaft.
Preparing to manually rotate the machine.
The machine control panel screen displaying a large angle number '140.4'.
Checking the current misalignment of the head timing.

現場のコツ: 針位置を目視で「だいたい合っている」と判断しないこと。zsk 刺繍ミシン のタイミング復旧では、制御が参照する角度表示を基準に合わせるのが前提です。


Part 3:機械側を固定する(タイミングピン)

ここが最重要です。タイミングピンで「機械の正しい位置」を作り、その状態で表示角度を合わせます。

Step 4:136°付近まで回してロックする

このシリーズの目標角度は 136° です。

  1. 工具を差す: 主軸端にボックススパナを確実に差し込みます。
  2. 手回し: 角度表示を見ながら、136°付近までゆっくり回します。
  3. ピンを挿す: ヘッド右側の所定の穴(ポート)にタイミングピンを差し込みます。
  4. 感触で確認(落ち込み):
    • 操作: ピンを軽く押し当てたまま、ボックススパナで主軸を前後に小さく揺すります。
    • 狙い: 内部の金属カムの溝にピンが「ストン」と落ちる位置を探します。
    • 成功状態: ピンがしっかり入り、主軸がどちらにも回らずロックされます(曖昧な止まり方ではなく、明確に止まる)。
View of the screen and the technician's hand rotating the box spanner simultaneously.
Manually adjusting the shaft angle to approach 136.
Extreme close-up of the timing pin being inserted into the alignment hole.
Locating the timing port on the machine casting.
Technician rocking the shaft with the box spanner to feel the pin drop into the cam.
Mechanically locking the machine at the precise timing point.

重要なポイント: この時点で、機械側は「正しい位置」に固定されています。しかし、ヘッドタイミングがズレている場合、画面表示は 136°になりません。ここに表示と機械のズレ(デジタル誤差)があり、それを次で補正します。


Part 4:キャリブレーション(表示角度を機械に合わせる)

タイミングピンで固定した「機械の真実」に、制御側の角度表示を合わせ込みます。

Step 5:黒いカラー(エンコーダーカラー)を調整する

  1. 緩める: ピンでロックしたまま、4mm 六角レンチ で黒いカラーの固定ネジを緩めます。
    • 補足: ネジを抜かず、「カラーが動ける程度」まで緩めます。
  2. 合わせる: 主軸端の工具をわずかに動かし、画面表示が 136.0 になる位置に合わせます。
    • 許容差: 動画では 0.1° の許容差に言及があります。例として 136.1 など、限りなく近い値は許容範囲ですが、可能な限り 136.0 を狙います。
  3. 締める: 表示が動かないように保持しながら、固定ネジをしっかり締め込みます。
Using a 4mm Allen key to loosen the screw on the black collar inside the machine head.
Unlocking the encoder collar for adjustment.
Technician watching the screen while turning the tool to adjust the reading to 136.
Calibrating the digital reading to match the mechanical lock.
Tightening the black collar screw with the Allen key.
Locking in the new calibration.

チェックポイント: 締め込みトルクで表示がズレることがあります。締めた瞬間に 136.2 などへ動く場合は、いったん緩めて微調整し、再度締め直します。


Part 5:復帰操作と、次に見るべきポイント

Step 6:最終復帰(ホームへ)

  1. 重要: タイミングピンを抜きます。抜いたらすぐ工具箱(所定位置)へ戻し、入れっぱなしを防ぎます。
  2. 復旧: 青いカバーを戻し、ネジを締めます。
  3. ホーム復帰: メイン画面に戻り、Needle DownNeedle Up を実行します。
    • 目的: 新しいキャリブレーション値を前提に、機械を所定のホーム位置へ戻すための動作です。
Removing the timing pin from the side of the machine.
Releasing the mechanical lock after calibration.
Replacing the screws on the blue side cover.
Reassembling the machine housing.
Technician pressing the buttons on the control panel to cycle the needle.
Performing the 'Needle Down/Needle Up' reset sequence.

実行後チェックリスト

  • ピン: タイミングピンが機械から抜けている。
  • 締結: 黒いカラーの固定ネジが確実に締まっている。
  • 復旧: カバーとネジが元通りで、工具の置き忘れがない。
  • 動作: Needle Down / Needle Up で異音がない。

Part 6:クラッシュの原因を切り分ける(再発防止の考え方)

復旧は重要ですが、再発防止がさらに重要です。タイミング不良は「部品故障」ではなく、作業条件や運用が引き金になることもあります。

注意(本ガイドの範囲)

DRAFT には磁力枠や生産能力の話題が含まれていましたが、今回の VIDEO_JSON / COMMENTS_JSON には裏付けがないため、ここではクラッシュ要因の一般論として「運用の見直し」を促すに留めます。

注意: ヘッドタイミングを直しても刺繍品質が戻らない場合、動画でも触れている通り フックタイミング の確認が必要になることがあります。まずは低速で試し縫いを行い、異音・針折れ・目飛びが残るかで判断してください。


Part 7:調整後にうまくいかない時のトラブルシュート

症状 可能性が高い原因 対処
ピンがロックしない カム溝の位置に入っていない 主軸を前後に小さく揺すりながら、ピンを軽く押し当てて「落ち込み」を探す(叩き込まない)
ピンでロックできたのに表示が 136 にならない それがズレの本体(表示側が狂っている) Step 5 で黒いカラーを緩め、表示を 136.0 へ合わせて締め直す
調整後も不具合が続く フックタイミング側のズレの可能性 ヘッドタイミング後に試し縫い→改善しない場合はフックタイミング手順を検討

まとめ

「アクセス → ピンで機械固定(136°)→ 表示角度を合わせる → ホーム復帰」という流れで、ヘッドタイミングの基準を取り戻せます。zsk 刺繍ミシン トラブルシューティング の一項目として、作業ログ(発生状況・実施日・結果)も残しておくと、次回の復旧が速くなります。

最終サインオフ(運用目安)

  • 低速で試し縫いを実施。
  • 回転時に引っ掛かり音・擦れ音がない。
  • 糸調子が極端に崩れていない(裏糸の引き出され方を確認)。
  • 記録: 事象/対応/日付を保全記録に残した。